「週刊現代(10月14日号)」の記事「『老人ホーム』に入れない患者達が続々と・・・ 認知症で『精神科病院』に入れられた人達の末路」には、色々考えさせられた。
************************************************
・今、日本全国で、認知症患者が精神科病院に入院するケースが増えており、厚生労働省の調査によると「精神科病院に入院している患者数は約25万9千人に対し、其の内の約7万千人が実は認知症患者。詰まり、入院している内の3人に約1人が認知症患者という計算になる。」と。
・特別養護老人ホームの場合、2022年4月の時点で「約27万5千人」が“待機”しているというデータが在る。認知症患者が老人ホーム等の施設に思った以上に入れないという事情が、認知症患者が精神科病院に送り込まれる事へと繋がっている。又、施設の側にとっても、認知症患者のケアは専門的な知識・技能が必要だったり、施設内で他の入居者と動線を分けたりしないといけない等、「受け容れるのは面倒。」という本心も。
・「精神科病院に預けた方が、施設に入れるよりも安い。」という理由から、精神科病院を選択する家族も居る。高額療養費制度等を使えば、入院させた方が施設に預けるよりも安く済むというのは実際に在り、「例えば精神科病院に入院した場合、月の支払い額は平均7万円程度。一方、施設は数十万~数百万円の入居一時金が在る上、入居費も月額10万円以上が基本。」と。
・「病床が余り勝ちで、空いたベッドを認知症患者で埋めたい。」という思惑が、精神科病院の側にも在ったりする。
・「大声等で近隣に迷惑を掛ける、暴力を振るう等、家族や施設の力が及ばない場合は、止む無く精神科病院に入院して貰うケースも在ります。」と、精神科病院に入院する事に成り易い認知症患者に付いて記されている。
・認知症患者が精神科病院に入院する事で問題となっているのは、一般的な病院よりも医師や看護師が概して少ない事から、充分なケアが出来ずに患者の症状が進んでしまい勝ちな事に加え、暴れたりする認知症患者を致し方無くベッドに縛り付ける「身体拘束」。杏林大学保健学部教授・長谷川利夫氏は、「私が2016年に11病院を対象に調査した所、身体拘束の平均日数は、(1年で)96.2日でした。此れは世界に類を見ない程の長期間です。中央値は21日なので、実態としては3週間近く身体拘束される事が多い様です。長い人だと年単位で身体拘束されている人も居ます。此の調査で、身体拘束の最長は1,096日でした。」と語っている。
************************************************
認知症患者への虐待は、絶対に許される事では無い。でも、認知症患者のケアが半端無く大変なのも事実で、其の家族のみならず、ケアする“他人”の疲労困憊度合いは想像に難く無い。「出来る事なら、身体拘束なんてしたくない。でも、そうせざるを得ない事情も在るのだ。」と言われてしまったら、自分は何も言えなくなってしまう。