幼少期の自分を思い返すと、本当に良くTV番組を見ていたと思う。アニメや特撮番組、ドラマ、歌番組、プロ野球中継、プロレス中継等々、夢中になって見ていた番組は枚挙に遑が無い。“テレヴィっ子”の1人だったのは間違い無い。
「ドラマで、父親役を良く演じているイメージが強い俳優は?」と問われると、世代によって答えは大きく別れるだろうが、自分の場合は2人の俳優の名前がパッと思い浮かぶ。1人は「“ケンちゃんのパパ”逝く」という記事で取り上げた牟田悌三氏。「ケンちゃんシリーズ」【音声】で長らく父親役を演じて来られたし、「3年B組金八先生」【動画】の第1シリーズで妊娠してしまった女子中学生の父親役を演じていたのも、印象に強く残っている。
そして、もう1人は・・・。
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「宇津井健さん死去 『渡る世間』【動画】“赤いシリーズ”【動画】等で活躍の二枚目スター」(3月14日、デイリースポーツ)
俳優・宇津井健さんが14日午後6時5分、慢性呼吸不全で亡くなった。82歳だった。東京都出身。関係者によると、肺気腫を患い、入退院を繰り返していたと言う。
宇津井さんは、俳優養成所出身。1954年、新東宝に入社。1955年、「青春物語」に主演以降、新人スターとして大活躍した。
山口百恵と共演した「赤い迷路」、「赤い運命」【動画】の“赤いシリーズ”等で、正統派の2枚目スターとしての地位を確固たるものとした。
1965年から1971年にTBS系で放送された「ザ・ガードマン」*1【動画】に主演。ダンディーなスターとして人気を博した。2006年2月からは、肺炎を患い入院した藤岡琢也さん(2006年10月死去)に代わり、「おかくら」の大吉として、TBS系「渡る世間は鬼ばかり」に出演。昨年5月、6月に放送されたスペシャル版にも出演していた。
藤岡さんが亡くなった時には「兄というか分身を失った様で、強い哀しみを受けている。」とコメントしていた。
尚、故人の意向により、通夜・告別式は密葬で執り行い、後日「御別れの会」を開くと言う。
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自分よりも上の世代の方々だと映画「スーパージャイアンツ・シリーズ」や「ザ・ガードマン」、そして下の世代の方々だと「渡る世間は鬼ばかり」での宇津井氏というのが、イメージとしては強いかもしれない。でも、自分の場合は何と言っても「赤いシリーズでの父親役」、即ち「“百恵ちゃん”の父親役」というイメージが強烈で、「ドラマで、父親役を良く演じているイメージが強い俳優は?」となると、牟田氏と宇津井氏の名前と顔がパッと思い浮かぶのだ。
【「赤い迷路」】
8年前、「ボーダーライン上の役者」という記事を書いた。「大根役者では無いんだけど、だからと言って演技が上手いとも思えないし、何か微妙な存在だなあ。」と思う俳優の1人として水谷豊氏を取り上げたのだが、実は宇津井氏もそんな俳優の1人と思っている。「鼻の穴を大きく広げ、常に力み返った演技。」というのが彼のイメージで、悪く言えば「ワンパターンな演技」に感じていたから。でも、“存在感の在る俳優”だったのは確かだ。
「“大谷二郎”死す」や「今では成立しない設定」等、赤いシリーズに触れた記事を、過去に幾つか記している。其れ程に同シリーズが大好きで、リメイク版を除いて、全て視聴。
第1弾の「赤い迷路」は40年前の1974年に放送開始となった作品で、出演されていた方で言えば松田優作氏、垂水悟郎氏、西沢利明氏、佐藤允氏、高橋昌也氏、中条静夫氏、玉川伊佐男氏が、既に鬼籍に入られている。
先月から「山口百恵『赤いシリーズ』DVDマガジン」が刊行開始となった許りというのに、此のタイミングで宇津井氏が亡くなられるとは・・・本当に残念だ。合掌。
*1 「ザ・ガードマン」は、再放送された際に数本見た事が在る。だから、1989年に「SUNTORY WHISKY&SODA」のCM【動画】で、出演者の面々が顔を揃えたのを目にした時には、実に懐かしかった。
宇津井さんというと、私は、なんといっても映画「新幹線大爆破」
http://blog.goo.ne.jp/totuzen703/s/%B1%A7%C4%C5%B0%E6
ですね。国鉄の運転指令室長役で、本当に熱演でした。
爆弾が仕掛けられたひかり109号を、なんとかして助けようと必死になってました。面白い映画でした
giants-55さんも指摘されているように、微妙に演技が(うまくない)役者さんだったと思います。
風間杜夫さんや片岡鶴太郎さんも、当初はへたくそな演技なのになんで主役が多いんだろう、と思っていましたが、いつの間にかボーダーライン上の役者から抜け出していました。
私の目から見て、いつまでたっても演技の下手な主役級俳優は、小林稔侍さん。どんな役をやってもワンパターンな演技、台詞回ししか見せてくれません。
彼のファンには申し訳ないけど、大根役者が何で主役を張れるのか不思議です。あくまで主観ですが(笑)。
最早“死語”となった感も在りますが、所謂「ホームドラマ」が昔から好きで、「マンネリだなあ。」と思いつつも、「渡る世間は鬼ばかり」を見続けていました。記事にも在る様に、宇津井氏は藤岡琢也氏の降板を受けて、2代目岡倉大吉役を演じたのですが、役所としては孫が居る祖父で在るも、矢張り「中高年の娘たちの父」という方に重心が置かれていて、最後の最後迄「父役」だった。
「新幹線大爆破」、高倉健氏や千葉真一氏、宇津井健氏等、改めて「豪華な顔触れだったんだなあ。」と感じます。大好きだった志穂保美悦子がチョイ役でしたが、出演されていた事でも印象に残る作品。
「ザ・ガードマン」、放送開始当初は、画期的なドラマだったでしょうね。今でこそ「ガードマン」という職業は一般的となりましたが、当時はそういう概念自体が日本人の間には希薄だったと聞きますし。ドラマの中でモデルとなった「セコム」が、宇津井氏に対する追悼コメントを出していたのが、非常に印象的でした。
風間杜夫氏や片岡鶴太郎氏、確かに最初は演技が上手くなかった。特に片岡氏の場合は、「俺って芝居も出来ちゃうんだよ。凄いでしょ?」的な物が演技から見えてしまい、当初はうんざりしていたもの。(書家の榊莫山氏の下に片岡氏が「弟子入りしたい。」と訪れた際、「あんたの絵や字には山っ気が感じられるので、弟子には出来ない。」と断られたという有名な話が在りますが、そういうギラギラした部分が、昔は凄く鼻に付きました。)しかし、或る時期から、“良い意味で”演技に気負いが無くなり、上手くなりましたね。「軍師官兵衛」での小寺政職役なんぞは、実に良い!
小林稔侍氏に関しても、全く同感。蛭子能収氏の絵は「ヘタウマ」(http://zokugo-dict.com/29he/hetauma.htm)と称されていますが、小林氏の場合も、此れだけ演技が上手くならない事が、逆に「味わい深さ」となっているのかもしれません。
大好きな俳優の1人だった丹波哲郎氏も、喋り方や表情(目の遣り方等)はワンパターンでしたが、其れが好きだったりもしましたので。
三船敏郎、石原裕次郎、吉永小百合、ジュン・ウェイン、高倉健、これらの人たちは、どの映画でも三船敏郎だし、ジョン・ウェインだし、吉永小百合です。
彼らは演技が売り物ではなく、存在そのものが売り物なんでしょう。これに比べて、大竹しのぶ、緒方拳といった人たちは演技が売り物なんでしょうね。
落語家で、喜劇俳優でも在る柳家金語楼氏。自分は彼をリアル・タイムで見た記憶は無いのですが、映像等で見る彼は、実ににこやかな印象。でも、彼の家族(息子の山下敬二郎氏等)の証言では、自宅での彼はブスッとした感じで居る事が殆どで、TV番組等で見せる顔は“虚像”だったとか。
雫石様が記された大スター達も、「大スターで在る自分を演じている。」という面が在るのかもしれません。「三船敏郎という大スターを演じている三船敏郎。」といった感じで。
「存在感」というのも、スターには必須の条件。「存在感が在り、尚且つ演技力も高い。」というスターは中々稀有な存在では在りますが、個人的には森繁久彌氏なんぞは、そんな1人だった様に思います。
この世代の俳優は録音技術の進展、社会の急激な変化に左右されることが多かったように思います。
今、若い人が島田陽子が出てるほうの「犬神家」見ると演技の古臭さを指摘することが多いようです。
確かに私でも1960年代以前の日本映画を見ると演技や話し方が一本調子だと感じます。当時の人の話し方もですが、録音技術の問題もあったようです。
1980年代に風間杜夫らが出てきたときは別の問題がありました。彼らの演技は小劇場の演技だったのでクセが強すぎたんです。で、当時の社会もつかこうへいらを「演劇界の革命児」のように扱って、彼にテレビや映画を作らせたもんですから…。
「映画」に重きを置き、「TV番組」を軽視する様な時代が在ったという話は、良く見聞します。花形産業だった「映画」が斜陽を迎え、TV番組に進出せさるを得なかった人達も居たろうし、そんな中でも「映画」に固執した人達も居た筈。何方も、色んな意味で苦しかったでしょうね。
舞台からTV番組に移行して来た俳優の特徴としては、台詞を大声で言ったり、所作が非常に大きかったりというのが、昔は在りましたね。舞台だと遠くの席で見ている人達にも判る様に、そういった演技をしなければならなかったという面が在るのでしょうが、個人的には「うーん・・・。」という感じでした。
癖が強い演技と言えば、竹中直人氏もそんな感じで、見ていて疲れたりします。