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「中国で相次ぐ児童襲撃、格差への不満捌け口か」(4月29日、読売新聞)
中国南部・広東省の小学校で28日、校内に侵入した男が刃物で児童や教師を襲撃し、計16人を負傷させる事件が発生したのに続き、29日にも東部・江蘇省の幼稚園で園児等が襲われ、計32人が負傷する惨事が在った。
経済発展に伴う所得格差の拡大で、失業者や出稼ぎ労働者等の間で膨らむ不満の矛先が、児童等弱者に向かっているものと見られる。
新華社電等によると、広東省の事件の犯人は、別の小学校の男性教諭(33歳)。教室で児童等を襲った後、校舎屋上で自殺を試みたが警官等に取り押さえられた。4年前から病気で学校を休んでいたと言う。
江蘇省では、ナイフを持った47歳の無職の男が幼稚園の教室で園児等に襲い掛かり、園児29人を含む32人が負傷した。園児5人は重傷。男は9年前に保険会社を解雇され、マルチ商法に手を染めていたと言う。3月にも福建省の小学校で、小学生が男に襲われ、13人が死傷する事件が在り、死刑が28日に執行されたばかり。
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「強者が弱者を甚振る。」のも、又「弱者が更なる弱者を甚振る。」のも、古今東西見受けられる事だが、どういう立場で在れ弱者を甚振るというのは、本当に嫌な思いにさせられる。
閑話休題。
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バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が突然部活を辞めた。それが切っ掛けで、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな、しかし確実な波紋が広がって行く。野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。部活をキー・ワードに、到る所でリンクする5人の物語。
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「平成」も今年で22年目を迎えたが、平成元年に生まれた若者が第22回(2009年)小説すばる新人賞を受賞して作家デビューというニュースを目にした時には、「平成生まれの作家かあ・・・。」と昭和生まれの自分は感慨深い思いが在った。「どういうストーリーなんだろう?」と興味を惹くタイトルの「桐島、部活やめるってよ」で文壇入りした新星の名は朝井リョウ氏。現役の大学生で、大学ではストリートダンスのサークルに所属しているとか。小説のカバーに彼の写真が載っているが、今風の御洒落な兄ちゃんといった感じだ。
バレー部のキャプテン・桐島が突然部活を辞めた事が、彼を良く知っている者のみならず、彼を知らない者に迄何等かの影響を及ぼす。それを5人の視線から、淡々と描いている。
個人的な感想を言えば、やや読み難さを感じる文章。“素の文章”の中に鉤括弧(「 」)無しに会話文が書かれていたり、鉤括弧付きで書かれていたりという不統一さは未だしも、所謂「若者言葉」が溢れているのは、正直“おっさん”には辛い物が在った。自分が登場人物達と同じ17歳の頃、恐らく当時の大人達は今の自分と同じ様に、「こいつ等の話し方、良く判らないなあ。」と感じていた事だろうけれど。
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・ 「てかさーなんかうちのメニューだけ若干きつくない?なんやのあれ?」。す、ときれいに縦のラインの入った引き締まったお腹をシャツで隠しながら、絵理香はわめく。
・ 自分以外の誰かが注目されるのって、やっぱり悔しいしもんもんとした気持ちになる。
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それと上記した文章に見られる様に、読点(、)が欲しい箇所にそれが無く、故にサッと読んで理解出来ず、もう一度読み直して「そういう意味か。」と理解するという部分が結構在った。上記した文章で言えば、「てかさー、なんかうちのメニューだけ、若干きつくない?」、「やっぱり悔しいし、もんもんとした気持ちになる。」とした方が読み易くなると思うのだが。(序でに言えば、「す、ときれいに縦のラインの入った引き締まったお腹」というのも、「すっと、きれいに縦のラインの入った、引き締まったお腹」とした方が個人的には判りが良いのだが、これはまあ感性の違いだろう。)
学生時代、部活動に勤しんでいた人ならば、より一層感情移入出来る作品の様に感じる。自分は所謂「帰宅部」だったので、その点での感情移入度は低かったけれど、「前田涼也」という章にはどっぷり感情移入してしまった。
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高校って、生徒がランク付けされる。なぜか、それは全員の意見が一致する。英語とか国語ではわけわかんない答えを連発するヤツでも、ランク付けだけは間違わない。大きく分けると目立つ人と目立たない人。運動部と文化部。上か下か。目立つ人は目立つ人と仲良くなり、目立たない人は目立たない人と仲良くなる。目立つ人は同じ制服でもかっこよく着られるし、髪の毛だって凝っていいし、染めていいし、大きな声で話していいし笑っていいし行事でも騒いでいい。目立たない人は、全部だめだ。この判断だけは誰も間違わない。どれだけテストで間違いを連発するような馬鹿でも、この選択は誤らない。なんでだろうなんでだろう、なんて言いながら、僕は全部自分で決めて、自分で勝手に立場をわきまえている。僕はそういう人間だ。そういう人間になってしまったんだ。
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部活動はしていなかったけれど、クラブ活動では文系のクラブに所属していた自分。前田涼也と同様に、目立たない、そして格好良くも無い部類だったので、この文章にはほろ苦い懐かしさを感じてしまったから。
メディアで大絶賛されている程の良さを、自分はこの小説に感じ得なかった。読み難さが大きく影響したのかもしれない。総合評価は星3つ。
「中国で相次ぐ児童襲撃、格差への不満捌け口か」(4月29日、読売新聞)
中国南部・広東省の小学校で28日、校内に侵入した男が刃物で児童や教師を襲撃し、計16人を負傷させる事件が発生したのに続き、29日にも東部・江蘇省の幼稚園で園児等が襲われ、計32人が負傷する惨事が在った。
経済発展に伴う所得格差の拡大で、失業者や出稼ぎ労働者等の間で膨らむ不満の矛先が、児童等弱者に向かっているものと見られる。
新華社電等によると、広東省の事件の犯人は、別の小学校の男性教諭(33歳)。教室で児童等を襲った後、校舎屋上で自殺を試みたが警官等に取り押さえられた。4年前から病気で学校を休んでいたと言う。
江蘇省では、ナイフを持った47歳の無職の男が幼稚園の教室で園児等に襲い掛かり、園児29人を含む32人が負傷した。園児5人は重傷。男は9年前に保険会社を解雇され、マルチ商法に手を染めていたと言う。3月にも福建省の小学校で、小学生が男に襲われ、13人が死傷する事件が在り、死刑が28日に執行されたばかり。
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「強者が弱者を甚振る。」のも、又「弱者が更なる弱者を甚振る。」のも、古今東西見受けられる事だが、どういう立場で在れ弱者を甚振るというのは、本当に嫌な思いにさせられる。
閑話休題。
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バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が突然部活を辞めた。それが切っ掛けで、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな、しかし確実な波紋が広がって行く。野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。部活をキー・ワードに、到る所でリンクする5人の物語。
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「平成」も今年で22年目を迎えたが、平成元年に生まれた若者が第22回(2009年)小説すばる新人賞を受賞して作家デビューというニュースを目にした時には、「平成生まれの作家かあ・・・。」と昭和生まれの自分は感慨深い思いが在った。「どういうストーリーなんだろう?」と興味を惹くタイトルの「桐島、部活やめるってよ」で文壇入りした新星の名は朝井リョウ氏。現役の大学生で、大学ではストリートダンスのサークルに所属しているとか。小説のカバーに彼の写真が載っているが、今風の御洒落な兄ちゃんといった感じだ。
バレー部のキャプテン・桐島が突然部活を辞めた事が、彼を良く知っている者のみならず、彼を知らない者に迄何等かの影響を及ぼす。それを5人の視線から、淡々と描いている。
個人的な感想を言えば、やや読み難さを感じる文章。“素の文章”の中に鉤括弧(「 」)無しに会話文が書かれていたり、鉤括弧付きで書かれていたりという不統一さは未だしも、所謂「若者言葉」が溢れているのは、正直“おっさん”には辛い物が在った。自分が登場人物達と同じ17歳の頃、恐らく当時の大人達は今の自分と同じ様に、「こいつ等の話し方、良く判らないなあ。」と感じていた事だろうけれど。
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・ 「てかさーなんかうちのメニューだけ若干きつくない?なんやのあれ?」。す、ときれいに縦のラインの入った引き締まったお腹をシャツで隠しながら、絵理香はわめく。
・ 自分以外の誰かが注目されるのって、やっぱり悔しいしもんもんとした気持ちになる。
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それと上記した文章に見られる様に、読点(、)が欲しい箇所にそれが無く、故にサッと読んで理解出来ず、もう一度読み直して「そういう意味か。」と理解するという部分が結構在った。上記した文章で言えば、「てかさー、なんかうちのメニューだけ、若干きつくない?」、「やっぱり悔しいし、もんもんとした気持ちになる。」とした方が読み易くなると思うのだが。(序でに言えば、「す、ときれいに縦のラインの入った引き締まったお腹」というのも、「すっと、きれいに縦のラインの入った、引き締まったお腹」とした方が個人的には判りが良いのだが、これはまあ感性の違いだろう。)
学生時代、部活動に勤しんでいた人ならば、より一層感情移入出来る作品の様に感じる。自分は所謂「帰宅部」だったので、その点での感情移入度は低かったけれど、「前田涼也」という章にはどっぷり感情移入してしまった。
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高校って、生徒がランク付けされる。なぜか、それは全員の意見が一致する。英語とか国語ではわけわかんない答えを連発するヤツでも、ランク付けだけは間違わない。大きく分けると目立つ人と目立たない人。運動部と文化部。上か下か。目立つ人は目立つ人と仲良くなり、目立たない人は目立たない人と仲良くなる。目立つ人は同じ制服でもかっこよく着られるし、髪の毛だって凝っていいし、染めていいし、大きな声で話していいし笑っていいし行事でも騒いでいい。目立たない人は、全部だめだ。この判断だけは誰も間違わない。どれだけテストで間違いを連発するような馬鹿でも、この選択は誤らない。なんでだろうなんでだろう、なんて言いながら、僕は全部自分で決めて、自分で勝手に立場をわきまえている。僕はそういう人間だ。そういう人間になってしまったんだ。
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部活動はしていなかったけれど、クラブ活動では文系のクラブに所属していた自分。前田涼也と同様に、目立たない、そして格好良くも無い部類だったので、この文章にはほろ苦い懐かしさを感じてしまったから。
メディアで大絶賛されている程の良さを、自分はこの小説に感じ得なかった。読み難さが大きく影響したのかもしれない。総合評価は星3つ。
見るからに中学生、それも中一位のガキんちょが街中でスパスパ煙草を吸っているのを見掛けた事が在ります。「おいおい、そりゃあまずいだろ。」と注意しようかなと思うも、「下手に注意すると、ぶすっと刺されちゃう御時世だしなあ。」と躊躇する気持ちが。やはり同じ気持ちなのか、明らかに気付いているものの、周りの大人達は見て見ぬ振り。「どうしようかなあ・・・。」と迷っていたら、一人の御老人(女性)が「貴方、未成年でしょ?隠れて吸うなら未だしも、堂々と吸うなんて百年早いわよ。」と笑顔を浮かべつつも厳しく注意。「はい・・・済みません。」と素直に煙草を消した少年。何か微笑ましい光景でした。注意出来なかった自分を恥じると共に、「昔ならもっと多くの大人達が、普通に注意していたんだろうけどなあ。」と残念に思う気持ちも。
若者言葉に戸惑う事は少なくないのですが、一番嫌なのは若い女性の“男言葉”。可愛い女の子が「おめー、何やってんだよー!!!そんな事も出来ねーの?ほんとに、チンコ付いてんのー?」なんて言っているのを見掛けた時には、目眩がしてしまったし。