「他者から聞き、余りにショッキングな内容だったので、長きに亘って忘れられない話。」というのは、誰にも在るだろう。斯く言う自分も幾つか在るのだが・・・。
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「猫に油を掛け、火放つ?燃えて死ぬ・・・警察が捜査」(10月28日、読売新聞)
東京都北区赤羽西の区立公園で26日夕、猫が火を点けられて死んでいた事が、警視庁赤羽署への取材で判った。
同署幹部によると、同日午後5時50分頃、区立公園で猫が燃えているのを通行人の女性が発見、110番した。猫は、間も無く死んだ。何者かが生きた猫に油を掛けて火を点けたと見られ、同署が周辺の防犯カメラ等を調べている。
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「犬は好きだけれど、猫は苦手。」という自分だが、こういったニュースには憤りを感じる。自分よりも弱い相手を狙い、残酷な行為に及ぶというのは許し難い。こんな輩は遣る事がどんどんエスカレートし、軈ては人に危害を加える事だろう。一刻も早く捕まえて欲しいし、(親告罪で在る)器物損壊罪よりも重い刑罰を定めて貰いたいもの。
冒頭に「他者から聞き、余りにショッキングな内容だったので、長きに亘って忘れられない話が、自分にも幾つか在る。」と書いたけれど、今回のニュースを目にした際、其の幾つか在る話の1つを思い浮かべてしまった。
今から40年近く前の話。父親の同僚に、Aという男が居た。口数が少なく、暗さを秘めた人物で、恐らく当時は30歳前後だっただろう。
今では禁止されているけれど、当時は個人が野外で塵等を焼却するのが許されており、我が家でも不要になったドラム缶を庭に置き、其の中で塵を良く焼却していたりした。
或る日の昼休み、会社の敷地内に置かれたドラム缶の周りで、同僚達と談笑していた父親。ドラム缶の中には塵が入れられ、燃やされている最中。Aは話に加わるでも無く、傍で黙って立っていた。其処を1匹の野良猫が遣って来て、Aの足元に座り込んだ。黙って猫を摘み上げたA。乱暴な扱い方では在ったが、「抱き抱えて撫でるんだろう。」と皆は思ったそうだ。ところが・・・。
Aは摘み上げた猫をポイッと、燃え盛るドラム缶の中に投げ入れた。余りにも平然と、無表情で行ったので、父達は一瞬何が起こったのか判らなかったと言う。そして、猫の「ギャーッ!」という断末魔の声で我に返り、慌てて傍に置いてあった水を掛け、猫を取り出したが、既に事切れていた。
其れ迄、社内で急に意識を失う事が何度か在り、病院で診察を受けても、其の原因が全く判らなかったというA。猫の一件が在って以降、「昔から動物を虐待する癖が在り、其の恨みで意識を失うのではないか?」という怨念説も出たそうだが、恐らくは「精神を病んでいたが為に、生きた猫を平然と火の中に放り込めた。」のではないかと思う。
此の話は父親からでは無く、父親から話を聞いた母親から、自分は中学生の頃に聞いた。“事件”から可成りの年数が経っていたのは、余りにショッキングな話なので、もっと幼かった頃の自分には話せなかったのだろう。
存命なら、70歳前後で在ろうA。其の後、どういう人生を送って来たのかは全く知らないけれど、無根拠乍ら「もう亡くなっているのではないかなあ。」という気がしたりする。
動物への虐待、其れも今回の様な余りにも酷いケースでは、加害者って周りからは「大人しい人」と思われている可能性が高そうな気がします。普段から残酷さを少しでも見せていたら、其れなりに警察等に連絡が行っていると思うからです。もしそうだったら、余計に怖いですね。
此方こそ、今後とも何卒宜しく御願い致します。