*********************************
金精峠で土砂崩れが起こり、足尾町の人々は原因不明の死を遂げ、富岡では大火災が発生する等、関東北部では未曾有の大災害が頻発していた。そんな折、元大手ゼネコン技術者の木龍純一(きりゅう じゅんいち)の下に、奥立隆弘(おくだて たかひろ)という男が訪ねて来る。全てはマグマ活動に伴う火山性事象が原因で、此れ以上の被害を阻止すべく、技術者としての木龍の力を借りたいと言う。だが、彼の協力も虚しく、大噴火は止められず、軈てマグマは東京へと南下して行く。
*********************************
小説「生存者ゼロ」で第11回(2012年)「『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞を受賞し、文壇デビューを果たした安生正氏。2作目の「ゼロの迎撃」に続いて上梓された「ゼロの激震」を読んだ。
*********************************
東日本大震災や阪神・淡路大震災、また、雲仙普賢岳や三宅島、そして有珠山の噴火はすべて『平成』に入ってから起きている。
ほかにも2004年の新潟県中越大震災、2011年の九州、新燃岳噴火など、被害の大きかった地震や火山の噴火が過去20年間に複数回発生している。
一部の地質学者のあいだでは「日本列島は大きな変動期に入ってきているのではないか。」と議論になっていた。
*********************************
序章の前に書かれた文章。「迫り来る巨大マグマにより、関東消滅の危機。」というスペクタクル巨編は、「こんな事、起こる訳無いだろ。」と全否定出来ないのが、平成に入って以降起こった大災害の数々。
読んでいて、どんどん引き込まれて行く内容。非常に面白いのだけれど、内容にリアリティーさを持たせんが為、専門用語が多用され、其の事で読み難さは在る。又、終わり方も安っぽい映画の様で、「勿体無いなあ。」という思いが。
*********************************
「木龍よ。老いるということは、若い頃が思い出に変わること。取り戻せないものがあることを知ることだ。ある者は悔い、ある者は涙し、ある者は懐かしむ。もし三人目なら幸せな人生だったということだ。」。
*********************************
総合評価は、星3.5個。