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「特養御八つ死亡事故で逆転無罪 ドーナツ提供准看護師の過失否定」(7月28日、東京新聞)
長野県安曇野市の特別養護老人ホームで2013年、入居者の女性=当時(85歳)=が、御八つのドーナツを食べた後に死亡した事故を巡り、業務上過失致死罪に問われた女性准看護師(60歳)の控訴審判決で、東京高裁は28日、罰金20万円とした一審長野地裁松本支部判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。大熊一之裁判長は、「准看護師が女性にドーナツを提供した事が、刑法上の注意義務に反するとは言えない。」と判断した。
施設内での介護の過失に絡み、職員個人の刑事責任が問われたのは異例。介護現場では「萎縮に繋がる。」との異論も多く、二審で判断が変わるかどうか注目されていた。
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「死亡した入居女性は食べ物を口に詰める傾向が在り、事故6日前に御八つがゼリーに変更されたのに、確認を怠ってドーナツを配り、窒息させた。」等の理由から、一審では女性准看護師の過失を認定していた。 けれど、今回の二審では「御八つがゼリーに変更された事は介護職員間だけで情報共有され、准看護師が御八つの変更を容易に知る事は出来なかった。ドーナツは女性が入所後に食べていた通常の食品で、窒息の危険性や予見可能性は低く、ドーナツの提供が“刑法上の注意義務”に反するとは言えない。」として、逆転無罪の判決が言い渡された。
「喉に物が痞える。」というのは高齢者に良く在る事で在り、介護に従事する人は充分に注意を払わないといけない。でも、今回の件で言えば、御八つが柔らかいゼリーに変更された事が女性准看護師に伝えられていなかったという事だし、何よりも「死亡した入居女性が“通常の食品”としてドーナツを食べていた。」という事から、「ドーナツ提供=刑法上の注意義務違反」とするのは非常に酷だと思う。今回のケースが有罪となってしまったら介護現場は萎縮してしまい、「何もしない方が安全。」と事勿れ主義が幅を利かす事になってしまうだろう。なので、今回の逆転無罪という判決を、自分は支持したい。