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其のホテルを訪れたのは、逃走中の不幸な彼女と、不運な殺し屋。そして・・・。
遣る事為す事、付きに見放されている殺し屋・七尾(ななお)。通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという「簡単且つ安全な仕事」の筈だった。
時を同じくして、其のホテルには、驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結花(かみの ゆか)が身を潜めていた。彼女を狙って、非合法な裏の仕事を生業にする人間達が集まって来る。
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伊坂幸太郎氏の小説「777 トリプルセブン」は、「グラスホッパー」、「マリアビートル」、そして「AX アックス」に続く、所謂「殺し屋シリーズ」の第4弾。伊坂作品は非常に個性的な作風(“癖が強い作風”とも言える。)なので、自分は好んで読む事は無く、殺し屋シリーズに関しても読んだのは「マリアビートル」(総合評価:星3つ)と、今回の「777 トリプルセブン」だけ。
伊坂作品が非常に個性的な作風に感じるのは、「格言めいた言い回しが、矢鱈と使われている。」事や「登場人物達の名前や状況設定が、とても奇想天外で在る。」事が大きいだろう。「777 トリプルセブン」でも「“マクラ”や“モウフ”、“エド”、“カマクラ”等、巫山戯た名前の登場人物達が登場する。」し、「超高級ホテル内に大勢の殺し屋達が集結し、次々と実に呆気無く殺されて行く。」等、とても現実味を感じさせない世界観。
範疇で言えば、「ピカレスク小説(悪漢小説)」や「スラップスティック・コメディー(ドタバタ劇)」に入るだろう。“悪い連中”が平然と悪事を働く一方で、彼等が殺されて行く様は残酷で在り乍ら、余りに滑稽でも在る。其のギャップが、伊坂ファンにとっては堪らないのだろう。
一見無関係そうな人物や設定が、後になって絶妙にリンクして行く。相変わらずの見事さだが、矢張り作風が自分には合わない。ストーリー的に、面白くない訳では無いのだけれど・・・。
総合評価は、星3つとする。