「3勝2敗」とゴールデンイーグルスが日本一に王手を掛けて臨んだ昨夜の第6戦。「ゴールデンイーグルスの先発は、昨季から『公式戦30連勝中』と、“不沈空母”の田中将大投手*1。」、「試合が行われるのは、ゴールデンイーグルスの本拠地・“Kスタ宮城。」、「ゴールデンイーグルスの打撃陣は絶好調、一方のジャイアンツは絶不調。」等を考え合わせれば、「第6戦で、ゴールデンイーグルスの日本一は決定。」と誰しも思っただろう。
開幕前の予想では「4勝2敗でゴールデンイーグルスが日本一。(ジャイアンツが日本一になれるとしたら、4勝3敗になるのではないかとも。)ジャイアンツ打線が田中投手を打ち崩すのは不可能に近い。」としていた自分。一昨日の記事「白旗」では「ジャイアンツは(2日の試合を)99.9999999・・・%勝てないだろう。」と書いたけれど、「99.9999999・・・%」というのは強がりで、本音では「100%勝てない。」と思っていた。「負けの中からも、ジャイアンツの先発・菅野智之投手は、今後に活かせる何かを掴み取って欲しい。」というのが、ジャイアンツ・ファンとして唯一の願いだった程。
「ジャイアンツの負けが判っている試合を見るのは忍びない。」という思いが強く、中継を見るのを止める事も考えたが、今季頑張った選手達の事を思うと、「最後の最後迄、見届けないといけないだろうな。」という気持ち、即ち「死に水を取る積り」で見る事にした。
田中投手、不安を全く感じさせない立ち上がり。一方、菅野投手は2回裏、1死から四球を与えてしまい、其の後エラーが絡んで2点を失ってしまう。「相手チームに先制点を与えては駄目。」というのは勝利投手になる為の鉄則と言っても良いが、「“不沈空母”が相手では、1点も与えられない。」という状況下で先制点を与えてしまったのは、ジャイアンツにとって「負け」を宣誓されたに等しい。「終わったな。」と思った瞬間だった。
「何時もと比べると、ややコントロールが悪いかな。」とは思ったが、其れでも走者を抱えると、気迫溢れる投球でジャイアンツ打線を抑え込む田中投手。5回表、ジャイアンツの攻撃を迎えた時点でも、「残り5イニングも田中投手に封じ込められ、ゴールデンイーグルスが日本一を決めるんだなあ。」という思いしか無かった。其れがまさか・・・。
ジャイアンツ打線がヒットを重ね、結局「2対4」でジャイアンツの勝利。「世の中に『在り得ない。』なんて事柄は、其れこそ在り得ない。」というのは頭で判っていても、「田中投手が負けるなんて在り得ない。」と信じて疑っていなかったので、意外や意外という結末。
打席に入ったら、バッティング・フォーム云々では無く、死に物狂いで投じられた球に向かって行くゴールデンイーグルスの選手達に対し、ジャイアンツの選手達には何処か淡白さを感じていた。「田中投手以外なら、何とか打てるだろう。」という驕りが在ったのかどうかは判らないけれど、「綺麗に打とう。」という意識が、ジャイアンツの選手達には強いのではないかとも。
打てない儘に第6戦を迎え、徳俵に足が掛かる迄追い込まれた事で、ジャイアンツの選手達に開き直りの心が生まれたのかもしれない。第5戦迄とは異なり、投じられた球に対して遮二無二向かって行くジャイアンツの選手達。そして、そんな姿を見て、委縮してしまった様なゴールデンイーグルスの選手達。
昨日のジャイアンツの勝因、打撃陣の奮起も当然在るが、一番大きかったのは菅野投手の頑張りだと思う。彼は先制点を与えてしまったものの、追加点は与えなかった。何よりも味方が得点&逆転した直後の5回裏、2死3塁のピンチを迎えても、確りと抑え切った事が、ジャイアンツに勝利を呼び込んだと言っても良いだろう。
此れで通算成績は、共に「3勝3敗」のタイ。引き分けにならない限り、今日の第7戦で日本一が決定する。不沈空母の田中投手を沈めた事で意気が揚がり、好投手の則本昂大投手の登板も厳しそうな状況を考えると、第7戦はジャイアンツに有利という声も在るが、ゴールデンイーグルスの先発・美馬学投手で、第3戦に先発した彼にジャイアンツ打線は翻弄された。昨夜、ジャイアンツ打線が爆発したとは言え、4番の阿部慎之助選手は本調子に程遠いし、他の選手も2日続きで打てるかどうか・・・。
第7戦、ジャイアンツの先発は杉内俊哉投手。先日の第3戦もそうだが、今季の彼は「調子の良し悪しが、試合によってハッキリしている。」のが特徴。少しでも調子が悪いと感じたら、原辰徳監督は即座に彼を交代させないと、勝利を掴み取るのは厳しいだろう。
一旦は諦めた「ジャイアンツの日本一」。此処迄来たら、何としてでも日本一になって欲しい。頑張れ、ジャイアンツ!!!
*1 試合後のインタヴューで星野仙一監督が、先発した田中投手を褒め称えた上で、気になる一言を口にしていた。「ファンの前で投げるのは、此れが最後という思いが在ったんじゃないかなあ。」というのが其れで、噂され続けて来た「田中投手は、今オフにメジャー移籍。」を認めた形とも言える。好投手が次々に日本を離れてしまうのは残念でならないが、此れだけの記録を打ち立てた上で、チームが日本一を決めたならば、「日本ですべき事は、もう無い。」と田中投手が思ってしまったとしても、其の気持ちは判らないでは無い。