ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

エイズに苦しむ村

2005年06月02日 | 其の他
先日、日本に於けるHIV感染者の数が大幅に増加しており、歯止めがかからない危険水域に入ったとの報道がされていた。先進国の中で、HIV感染者の数が右肩上がりで増加しているのは、日本位のものとも言われている。

数種類の薬剤を同時に投与する”カクテル治療”によって、エイズの発症を遅らせられる事が判り、必ずしも「HIV感染=死」に直結しなくなった事は医学の勝利で在るが、それが故に「もう安心だ。」とばかりに、若い世代が無警戒で無軌道な性行為に突っ走っている事に繋がっているとしたら、非常に残念な事だ。クラミジア淋病といった性感染症(STD)が若い層で激増していると聞くが、STDに感染すると、HIVの感染率が3~5倍に高まるという説も在るし、強い薬剤耐性を示し、エイズ発症までの進行が速いHIVウイルスが見付かったというニュースも在る以上、若い層に限らず無軌道な性行為は慎むべきだろう。

週刊ポスト(6月3日号)」の巻末グラビアで、「中国『エイズ村』に潜入という記事が載っていた。北京から南へ約1,000km(車で約15時間)の所に在る河南省の或る農村だという。驚異的な発展を遂げる上海等一部の都市が在る一方で、極貧生活に喘ぐ人々も多い、所得格差の著しい中国。村の人口が約800人というこの農村も、そういった貧しさの影を引き摺っている一つだという。

驚くべき事に、この村のHIV感染者数は8割を超えているといい、週に1人は艾慈病(エイズの中国語表記。)で亡くなっているという事だ。赤ん坊も含め、家族全員がHIV感染者という家も在るという。

この様な事態を引き起こした”根”は、1980年代に存在している。現金収入の道が限られていた極貧のこの村で、当時の村長が売血を奨励した事に始まる。当時の売血では毎回、採取した800ccの血液を分離機にかけて血清を抜き取った後、残った血液を再び注射器で体内に戻す「単採」という採血方法を選ぶ村民が少なくなかったそうだ。血液の再生を促し、頻繁に売血出来る様にする為だったという。その際、使い回しされた器具に付着しているHIV感染者の血液が混入。更に性行為や母子感染によって、ウイルスは驚く程のスピードで村内に広まった・・・。

HIV感染者の一人は次の様に語る。

一回に得られるのは35元(約450円)程。4年間で200回近く売血したよ。結婚するには家を建てなければならない。売血でその資金5,000元(約6万5千円)を稼いだんだ。

彼の場合、妻と8歳の長女、2歳の次女、そして生後2ヶ月の長男と家族全員がHIV感染者だという。3ヶ月前にエイズと診断され、余命半年を宣告された2歳の痩せこけた次女の姿に心が痛んだが、彼女を介護する家族達もHIV感染者という現実。人の命は皆同じ価値を持つと建前では言うものの、僅か450円の稼ぎを積み重ねなければならなかった事で起きてしまった痛ましさを目にすると、世の不条理を感じてしまう。

中国の衛生部の発表では、国内のHIV感染者数は約84万人。でも、この数字はかなり少なめに抑えているとも言われている。河南省だけ見ても、エイズに集団感染している村は多く存在しているという。国連も、このままでは2010年には中国国内の感染者が1,000万人を超えると警告している。

表面的には発展著しい中国だが、その貧富の差は確実に埋め難いものとなっている様だ。
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5 コメント

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Unknown (餅きなこ)
2005-06-02 19:11:02
 日本の右肩上がりってよく聞きますね。なんでこんなことになっちゃったんですかね?なんか悲しいです。

エッチだけじゃないですよ!お風呂が面倒とか、パンツを変えずに、アソコがあたる部分に布をつけて、その布を毎日、変えるといったことによる不潔さも性病のモトよね。

 ガン予防の12か条でも、体を清潔にしましょうというのがあります。

 ママからもらった大切な体です。粗末にして欲しくないです。にしても、ほんとに、とっても残念な話しです。



 中国ってオリンピックのために子供たちが一生懸命、英語を勉強してるんですよね。すぐ日本なんか追いつかれるって思いました。

 でも、こんなことがあったなんて。きなこはつくづく現実を知らないんだなって思いました。

 勉強になりました。
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エイズに関して (性病お悩み解決 性病郵送検査)
2005-06-03 18:48:23
トラックバックありがとうございます。



非常に興味深いブログですね。



今後ともよろしくお願いします。
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南アフリカ諸国 (bp)
2005-06-07 04:20:58
いつも楽しく読んでます。いつも勝手にコメントしすみません。



実はもっとひどいのは南アフリカ諸国です。成人の30%が感染していると言われていて、平均寿命は30歳代。例えば、バスを待っていてもバスが来ない。工場のラインが止まる。多くの運転手が労働者がエイズで勤務できないから。セサミストリートのキャラクターにHIVpositiveの人が追加されたという話を聞いたこともあります。



この中国の村のケースのように本当に問題なのは貧困です。エイズは数年後に発病するかもしれませんが、貧困でご飯が食べられなければ明日にでも死にます。そのような状況の時にたとえ危ないと知っていても選択の余地は少ないのかもしれません。

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これは雑誌で読みました (ふうてんの猫)
2005-06-08 02:21:01
こんばんわ。

ふうてんの猫です。

TBさせていただきました。



この記事は雑誌で読んだのですが、彼らが不憫でとても胸が締め付けられました。
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>bp様 (giants-55)
2005-06-08 15:00:07
書き込み有難うございました。



南アフリカ諸国に於けるエイズ蔓延度合いは、聞きしに勝るものの様ですね。一時の享楽の為に無軌道な性行為を繰り返し、その挙句エイズ感染してしまったというのならば同情の余地は無いのですが、貧困から脱却しようとして成した行為での感染は、不幸のスパイラルを感じ、何とも遣る瀬無いです。



セサミストリートのキャラクターの件は、以前報道で知りました。日本ではどうしてもエイズ=性感染という面ばかりが強調され、表立って取り上げる事を躊躇している雰囲気が在ります。でも、海外では社会問題として多くの人に正しい認識を持って貰いたいという意識が強く、それ故に子供向け番組でこういったキャラクターを登場させる事にしたんでしょうね。
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