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「小池氏、自民推薦受けず出馬=記者会見で表明-増田氏との分裂選挙濃厚・都知事選」(7月6日、時事通信)
自民党の小池百合子元防衛相(63歳)は6日午後、衆院議員会館で記者会見し、東京都知事選(14日告示、31日投開票)への立候補を正式表明した。同時に、自民党都連の推薦を受けずに戦う意向を明らかにした。都連は増田寛也元総務相(64歳)の擁立を目指しており、自民党が分裂選挙に突入する事が濃厚になった。
小池氏は会見で「客観的、総合的に判断した結果、此の度の結論を導いた。此の儘では推薦は得られないので、パラシュート無しの立候補になる。覚悟を持って臨みたい。」と述べた。
又、都連会長の石原伸晃経済再生担当相が結論を10日投開票の参院選後に先延ばしした事に触れ、「早期に結論を出して、共に戦う事を願っていたが、叶わなかった。」と指摘。「柵の無い都民目線で戦える。或る意味で吹っ切れた。」と語った。
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同記者会見で小池さんは、都知事になった際の“公約”として「(都民の民意と乖離している都議会の)冒頭解散」、「(オリンピック開催等に関する)利権追及チームの立ち上げ」、「舛添問題の第三者委員会設置」の3つを掲げていた。
9年前の記事「御手並み拝見」でもチラッと触れた(いみじくも此の記事では、石原伸晃氏、舛添要一氏、そして小池百合子さんと、今回の都知事問題でキー・パーソンとなっている3人の資質を問題視しているのだが。)が、小池さんに付いては「自身の上昇志向を満たす為、其の時々の権力者に擦り寄る等、処世術が上手いだけの人間。」という認識。数々のパフォーマンスにより、一時は“女性初の首相候補”と迄喧伝された彼女だが、安倍晋三首相の不興を買い、冷や飯を食わされ続け、今では安倍首相の寵愛を受ける稲田朋美政調会長が“女性初の首相候補”と言われている状況。「首相への道が現実的に閉ざされた今、上昇志向を満たす為には、都知事になるしか無い。」というのが、彼女が都知事に立候補した大きな理由だろう。詰まり「都知事になって、何かしたい。」というのでは無く、「都知事になる事が最終目標。」な気がする。
彼女が掲げた公約、「(オリンピック開催等に関する)利権追及チームの立ち上げ」及び「舛添問題の第三者委員会設置」は良いのだが、果たして実現出来るのか?“都民にカタルシスを与えるだけの御茶濁し”の様な気がしてならない。
「(都民の民意と乖離している都議会の)冒頭解散」という公約に到っては、自分を都知事候補に推薦してくれなかった自民党都連への意趣返し以外の何物でも無いし、「都議会から不信任決議が出されない限り、都知事の側から冒頭解散を切り出せ無い。」という現実が在る以上、実際に行うのは無理。
「自民党都連を“仮想敵”とし、そんな強大な敵から“虐められている”可哀想な私。」を演出し、判官贔屓な票を掻き集める。「政策に中身が無い分、ワンフレーズ・ポリティクスや派手なパフォーマンスを多用して誤魔化す。」といった点も含め、小泉純一郎元首相が好んで用いた「劇場型政治」の再現を、小池さんは試みているのだろう。
過去に何度か書いているが、我が国の政治の“劣化”が加速化したのは、小泉政権下で「劇場型政治」が繰り広げられる様になってからだと思っている。「劇場型政治」に酔い痴れた国民は、自身の頭で考える事をストップし、又、想像力も失った。其の結果、「勇ましい主張をするから。」とか「見た目が良いから。」という理由“だけ”で政治家を選び、彼等が不始末を仕出かしたら「騙された!」と批判する。(当時から自分は信じられなかったのだが、自民党在籍時の舛添氏は、「首相になって欲しい人物」として圧倒的な人気を誇っていた訳だし。)“政治の劣化”を嘆く前に、国民自身が“思考停止”や“想像力喪失”を猛省する必要が在ると思う。
2年前の記事「心に残った言葉」の中で、映画監督・伊丹万作氏(映画監督・伊丹十三氏の実父。)の言葉を紹介したが、今回、改めて紹介させて貰う。
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多くの人が、今度の戦争で騙されていたと言う。幾ら騙す者が居ても、誰一人騙される者が無かったとしたら、今度の様な戦争は成り立たなかったに違い無いので在る。「騙されていた。」と言って平気で居られる国民なら、恐らく今後も何度でも騙されるだろう。否、現在でも既に別の嘘によって、騙され始めているに違い無いので在る。
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毎回欠かさず投票に行っているという父親が、今回選挙権を得た子供に投票に行くか聞いたところ、
「もし投票した人物が東京都知事のように陰で不正をしたら、騙されたことになり嫌だから行かない」
と答えたとか。
また、この父親の年長の知り合いで、長らくある地方議員の後援会長をしている人物が怒っているので尋ねたら、
「この議員に騙された。あんなやつとは思わなかった。もう選挙には行かん」
と言ったそうです。
で、件の投稿者曰く、
「投票して騙されるくらいなら棄権するというのも、健全な民主主義ではないだろうか」
と。
最近の世論調査の結果を見ていると、どうもこの国の大多数の人々は自ら思考することを放棄し、「国家の奴隷」になることを本気で臨んでいるのではないかと、そんな気がしてきます。
仕事にありつけて、とりあえずちゃんと食べていけるなら、後はすべてお国の意のままに従います。と・・・。
「若し投票した人物が東京都知事の様に陰で不正をしたら、騙された事になり、嫌だから行かない。」というのは、「嫌な現実は見たく無い。」とか「意に沿わない事実には敢えて目を逸らし、存在していない事と認識する。」といった、現実逃避を好む風潮が反映されている様に感じますね。
又、以前の記事でも書いた様に、思考をする事無く、何でも彼んでも「在り得ない。」とする風潮も強くなっている。「戦争に巻き込まれる事なんか在り得ない。」、「戦争になっても、日本で徴兵制が敷かれる事なんか在り得ない。」、「戦争になったら海外に逃げれば良いので、自分が戦争に巻き込まれる事なんか在り得ない。」等々。過去の歴史を顧みれば、一寸した事で戦争は勃発したりする。コスト面等から「日本で徴兵制が敷かれる事は在り得ない。」とする意見が在るけれど、いざ戦争が勃発し、窮地に陥れば、何でも在りなのは自明の理。太平洋戦争でも、最後は“戦地に行かされる筈が無かった中高年や理系の学生”迄もが駆り出された。世界各地で排斥されている移民を思えば、莫大な財や高度な知識&技術を持たない人間を、何処の国が受け容れてくれ様か。歴史を知り、少しでも想像力を働かせれば、「絶対に在り得ない事なんか、其れこそ絶対に在り得ない。」事が判る筈。
思考をストップし、想像力が欠如した人達にとっては、国家の奴隷になるのは、非常に楽な選択なのかもしれませんね。ネット上で面白おかしく特定の対象を攻撃している人達は、現政権の“言論封殺傾向”を喜んでいる嫌いが在るけれど、今は自分達が好ましく思っていない対象を安直に攻撃出来る事から歓迎しているのかもしれないが、軈てはそんな自分達が排除され、ネット上等で安直に書き込み事すらも出来なくなる可能性を考えているのだろうか?
「寄らば大樹の陰。」、「長い物には巻かれろ。」、「強気に阿り、弱きを叩く。」、自身の心地良さ“だけ”を追求し、他人の事なんかどうでも良いという風潮が増した国の未来って、どう考えても幸せな訳が無いと思うのですが・・・。
仮令何れだけ熟考した上で投票したにせよ、投票した人間が不正をしたならば、投票した自分の責任が零になる訳では無い。不正を働いた当人が一番悪いのは間違い無いけれど、そんな人間を選んでしまった責任は在る。其れを無視し、「騙された!」と叫ぶのは無責任以外の何物でも無い。
今回の選挙、諸々の報道で言われていた様に、与党の圧勝に終わりそう。「政権与党時、ごたごたが目立ち、余りに酷かった。」、「批判するだけで、対案を出さない。」等、民進党への失望感が非常に大きかった証左と思いますが、其の一方で「二大政党制を、“腰を据えて”作り上げて行こうとしない国民性。」というのも凄く在る様に思います。結局、日本人は「寄らば大樹の陰」で、「御上に隷従するのが好き。」という事なのでしょうね。
又、選挙特番をザッピングしていて感じるのは、小泉進次郎氏への密着レポートを、何処の局も延々と垂れ流している事。「ああだこうだ言うけれど、実際には何も遣っていない。」というのが彼に対するイメージなので、「何だかなあ・・・。」という思いが在るのですが、其れは別にしても、こうも「プロモーション・ヴィデオ」の如く公共の電波で報じるというのは、自民党が何とかの一つ覚えの様に批判している「偏向放送」にならないのだろうか?自身に不都合な報道は全て「偏向放送」とし、逆に都合の良い報道には黙りを決め込むのでは、余りに御都合主義だと思うのだけれど。