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「世襲抑制へ自民案 厳格に公募 重複立候補認めず」(6月25日付け東京新聞[朝刊])
自民党の党・政治制度改革実行本部(塩崎恭久本部長)が世襲議員を抑制する為に纏めた提言案が24日、判明した。「全ての遣る気在る人物に、公平に機会を提供する。」と掲げ、国政選挙の新人候補を選定する際の厳格な公募実施や、世襲候補に衆院選小選挙区と比例代表の重複立候補を認めないハンディキャップの設定を盛り込んだ。
「開かれた政党」をアピールするのが狙い。親族から選挙区を引き継ぐ世襲の多さが「党の閉鎖性、不公平さ。」を国民に印象付けると指摘した。近く実行本部会合で議論した上で最終決定し、安倍晋三首相(党総裁)に提出する。
実行本部によると、昨年の衆院選小選挙区で自民党から当選した218人の内、世襲議員は72人と33.0%を占めた。立憲民主党10.0%、国民民主党12.5%に比べて突出している。首相や岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長も世襲議員だ。
現在も現職不在か再出馬の無い場合、公募で候補者を選ぶのが原則。だが実際は、衆院解散で時間が無い等として「済し崩しで世襲候補を公認する」(同本部)ケースは少なく無い。
提言案は、候補者未定の選挙区では任期満了2年前迄に公募を開始すると規定した。世襲議員に有利とされる推薦人の人数条件は禁じた。
親族に選挙区を継がせたい現職は、任期満了2年前迄に引退表明する様義務付けた。其の場合、1ヶ月以内に公募を開始する。「世襲候補の初挑戦では、重複立候補を認めない。」と明記し、幅広い候補者選定を促した。
此の他、現職優先の選挙区公認を見直し、各選挙区で年1回、世論調査を実施。信任度合いが基準に満たない場合は、公募等で新人に道を開く様提案した。
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自身にとって不都合な事は一切言わず、国民受けする事を主張はするけれど、実際には実行しない“言うだけ番長”の小泉進次郎氏は別にして、石破茂元幹事長や野田聖子総務大臣の様に、能力の在る世襲議員も居る。だから「全ての世襲議員は駄目!」と言う気は無いが、与野党を問わず「能力も意欲も無い、糞の役にも立たない様な世襲議員が殆ど。」だろう。
日本の選挙で必要とされる要素に、「三バン」という物が在る。「地盤(→組織力)」、「看板(→知名度)」、そして「鞄(→豊富な選挙資金)」を意味するが、「世襲候補は非世襲候補に比べ、此の三バンが圧倒的に上回っているケースが殆どで、非常に能力や意欲が高い人物で在っても、非世襲候補だと当選するのが厳しいという現実。」が在る。極端な事を言ってしまえば、「どんなに馬鹿でも世襲候補で在れば、当選し易い環境。」が在り(世襲候補というだけで、無条件に支持してしまう国民が多いというのが、一番の問題なのだけれど。)、此れは日本にとって非常に不幸な事。
普段、自民党に対して批判する事が多い自分だけれど、今回の提言に付いては、其の方向性を評価したい。
とは言え、気になる点が3つ在る。1つ目は、「此の提言案が、其の儘通だろうか?」という点。当初は比較的真面だった「受動喫煙規制案」が、“煙草族議員”等の猛反対により、結果的に“骨抜き”にされてしまった様に、世襲の恩恵を手放したくない議員達の猛反対により骨抜き、最悪の場合は廃案にされる可能性は高い。
2つ目は、「仮に厳格な案が成立しても、『自民党内で厳格に決められた議員定年制が、済し崩しで破られている。』様に、実行されないのではないか?」という点。6年前に国民と約束した「議員定数の削減」を放置し続け、逆に議員定数を増やそうとしている自民党なので、此の可能性も充分考えられる。
そして3つ目だが、「今回の案には、非常に大事な要素が抜け落ちている。」という点。「三バンの中で、一番力を発揮する。」と思われる「鞄」に付いてで、「安倍首相が父親の政治団体を介在させる事で、相続税約3億円を脱税した疑惑。」の様に、巨額な政治資金が政治団体を介在させる事により、実質的に“無税”で世襲候補に受け渡されてしまう可能性を、確実に絶たなければいけないと思う。
安倍政権下の自民党でもたまには良識ある提言をするのか、と眉唾ながら見直しました(笑)。
ただし、仰るようにすんなり通るとは思えませんね。
しかし元を糺せば国民に世襲議員を無条件で受け入れる体質があることが、最大の問題なんですね。
これは世襲に限らず、大は政党、財界、宗教団体、労働団体から、身近なところで友人知人、親戚縁者からの紹介、推薦というだけで、ろくに自分で考え判断せず投票してしまう、無責任な体質が国民の間にしみこんでいることが問題なのでしょう。
マスコミで名前が知られているというだけで、ろくに政治信条やそれまでの行動発言を調べずに「人気投票」してしまうのは、日本人に限ったことでもなさそうですが。
自己責任を持って自分の代表を選ぶという、民主主義をどれだけの人が理解し行動しているのか、ずっと疑問に思っています。
だからこそ独裁者や一党独裁政権の権力者、宗教国家の指導者たちをして「民主主義が最良の選択とは言えない」と言わしめてしまうのでしょう。
人間社会にとってポピュリズム政治はできても、民主主義政治は絵に描いた餅、永遠の理想でしかないのかと、虚しくなることがあります。
「国民を縛り、そして自分達政治家には好都合な環境を作り上げて行く。」、自民党が得意とする所ですが、今回の様な“自身を縛る案”が出て来た事は驚きで在り、同時に「何か在るのかな?」という疑念も沸いています。「次の国政選挙に向け、『自民党は、風通しの良い政党です!』というアピールをする事で、集票に結び付けたいだけなのではないか?」と。其れならば、骨抜きな内容になるのは目に見えている。自身に不都合な事は一切主張しない小泉Jr.が、今後此の案に付いてどういう“動き”を見せるかが興味在ります。飽く迄も“動き”で在り、何時もの様な“言葉だけ”には全く興味無し。
「交通違反の揉み消しや就職の斡旋等、“親”にはとても世話になったので、世襲候補で在る“子供”を無条件で支持する。」という考え方は、「個人で在る自分の利益だけを優先させ、国を一顧だにしていない。」という事に尽きると思います。心情的には判らないでも無いけれど、其れでは国が傾く一方。
先日、詳細は忘れましたが、其れなりの立場の人間が子供を轢き逃げし、捕まったという事件が。轢き逃げの様子が防犯カメラにバッチリ撮られており、車のフロント部、其れも運転席から100%確認出来る場所で撥ねているにも拘らず、当該運転手は「撥ねたという認識が全く無い。」と言い放っていた。状況証拠とは言え、幾つもの“言い逃れ出来ない書面”等が出ているのに、「私は一切知りません。“下の人間”が勝手にした事。」と言い張る一国のトップが居る国では、「白を切り通さなきゃ損。」という風潮が広まるのも当然か。
暴言王の麻生太郎氏が又、「新聞を読まない若い世代に自民党支持が高い。」という発言をしたとか。彼としては「新聞は嘘許り書いている。だから、そんな新聞を読まず、ネット情報を信じて応援してくれる若い支持者は大事。」と言いたいのかもしれないけれど、「其れこそデマが少なく無いネット情報を、自身で全く検証する事無く鵜呑みにして、自民党を支持する若者。」とも言える訳で、そうなるとそんな若者を馬鹿にした発言とも言える。
此の国は、本当に大丈夫なのだろうか?
国家の元首や象徴となっている王家といった、限られた指導者は、ろくな政策もなく、言いたい放題言っている議員などの善処には苦労している事と思います。自民党などの好い加減な政治は、まさに、独自の政策を持たず、官僚に言いなりになっている政治家が指導者の中にまで居るからで、与党だからこそ、既得権からは距離を置く目的で、世襲を制限するのには賛成です。世襲が横行する事は、有権者の政治参加の意欲も削ぐと思います。世襲は権力の固定化で、権力者によって、国や組織の在り方が決まってしまい、体制の流動化によって、大衆の手にその権利は保たれるべきだと思います。
皇室に関する件は自分と考えを異にしますが、今回頂戴した御意見は概ね賛成です。
自民党の中にも嘗ては田中角栄元首相の様に、官僚の言いなりになるのでは無く、と言って官僚と完全敵対するのでも無く、自身の確固たる考えと政策(其れが正しいかどうかは別にして。)を元に、官僚を上手く使い熟す政治家が居た。然し、今は仰る様に、“官僚の書いた作文”を其の儘読み上げるだけの政治“屋”許り。
父親の姿を間近で見ていた筈の田中真紀子女史だけれど、聴衆を魅了するスピーチ力は受け継いだものの、残念乍ら父親の有していた“人間力”は皆無で、結局、我儘さ許りが前面に出てしまい、周りからそっぽを向かれてしまった感が在りますね。