プロ野球開幕から、もう少しで2ヶ月が過ぎようとしている。パ・リーグの場合は上位2チーム、即ち1位のホークスと2位のファイターズ(以降、特別な記載が無い限りは、2011年6月5日の全試合終了時点での数字とする。)が大きく貯金(ホークスは18、ファイターズは12。)をするも、セ・リーグの場合は1位のスワローズですら貯金が6と突出しているという状況では無い。セ・パ共に、今後どういう展開を見せて行くのだろうか?
今季から“国際基準”に合わせる形で「統一球」が導入されたのは多くが知る所だろうが、開幕前から「統一球導入で、日本のプロ野球は大きく変わるのではないか?」と野球評論家等の間では言われて来た。統一球は従来の球よりも反発力が低い(飛ばない)という事から、「『打高投低』(概して打者に有利、投手に不利という状態。)から『打低投高』へと変わるのではないかという指摘だ。5月28日の記事「巡り合わせの悪さ」でも取り上げた様に、「1チーム1試合当たりの平均得点は約3.4点と、昨年よりほぼ1点/試合の低下。」(2011年5月27日現在の数字。)となっており、少なくとも現段階では昨年よりも「打低投高」という現実にはなっている。
先日、野球評論家の伊東勤氏が「統一球を導入した事で、外国人投手の成績が良くなっている。(国際基準故)投げ慣れた球(=統一球)というのが、大きく影響しているのかもしれない。」といった趣旨の発言をしていた。「そう言われてみれば、今季は概して外国人投手が好投を見せている様な気がするなあ。」と思って調べてみた所、パ・リーグでは昨年の「投手成績ベスト16」(昨年のパ・リーグで、規定投球回を満たしたのが16人。)に入った外国人投手が3人だったのに対し、今季の「投手成績ベスト16」に入っているのは4人。一方セ・リーグでは、昨年の「投手成績ベスト12」(昨年のセ・リーグで、規定投球回を満たしたのが12人。)に入った外国人投手が1人に対し、今季の「投手成績ベスト12」では2人。各々1人ずつでは在るが、外国人投手が増えてはいる。(外国人投手の顔触れも昨年とは変わっているし、中継ぎや抑えの外国人投手の数字も反映されていないだろうから、必ずしも此のデータだけで「外国人投手の成績が良くなった。」とは言えないけれど。)
「現時点迄、統一球は投打にどんな影響を与えているのだろうか?」、興味が在ったので両リーグの昨年と今季の「チーム打率」、「チームのホームラン数/試合」、そして「チーム防御率」を比較してみた。「此れ等の変化が、全て統一球の影響を受けている。」とは言わない。「昨年と選手の顔触れは変わっている。」等、様々な違いが在るから。でも、或る程度の指標に成り得るのではないだろうか。以下に其の変化を記すが、「矢印(→)の左側の数字は昨年、右側は今季の数字を、そして括弧内の数字は具体的な『変化数』(良い方向の変化は『+』、悪い方向の変化は『-』。)。」を示す物とする。
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=パ・リーグ=
1位 ホークス
チーム打率: .267→.269(+0.002)
チームのホームラン数/試合: 0.93→0.67(-0.26)
チーム防御率: 3.89→2.15(+1.74)
2位 ファイターズ
チーム打率: .274→.266(-0.008)
チームのホームラン数/試合: 0.63→0.73(+0.10) チーム防御率: 3.52→2.21(+1.31)
3位 ライオンズ
チーム打率: .271→.242(-0.029)
チームのホームラン数/試合: 1.04→0.87(-0.17) チーム防御率: 4.19→2.87(+1.32)
チーム打率: .271→.226(-0.045)
チームのホームラン数/試合: 1.01→0.42(-0.59) チーム防御率: 3.97→3.43(+0.54)
5位 マリーンズ
チーム打率: .275→.249(-0.026)
チームのホームラン数/試合: 0.88→0.45(-0.43) チーム防御率: 4.10→2.76(+1.34)
6位 ゴールデンイーグルス
チーム打率: .265→.229(-0.036)
チームのホームラン数/試合: 0.66→0.48(-0.18) チーム防御率: 3.98→3.17(+0.81) =セ・リーグ= 1位 スワローズ
チーム打率: .268→.256(-0.012) チームのホームラン数/試合: 0.86→0.75(-0.11) チーム防御率: 3.85→3.29(+0.56)
2位 ドラゴンズ
チーム打率: .259→.225(-0.034)
チームのホームラン数/試合: 0.83→0.69(-0.14) チーム防御率: 3.29→2.51(+0.78)
3位 ジャイアンツ
チーム打率: .266→.225(-0.041)
チームのホームラン数/試合: 1.57→0.73(-0.84) チーム防御率: 3.89→2.94(+0.95)
4位 カープ
チーム打率: .263→.248(-0.015)
チームのホームラン数/試合: 0.72→0.29(-0.43) チーム防御率: 4.80→3.39(+1.41)
5位 ベイスターズ
チーム打率: .255→.239(-0.016)
チームのホームラン数/試合: 0.81→0.70(-0.11) チーム防御率: 4.88→3.83(+1.05)
6位 タイガース
チーム打率: .290→.235(-0.055)
チームのホームラン数/試合: 1.20→0.59(-0.61) チーム防御率: 4.05→3.16(+0.89) ************************************** 「青太文字は各々のリーグで、一番“良い”変化を見せたチーム。(打撃面では、悪い影響を一番受けなかったチームも含む。)。」を、そして「赤太文字は各々のリーグで、一番“悪い”変化を見せたチーム(防御率の場合は、一番恩恵を被らなかったチーム。)。」を表している。 打率に関してはホークス、チームのホームラン数/仕合に関してはファイターズが「+の変化」を見せているが、其れ以外は全て「-の変化」。打撃面ではホークスとファイターズは統一球の対策が上手く出来たが、残りの10チームは統一球のマイナス影響を受けたと言えるかもしれない。 防御率に関しては、12チーム全てが「+の変化」を示している。最も「+の変化」を示したのは、パ・リーグ1位のホークス(「+1.74」)。次に来るのはカープ(「+1.41」)だが、昨年の数字が悪過ぎた事も在り、変化数の大きさが現在の順位に余り反映されていないのは残念な所。 数字の御遊び的な部分も在るが、現時点迄は「統一球の導入が、打低投高という状態を生み出している。」と言えそうだ。
阪神の各打者、統一球を意識するあまり、打たねばと思い、ボール球に手を出し、打率を落としています。それに外国人ピッチャーをさっぱり打てません。
去年の打線に、ピッチャー陣が整備され、タイガース優勝と思っていたのですが、まさか最下位になるとは思いませんでした。