「日本の常識」が、必ずしも「海外の常識」と一緒とは限らない。寧ろ日本の常識が、海外ではマイノリティーという事も在る。
選挙もそうだ。信じられない様な不正が、堂々と行われている国が在る。投票と開票、そして開票結果の発表が原則、同日行われるのが常識の日本に対し、投票から開票結果の発表迄 1ヶ月近く掛かったりする国も。
5年振りの総選挙が4月7日から開始となったインドも、日本とは選挙の様相が大きく異なっている様で・・・。
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「有権者8億人!此処が凄いぞ『インド』総選挙」(「週刊新潮」【4月17日号】)
人口12億人を超えて尚膨張を続ける“世界最大の民主主義国”インド。4月7日に始まった5年振りの総選挙の有権者数は、実に8億1,400万人。前回より1億人増というから恐れ入る。投票は全国各地で9回に分けて行われ、5月16日に一斉開票される。
10年前にニューデリーの投票所を見学したという、日印友好協会の岡本幸治理事長が語る。「投票所は93万ヶ所在り、嘗ては敗色濃厚な党が締切直前に投票箱を奪って行く事も在りました。そうした不正行為を防ぐ目的で、現在インドでは軍が投票所の監視を担っている。選挙が1日に集中すると、印パ国境等、重要地点の警備が手薄になってしまう為、複数日に分散させているのです。」。
貧富の分け隔て無く、選挙権は18歳以上の全ての国民に与えられる。問題は、未だ74%に留まる識字率(2011年度調査より)。「文字が読めない人の為、投票用紙には候補者の氏名と共に所属政党のマークが描かれています。」(同)。
又、こんなトリヴィアも。「有権者は手ぶらで投票所へ行き、名前等を伝える。其処には名簿が用意されており、誰が来たのかを職員がチェックして行くのです。但し、此の形式だと他人に成り済ましての二重投票が出兼ねないので、既に票を入れた人の爪には1週間は落ちない強力なマニキュアを塗り、見分けられる様にしています。」(同)。
男にもマニキュア?いや、驚く事勿れ。「今回の選挙からインドでは、全国に2万8,000人居る性転換者向けに“第3の性別”の申請が認められました。詰まり、開票後には、“男性”、“女性”、“其の他”と、3種の投票率が発表される事になる。」(現地記者)。
前近代的に見えて、妙な所は進んでいるのね。
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男尊女卑の概念が根強く残っていたり、カースト制度が存在していたりと、前近代的な面が在る一方で、経済発展に伴う近代化が著しいインド。“第3の性別”を含めた、3種の投票率が発表されるというのも、彼の国のギャップを感じさせる話。
総選挙の有権者数が前回よりも1億人増と在るが、我が国の総人口と大差無い数というのは、流石、世界第2位の人口数を誇る国だ。
其れにしても、「成り済ましによる二重投票を防ぐ為、投票済みの人間の爪に、1週間は落ちない強力なマニキュアを塗る。」というのは面白い。という事は此の時期、インドでは性別を問わず、マニキュアを塗った人間で溢れ返っているという事か。
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