自分は、“昭和の”ウルトラ・シリーズを見て育って来た人間。ウルトラ・シリーズには数多の怪獣や宇宙人、ロボット等が登場するが、其の中には未だに忘れられないキャラクターが少なく無い。記事「実相寺氏、光の国に旅立つ」等、過去に何度か触れたが、個人的に一番忘れられないのは、「ウルトラマン」【動画】の第23話「故郷は地球」【動画】に登場したジャミラだ。御存知無い方も居られようから、簡単にジャミラに付いて記す。
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ジャミラ:宇宙開発競争の時代、某国が打ち上げた人間衛星に搭乗していた1人の宇宙飛行士。正真正銘の地球人、彼の名前は「ジャミラ」。事故によって水の無い惑星に不時着した彼は、地球からの救助を待つ。しかし、彼の母国は国際的な批判を恐れ、打ち上げの事実すらも隠蔽。救助を出す事は、一切無かった。惑星に捨て置かれたジャミラは、軈て其の過酷な環境に適応すべく、肉体が変異して行き、怪獣「ジャミラ」となる。そして、自分を見捨てた地球人に復讐する為、地球に戻って来る。
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【ジャミラ】
暴れるジャミラを倒すべく、集まった科学特捜隊(略称:科特隊)の面々だったが、ジャミラが「国家、そして人間のエゴにより、見捨てられた1人の人間だった。」事を知る。そんな彼等に対し、科特隊のパリ本部は「ジャミラが元は人間だったという事実を一切公表せず、飽く迄も『怪獣』として葬り去れ。」と命令。苦渋しつつも、ジャミラを倒したウルトラマンと科特隊のメンバー達。断末魔の叫びを発して絶命したジャミラの遺体は埋葬され、墓標が建てられる。
「人類の科学と発展の為に死んだ戦士の魂、此処に眠る。」と刻まれた墓標を前に、科特隊のイデ隊員が吐き捨てる様に言う。「犠牲者は、何時もこうだ!文句だけは美しいけれど!!」。「怪獣=悪の存在」と信じて疑わなかった当時の子供達(勿論、自分も含む。)にとって、「『悪』とされる存在も、実際には『悪』では無い事も在る。『大きな存在』の都合で、一方的に『悪』とされてしまう事も在るのだ。」という強烈なメッセージを与えられた作品だった。
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海を漂流し流れ着いた所を、剣術の師匠で在る比古清十郎(福山雅治氏)に助けられた緋村剣心(佐藤健氏)。其の後、剣心は、山中に居を構えて陶器作りに励む師匠に対し、「飛天御剣流の奥義を教えて欲しい。」と懇願する。
一方、甲鉄艦「煉獄」に搭載した大砲で1つの村を襲撃した志々雄真実(藤原竜也氏)は、政府に対して剣心を指名手配し、捕らえて処刑する様に求める。
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1990年代に人気を博した漫画「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」。今回観た映画「るろうに剣心 伝説の最期編」は、8月に観た「るろうに剣心 京都大火編」の続編で在り、シリーズの完結編とされている。
「るろうに剣心 京都大火編」に比べると「るろうに剣心 伝説の最期編」は、半ば辺り迄“かったるさ”を感じてしまった。「此の作品の見所の1つでも在る“派手な殺陣のシーン”が少なかった。(半ば以降は、存分に見せてくれている。)」のも在るが、原作を読んでいない身としては、「登場人物達の言動の背景に在る物が、今一つ見え難い。」というのが大きい。例えば「剣心の命を執拗に付け狙う四乃森蒼紫(伊勢谷友介氏)だが、「彼が何故其処迄、剣心の命を付け狙うのか?」が良く判らない。最後の方で動機らしき事が明らかにされてはいるのだが、「其れだけ?」とう弱さをどうしても感じてしまったし。
(半ば以降の)派手な殺陣のシーンは、非常に見応えが在った。又、明治政府に戦いを挑んだ志々雄一派にも、“大きな存在”(明治政府)に切り捨てられた者としての怒りが在るという所に、冒頭で紹介した“ジャミラの哀しみ”と重なる物を感じた。(明治政府の命令で志々雄と戦う事になった剣心を、あっさりと切り捨て様とした明治政府の対応には憤りが。そんな連中に対し、彼等の“敬礼”だけで怒りを抑えてしまった剣心達は、良くも悪くも心が広いのか?)
前作よりは、物足りなさを感じる。総合評価は星3つ。