ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「魔女と過ごした七日間」

2024年02月08日 | 書籍関連

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AIによる監視システムが強化された日本指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事・月沢克司(つきざわ かつし)が殺された。「推理する。其の気が在るなら、付いて来て。」。不思議な女性・羽原円華(うはら まどか)に導かれ、父を亡くした少年・陸真(りくま)の冒険が始まる。
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20年前の記事「賞に縁遠い男“東野圭吾”」で書いた様に、自分は小説家東野圭吾氏の古くからの大ファンだ。今や多くの人が知る存在となったが、彼の知名度が高くなかった時代からの大ファンなので、一寸自慢だったりする。

そんな東野氏の著作100作目として昨年3月に上梓されたのが、今回読んだ「魔女と暮らした七日間」。必ず購入する東野作品は「手元に在るので、何時でも好きな時に読める。」という思いが在り、(返却しなければならない)図書館で借りた他の作品を優先して読み漁っている事から、大好きな小説家の作品なのに、こんなにも読むのが遅くなってしまった次第

「魔女と暮らした七日間」は、「ラプラスの魔女シリーズ」の第2弾。第1弾の「ラプラスの魔女」(総合評価:星3つ)では、不思議な力を持つ女性・羽原円華が主人公だったけれど、今回の「魔女と暮らした七日間」は、父を殺害された少年・月沢陸真が主人公と言って良い。母親を6歳の時に病気で亡くして以降、刑事の父と2人きりで生活して来た中学3年生の彼。そんな彼が円華、そして大親友の宮前純也(みやまえ じゅんや)と父を殺害した犯人を捜す・・・というストーリー。

凸凹コンビ”といった感じの陸真と純也の関係性が凄く良い。心の底から陸真を心配し、「何とか助けになりたい。」と寄り添う純也。又、彼の家族達も同様で、読んでいてホンワカとした気持ちになる。「自分も、陸真と同年代で父を(病気で)亡くしている。」という共通点が、どうしてもどっぷりと感情移入させてしまうのだろう。

真犯人捜しの過程で、少年達は“大人の世界”を冒険する事になる。大好きな映画スタンド・バイ・ミー」の世界観オーヴァーラップしてしまった。

DNAを利用した捜査手法」に付いては、昔から懸念呈されてもいた。「犯人を捕まえるのに役立つ。」というのは大きなメリットだが、無辜の人達の個人情報すらも、不当官憲に握られているのではないか?という懸念は、ずっと指摘され続けている。真相は闇の中だが、此の作品の中で描かれている事柄にはリアリティーを感じてしまう。

真犯人の察しは割合早く付いたけれど、(真犯人とは別の)“彼”の“今の姿”には驚かされた。「そう来たか!」という感じだ。

円華との“別れ”も少年時代からの卒業といった感じで、「スタンド・バイ・ミー」の“エンディング”を思い起こさせる。少年時代を卒業した陸真と純也の未来を、作品として読んでみたい。

総合評価は、星3つとする。


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