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未曽有の連続爆破事件から1年。スズキタゴサクの裁判の最中、遺族席から拳銃を持った青年が立ち上がり、法廷を制圧した。
「皆さんには、此れから暫く、僕のゲームに付き合って貰います。」。生配信で全国民が見守る中、警察は法廷に囚われた100人を救い出せるのか?
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呉勝浩氏の小説「法廷占拠 爆弾2」は、同氏の作品「爆弾」(総合評価:星3つ)の続編。山手線エリアを中心とする都内十数ヶ所で、死者98人、重軽傷者は軽く500人を超える連続爆破事件を起こした中年男・スズキタゴサクを逮捕したものの、事件を未然に防げなかったという意味で「警察としては、『99.99%敗北。』と言って良い結果に終わった。」のが前作。其れから凡そ1年経ち、スズキタゴサクの初公判が開かれたのだが、今回の「法廷占拠 爆弾2」は其の5回目の公判を描いている。
未曽有の大事件を裁く場で、被告人のスズキタゴサクを始めとする100人が“人質”に取られる事に。犯人の柴咲奏多(しばさき かなた)は「未執行の死刑囚達の死刑執行中継を行う様に。」との要求を提示するが、果たして本当に其れが目的なのか?
「爆弾」でもそうだったが、スズキ タゴサクの言動が兎に角不快で、読んでいてムカムカして来る。又、今回は犯人の言動も同様で、読み進めるのがしんどかった。
「“どんでん返し”の設定が見事。」とされる呉氏だが、人間関係の意外さは在るものの、どんでん返しは大した事が無いし、何よりも犯人の柴咲奏多(しばさき かなた)の犯行目的が、個人的にはしっくり来ない。
ネタバレに成ってしまうが、最終的にスズキタゴサクは逃亡する事になる。そうなると続編が書かれるのは間違い無いだろうが、其処迄、人気が在るシリーズなのだろうか?
総合評価は、星3つとする。