
御笑い大好き人間だけれど、「合う笑い」と「合わない笑い」というのが在る。以前にも書いたが、“欽ちゃん”事萩本欽一氏の笑いは、無茶苦茶嫌い。彼のねちっこい相手弄りがどうにも受け付けず、“視聴率100%男”と呼ばれていた時代でも、彼の番組を見ていて、くすりとすら笑えなかった。
先日、書店で「面白い本がないかなあ?」と物色していた所、欽ちゃんの「ダメなときほど運はたまる ~だれでも『運のいい人』になれる50のヒント~」という本を発見。「欽ちゃんが、『運』という物に対して異常な程固執している。」というのは、幾つかの逸話で聞き及んではいた。「そういう類いの逸話が列挙されてるんだろうなあ。」とは思ったけれど、手に取って読む事にしたのは、「欽ちゃんの笑いは大嫌いだけれど、何だ彼んだ言っても、一時代を築いたのは事実で、何か得られる物が在るかもしれない。」という考えからだった。
「僕は、運だけで生きて来たんだ。だから、運に付いては一家言在るの。」という欽ちゃん。本の冒頭では、次の様に記している。
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誰にでも運と不運は平等に来ます。だから、今が付いていない時期なら、その後幸運な時期が、屹度来る筈です。不運の度合いが大きければ大きい程、此れから遣って来る運も大きくなるの。
だから辛くても「今は運を溜めてる時期なんだ。」と思って耐えていれば、何時か状況は変わって行きます。運の神様は、然う然う1人の人間許り虐めません。
僕が思うに、運を大きく分けると、3つの種類が在る様な気がします。
最初の運は、「生まれ乍らの運」。大金持ちとか立派な仕事をしている家に生まれたから、運が良い訳じゃ無いんです。寧ろ、其の逆。
「家が物凄く貧乏で、玩具もゲームも買って貰えなかった。」。「親父がどうしようもない大酒飲みで、酔うと家族に乱暴した。」。「だらしの無い母親で、家は散らかり放題。母親に可愛がって貰った記憶が無い。」。
生まれ乍らに運を持っているのは、こういう人達なんです。辛い環境や子育てに向かない親の元に生まれて来た人って、最初から運がプラスの状態になってるの。
世間の人から、「可哀想な生い立ちね。」と言われる人は、僕から言わせれば凄くラッキー。こういう人は、自分の境遇を恨まず、極普通に生活を送っているだけで、必ず幸運が遣って来るんです。
其の代わり、今目の前に在る現実を嘆いたり、親を罵ったり、不平不満を言う度に運は段々と消えて行きます。
(中略)
2つ目の運は、誰かが持って来てくれる運。生まれた環境には関係無く、向こうから遣って来る運です。と言っても、誰にでも遣って来る訳じゃ無く、幾つか条件が在ります。
例えば人から好かれている人には、ちゃんと誰かが運を持って来てくれます。僕の場合、人から好かれていたかどうかは判らないけど、坂上二郎さんが運を持って来てくれました。
(中略)
嫌な事をじっと我慢している人にも、運は必ず来ます。「偉いね、良く耐えたね。」、「健気だね。」なんて言い乍ら、目に見えないプレゼントを抱えてくれる人が絶対居るの。
人間関係に悩んでいる人、虐められている人にも、大きな運が来ます。其れに、人を見る目が育つという御負けも付いて来ちゃう。臆病で何時も夢想許りしている人に、運の神様は優しいんです。
3つ目の運は、努力した人の元へ遣って来る運。「努力は人を裏切らない」という言葉が在りますが、運の神様も努力している人を裏切りません。
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「誰にでも運と不運は平等に来ます。」等、所謂「プラス思考」は全く同感。「怖い人には近寄って行け。」等、他にも「成る程。」と感じる部分は在った。
だがしかし、全体を通して感じるのは、「『運』への固執が、度を越している。」という事。「『自分が出ている番組の視聴率が下がったのは、スタッフ1人がマンションを買った事で、番組の運を持って行ってしまったから。』と欽ちゃんは本気で思い、其の結果として、其のスタッフはマンションの鍵を川に捨ててしまった。」という結構有名な逸話が登場するけれど、其の事を「良し。」と捉えている様な所や、「顔を一目見て、『泥棒の顔をしている。』と感じた子が居て、欽ちゃんは彼を遠ざける様にマネージャーに指示した。」なんていう逸話は、正直ドン引き。
又、「自分が売れなくなるといけないので、自分の家族には運を使わせない。」なんていうのも、「結局は、自分だけが可愛いんじゃないの?」という気がした。「他人の子供には異常に厳しい一方で、自分の子供には異常に甘い。」という親が居るが、「自分に頼るな。」と子供達を突き放し、実際に甘やかして来なかったという点では、筋が通っているとは思うけれど・・・。
それに萩本のように素人をイジる芸は嫌いです。先代林家三平も大嫌いでした。
http://blog.goo.ne.jp/totuzen703/s/%CE%D3%B2%C8%BB%B0%CA%BF
欽ちゃんが若手作家を育てるべく、有望な人間を家に長期間住まわせていたのは有名な話(パジャマ党やサラダ党。)ですが、「彼等に、『運』を溜めさせたい。」として欽ちゃんがした行為が記されています。此れがまあ、「虐め」と思える様な代物でドン引きしました。言い方は良く無いかもしれないけれど、オウム真理教内での「修行」(熱湯内に浸からせる等。)と似た感覚。
一時代を築いたという点では凄い人なのでしょうが、正直言って友達にはなりたくないタイプの人です。
個人的には、三平さんの芸風は嫌いじゃなかったのですが、好き嫌いはハッキリ分かれる芸風だとは思いますね。
腹立つのは私の興味のありそうな分野で彼が司会をする番組があることです。うるさいので編集したくてもようしゃべるので編集しきれない。だから見られず腹が立つ;;。
>家庭
戦後フィルムカメラマニアなら知っている人も多いのですが、彼の父親は光学会社の社長でした。
http://komatsu0513.heteml.jp/classic-bbland.html
萩本父の会社のような泡沫ブランドと、当時は結構売れた「ビューティーフレックス」や海外での知名度が未だ高い「ヤシカ」「マミヤ」、今は薬で有名な「コーワ」が同列というのはやや異論がありますが、萩本さんはお父さんの一時期の活躍を誇ってよいでしょう。
欽ちゃんが“視聴率100%男”として飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃、同級生の1人から「昨日の“欽ドン”面白かったよねー。」と唐突に言われた事が在りました。自分は欽ちゃんの笑いが全く理解出来なかったので、「ごめん。欽ちゃんって面白く無くて、番組見てないんだ。」と答えた所、丸で“宇宙人”でも見る様な目で、「えーー、見てないの!?」と返され、「欽ちゃんの笑いが理解出来ない俺って、矢張り異端なんだなあ。」とトラウマめいた思いを持ちました。
以前も書いたのですが、自分は明石家さんま氏の笑いも好きじゃないんです。欽ちゃんよりは面白さを感じ得るけれど、彼のねちっこい相手弄りが欽ちゃんとオーヴァーラップしてしまうんです。
欽ちゃん流に言ったら今までの不運が実を結び凄い幸運が舞い込んで来そうです
でも人生をゴルフコースに例えたらもう遥かにハーフを過ぎてしまいました
貯まった運で喜びを感じる事無くあの世に行っちゃいそうです
欽ちゃんは色々コンプレックスを抱えていそうですね
プラス思考と言うよりも、「そう考えないと、遣ってられない。」という思いからというのが本当かもしれませんが、自分が「不運が続けば、其の後で幸運が遣って来る。」と考える理由なんです。仮に悪い事許りの人生だったとしたら、「来世では、其の分良い事が一杯在る筈。」と考える。そうじゃないと、遣ってられません。
欽ちゃんって“良い言い方をすれば”、凄く人を見ている。“悪く言えば”、常に人の顔色を窺っている様な感じがします。恐らくは、非常に小心者なんでしょうね。自分自身がそうですから、そんな気がします。又、猜疑心も強そう。透明人間様が指摘されている様に、其の背景にはコンプレックスというのも在るのかもしれません。