**********************************************************
ヒットエンドラン:投球と同時に走者が次の塁へスタートし、打者は其の投球を打ち、通常より早く進塁を狙う戦術。見事に決まれば「無死1塁」が「無死1&3塁」に変わる等、一気にチャンスが広がる一方、空振りすれば走者は盗塁死、打球を転がす事が出来なければゲッツーの可能性が出て来る等、リスクも大きい。
**********************************************************
1月30日にNHKで放送された「球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~」では、「ヒットエンドラン」を取り上げていた。
**********************************************************
=2020年作戦別成功率=
ヒットエンドラン
企図数:147,ファウル:42,成功:57,失敗:48,成功率:54.3%
送りバント
企図数:1,187,ファウル:-,成功:942,失敗:245,成功率:79.4%
盗塁
企図数:1,250,ファウル:-,成功:875,失敗:375,成功率:70.0%
**********************************************************
ヒットエンドランの成功率が、こんなに低かったというのは意外だった。そういう事も在ってか、ヒットエンドランの企図数は2007年が434回だったが、以降は減少傾向に在り、昨年は147回と2007年の約33.87%に迄減っている。
多くの監督の下で“参謀”を務めて来た橋上秀樹氏は、「攻略の糸口が全く掴めない場合に取る戦術がヒットエンドラン。」とした上で、「『無死1塁で出すヒットエンドラン』と『1死1塁で出すヒットエンドラン』とでは、性格が全く違う。『無死1塁』の場合は『進塁が優先。』で、最低でも『1死1塁』、あわよくば『無死1&3塁』の状況を作り出す事が求められる一方で、『1死1塁』の場合は、最低でも『1死1&3塁』の状況を作らなければいけない。」と語っていた。
又、恩師・野村克也氏から、「ヒットエンドランが見事に決まって無死1塁から無死1&3塁に状況が変わっても、其の事を快感に感じてはならない。快感に感じてしまうと、多用したくなるから。ヒットエンドランは飽く迄も“奇襲”で在り、決まったのは偶然に過ぎない。“使い所”を良く考えないと駄目だ。」と何度か言われたそうだ。
そして、橋上氏は「ヒットエンドランの采配」に付いて、次の考えを示した。
**********************************************************
=ヒットエンドランの采配=
① 四球の少ないゴロ投手で、直球系のストライク率が高いカウントを狙う。
② 1塁走者に“偽走”させ、二遊間の何方が塁に入るかを見定める。
③ 走者3塁では、スクイズより利点が在り、実は仕掛け易い。
④ 飽く迄も奇襲で在り、快感に嵌まってはならない。
**********************************************************
其の他のOBもヒットエンドランに関して“技術的な話”をしていたが、非常に興味深かった。
**********************************************************
=2020年チーム別ヒットエンドラン成功率=
ファイターズ
企図数:18,成功:8,失敗:3,成功率:.727
ゴールデンイーグルス
企図数:18,成功:8,失敗:6,成功率:.571
タイガース
企図数:18,成功:6,失敗:7,成功率:.462
カープ
企図数:15,成功:4,失敗:5,成功率:.444
ドラゴンズ
企図数:13,成功:8,失敗:3,成功率:.727
バファローズ
企図数:13,成功:7,失敗:3,成功率:.700
スワローズ
企図数:12,成功:2,失敗:7,成功率:.222
ライオンズ
企図数:11,成功:4,失敗:4,成功率:.500
マリーンズ
企図数:10,成功:6,失敗:3,成功率:.677
ホークス
企図数:10,成功:2,失敗:4,成功率:.333
ジャイアンツ
企図数:7,成功:1,失敗:2,成功率:.333
ベイスターズ
企図数:2,成功:1,失敗:1,成功率:.500
**********************************************************