ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「土漠の花」

2015年01月08日 | 書籍関連

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ソマリア国境付近で、墜落ヘリの捜索救助に当たっていた陸上自衛隊第一空挺団精鋭達。其の野営地に、氏族抗争で命を狙われている女性のアスキラ・エルミが駆け込んだ時、自衛官の命を懸けた戦闘が始まった。

 

圧倒的な数的不利。武器も、土地鑑も無い。通信手段も皆無。自然の猛威牙を剥く。最悪の状況の中、遂には仲間内での疑心暗鬼沸き起こる

 

何故、此処迄激しく攻撃されるのか?何故、救援が来ないのか?自衛官は、人を殺せるのか?

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月村了衛氏の小説土漠の花」を読了月村氏と言えば、ミステリー関連の年間ブック・ランキングで3年前から、其の名前を拝見する様になったが、実際に其の作品を読むのは今回が初めて。「作品のタイトルに、魅了される物が無かった。」というのも、読まずに来た理由の1つだが、ブログを覗いて下さっている雫石鉄也様が高評価を下されている事も在り、読む事にした次第

 

因みに「土漠の花」は、「このミステリーがすごい!2015年版【国内編】」で6位に選ばれている。(月村作品は他にも「機龍警察 未亡旅団」が、2014週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」で9位、「このミステリーがすごい!2015年版【国内編】」で5位。)

 

登場人物達其れ其れが“キャラ立ち”しており、感情移入して読んでしまう。特定の相手に対し、複雑な思いを抱えている理由。」が明らかになった際、「成る程。」と思わせる説得力も在り、筆力の高さが光っている。

 

本のカヴァー秋元康氏が「読み始めたら止まらなくなって、打ち合わせを2つ、キャンセルしてしまった。」という惹句を記していたが、其処迄書くのは眉唾物だけれど、次々に襲い掛かる危機的状況等、確かに一気読みしてしまう作品だ。

 

集団的自衛権に向かって突き進んでいる今、此れ沢山の人に読んで貰いたい。」というの惹句は頷けるし、「特定秘密保護法」が内部告発をし辛くさせる懸念を記した文章も心に残った。

 

偶然性に頼り過ぎた設定」や「死を美化している様な記述」には評価を下げざるをなかったが、全体としては“読ませる作品”だと思う。総合評価は、星4つとする。


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