ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

“駄目監督”と同じ遣り方

2013年01月21日 | 政治関連

プロ野球で新監督が就任した際、大概前任者の遣り方を否定する事から始まる。「良い結果が残せなかったからこそ、新監督に変わった。」というケースが殆どだろうし、良くない点を変えるというのは当然の事。でも、「自分のを打ち出したいだけ。」とか「前の体制に対して含む所が在り、其の遣り方を否定する事で、自己満足に浸りたいだけ。」といったケースが結構在る。中には前任者の遣り方を盲目的に“全否定”するという新監督も居りそういうのは結局、チームを混乱させこそすれ強くする事は無く、選手やファンにとっては、迷惑なだけだったりするものだ。

 

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仕分け 試されるチェック機能 廃止・見直し 続々復活へ」(1月21日付け東京新聞【朝刊】)

 

安倍政権の発足後、民主党政権の「事業仕分け」で廃止もしくは見直しを求められた事業が相次いで復活しつつある。仕分けは、法的拘束力がなく、短時間で結論を出す手法の問題も指摘されたが、行政の無駄に切り込む姿勢は一定の評価を得てきた。政権交代により、無駄の検証なく、仕分けられた予算がよみがえれば、行政へのチェック機能の後退は避けられない。 (中根政人、宮尾幹成)

2012年度補正予算案には「ものづくり中小企業小規模事業者試作開発等支援補助金」事業が1,007億円計上された。ものづくりをする中小企業を支援する目的で緊急経済対策の柱に位置付けられている。

 

2009年度の補正予算でも同じ事業が573億円計上されたが、同年の仕分けで「補助金を配る仕組みが問題。」として、翌年度の予算計上を見送る様判定された。経済産業省によると、事業費は外部団体を経由し、中小企業に補助金として配られていた。其の外部団体が事業費の内約18億円を「事務経費」として抜き取っていたのが問題視された。

 

今回計上された事業も、経産省が事業費を基金化して外部団体に預け、補助金を交付する企業の選定も外部団体に委託する方針。指摘された問題は改善されず、事業規模だけ増えたとの印象が残る。

 

2013年度予算の概算要求でも各府省は仕分け判定を覆している。文部科学省伝統芸能等に関する「親子体験教室」に、関連事業と共に34億円を要求。此れは仕分けを受けて廃止された伝統芸能の「子ども教室」に、親も参加させる形にして復活させた内容。環境省も仕分けで「別の省庁が実施している。」として予算要求の見送りを求められた温室効果ガス削減関連のデータ活用事業費1億円を要求している。

 

内閣府は、国際交流の「東南アジア青年の船」事業に約6億3千万円を要求。此の事業は昨年6月の府省庁が独自に行った仕分けで廃止と判定された。自分達が廃止と決めた事業を約半年で復活させた事になる。担当者は「過去の自民党政権が育てて来た事業だ。」と説明している。

 

北海道大宮脇淳教授(行政学)は仕分けは、各府省庁の仕事の状況を公開し、必要性を国民に考えて貰う仕組みとしては、一定意義が在った。政権与党が代わっても、行政の無駄をチェックする作業が後退する事が在ってはならない。と指摘する。

 

<事業仕分け>行政機関等が予算化した事業の必要性を、公開の議論を通じてチェックする手法。民主党政権が導入し、注目を集めた。だが2009年の仕分け第1弾では、削減額が目標の3兆円に大きく届かなかった。法的な強制力も無く、廃止や見直しの判定が出た事業を各府省庁が無視するケースが続出。安倍政権は昨年12月の発足早々、事業仕分けを担当してきた行政刷新会議を廃止した。

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政権交代時、民主党も自民党が作って来たシステムを次々と廃止し、新しいシステムを作った。「『新しい政治』というのを、国民に印象付けたい。」という思いも在ったのだろうが、「何でも彼んでも『自民党のシステムは駄目!』というのは違うし、自民党政権下で作られた良いシステムに関しては、政権が変わろうとも残すべき。」という思いが、自分の中には在った。

 

そして再び政権交代となり、安倍首相が就任した事で、「今度は民主党政権下で作られたシステムが廃止されるのだろうけれど、安倍首相の余りの狭量さや執念深さを考えると、盲目的に民主党政権下でのシステムを全廃して行くのだろうな。」と予想していたが、案の定という感じで在る。

 

「民主党政権は政争明け暮れ肝心な『政治』が御座なりにされていた。」と、自分も感じている。だからこそ政権交代に大きな期待をしていた人々の反発を食らい昨年12月の衆議院議員総選挙で民主党が大敗を喫する結果となった訳だ。民意が離れてしまったのは当然と感じる一方、民主党が遣って来た事全てが駄目だったとも思っていない。「国の未来を背負って立つ子供達の育成を、国“も”バックアップする。」という考え方には共感覚えるので、「子ども手当」というシステムは悪くなかったと考えている。

 

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日本の選択 あなたはどちらを選びますか?‐先送りできない日本2」(著者池上彰氏)より

 

「子ども手当」は、当初案では児童1人につき2万6,000円を支給するという思い切った政策でした。しかし財源をどこから捻出するのかという問題があり、導入当初は中学校修了まで子ども1人につき月額1万3,000円、年額で15万6,000円を支給していました。標準的な子ども2人の世帯なら、約30万円もの給付が受けられたわけです。これは若い世代には相当インパクトがありました。実際に子ども手当が導入されたことで、国民はかなり多くのお金を使った、経済効果はあったという試算が出ています。

 

しかし現役世代に人気があった子ども手当に対して、自民党公明党は「人気取りのバラマキだ。」と強固に反対。子ども手当の支給対象となる子どもは1,700万人いましたから、必要な予算は2兆円です。毎年必要となるこの財源が確保できなかったのが最大の弱点でした。結局子ども手当は毎年毎年、子ども手当を出すかどうかを審議する制度になってしまいました。安定的にもらえるものと思えばこそ、子育て世帯の財布は緩むし、もう1人子どもを産もうと思えるのです。来年はどうなるか当てにならないお金ならば、人は使わずに貯めこんでしまいますし、ましてやこれで子どもが産めるとは思いませんよね。子ども手当と高校無償化とがセットであれば、日本少子化に歯止めがかかったかもしれないと思うと、残念でなりません。

 

ヨーロッパでは、こうした「子ども手当」によって出生率向上した例があるだけに。

 

確かに予算の裏付けもないまま、人気取りに走ったという批判は免れません。しかし民意が選択した民主党の政策を、民意が「NO」といった自民党が押し返すという図式、これはやはりヘンですよね。その原因は、ねじれ国会にあるのですが・・・。

 

自公両党の行動は、政策論争ではなく、民主党の人気を落とすための「政局」講堂だったと言わざるを得ないでしょう。きちんとした政策論争を展開できなかった民主党も情けないのですが。

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そして手法に問題が全く無かったとは言わないけれど、「事業仕分け」というシステムも、決して悪い物では無かったと考えている。其れは「国がしている事には、無駄が結構在りそう。」と“薄ぼんやり”と感じていた国民の前に、“具体的な形”で「無駄と思われる事柄」が提示され、其の事によって多くの国民が「国が行っている事に対し、もっと注視しなければいけない。」という意識が高まったと思うから。

 

熟考に熟考を重ねた上で、「此れは国や国民の未来にとって、絶対に必要な事。」と判断した事で在れば、「今は無駄と捉えられてしまう事」で在っても、押し通す必要は在ると思う。でも、「各省庁が“実績”を作りたいが為だけだったり、政治家官僚利権作りの為だけとしか思えない、無駄な事業。」が過去に数多在った事を考えると、「民主党政権下で作られたシステムは、盲目的に全廃。」といった“駄目監督と同じ遣り方”では、孫子の代に更なる無駄な赤字を積み増すだけ懸念する。


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