ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件」

2013年06月19日 | 書籍関連

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悍ましい因習が残る、青森県集落。大学の同僚教授・三崎忍(みさき しのぶ)に同行し、20年振り帰郷する「私」には、苦い思い出の土地だった。

 

途中の新幹線で、「私」達は同じ場所を目指す心理カウンセラーの桜木静流(さくらぎ しずる)と出逢う。が、雪で閉ざされた縁切寺で「私」達を待ち受けていたのは、世にも奇怪な連続殺人事件だった。

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第10回(2011年)「『このミステリーがすごい!』大賞」で最終候補作の1つに残るも受賞には到らず、手直しをした上で“隠し玉”として上梓された小説「Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件」。著者矢樹純さんは、実妹加藤缶さんとの共同ペン・ネーム加藤山羊(かとう やぎ)」で、漫画家としても活動している。原作を矢樹さんが、そして作画を加藤さんが担当しているそうだ。

 

「首及び両手を切断された死体」や「周囲に足跡が無い状態で発見された焼死体」等、おどろおどろしく且つミステリー好きの好奇心をそそる設定が、小説内には用意されている。自分もミステリー好きなので、此れ等の設定には興味を惹かれた。

 

読み終えて感じたのは、読むのがしんどい作品だなあ。という事。「登場人物達のキャラクターに、全く感情移入出来ない。」、「ストーリー展開がまどろっこしい。」、「登場人物達が、普通では考えられない行動をする。」、「余りにも御都合主義。」等々がそうで、特に気になったのは「登場人物達のキャラクターに、全く感情移入出来ない。」及び「登場人物達が、普通では考えられない言動をする。」という、登場人物達に関わる部分。

 

「犯罪」を「悪い事」と全く思わず、平然と「犯罪行為」に及ぶ人間が探偵役を担っているのだが、小説の中の話と判ってはいても、此のキャラクターには嫌悪が。

 

又、「こういう状況下で、こういう言動をするって、普通は在り得ないだろ。」と思ってしまう記述が目立つのも興醒め。例えば「首及び両手を切断された死体を発見した一般人が、直ぐにショックから立ち直って、平然と言動している“様な”記述。」というのは不自然。警官なら別だが、一般人ならば、普通はショックを引き摺る物だろう。

 

此の小説では或る精神疾患が重要な要素として使われており、其の事が明らかになった時は、「そうだったのかあ。」という驚きが在った。でも、其の精神疾患と結び付けられる事柄が積み重なると、「其れって、余りにも御都合主義でしょ。」と白けてしまう。

 

「Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件」というタイトルは無駄に長ったらしく、そしてダサい。著者は意図してそうしたのかもしれないが、ストーリー展開がまどろっこしいだけに、余計に駄目駄目さを感じてしまった。

 

「読み進めるのが辛い。」と感じ、途中で読むのを断念する人が結構そう。「『このミステリーがすごい!』大賞」絡みで上梓された作品は全て読破するというポリシーが無ければ、自分も途中で投げ出していた事だろう。

 

総合評価は、星1.5個とする。


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