ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ハゲタカ」

2009年07月26日 | 映画関連
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世界金融危機前夜日本マーケットに絶望し、表舞台から姿を消した天才ファンド・マネージャーの鷲津政彦(大森南朋氏)の元に、嘗て盟友・芝野健夫(柴田恭平氏)が現れる。「中国系巨大ファンドが買収に乗り出した、大手自動車メーカー『アカマ自動車』を危機から救って欲しい。」と言うのだ。日本を代表する大企業「アカマ」の前に突如現れたのは、“赤いハゲタカ”こと劉一華(玉山鉄二氏)。日本企業の高い技術力を奪うべく、潤沢な資金を元に攻勢を掛ける中国ファンド。“巨大な敵”を前にして、苦戦を強いられる鷲津は・・・。
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真山仁氏の同題の小説を元に、2年前に放送されたドラマ「ハゲタカ」。かなり好評を得た様だが、経済関係がどうも苦手な自分は見ないままに来てしまった。そのドラマの時代設定から後を描いたという映画「ハゲタカ」を、先日観る事に。

ホワイトナイト」やら「敵対的買収」やらと、今となっては懐かしさすら覚える用語が飛び交っている。「ニッポン放送買収騒ぎ」が起こったのは、もう4年前の事。「今更『ハゲタカ』もないのでは?」という声も結構在った様に聞いている。自分も正直「時宜を逸した作品ではないか?」という思いが。

この映画を製作する過程でリーマン・ショックが発生する等、世界の経済環境は大きく揺れ動いた。当初予定されていた脚本も「このままでは時代に合わない。」と、大幅に書き直されたそうだ。「TVドラマの時代設定から4年後の日本」を最初は舞台に考えていたものの、結局は「現在の時間軸に合わせた日本」に変えたとも。結果的に言えば、この製作者サイドの判断は正解だったと思う。この判断が功を奏し、上記した様な「古臭い無いようになるのでは?」という不安が杞憂となったからだ。

経済音痴の自分でも、夢中になってしまうストーリー展開。「経済の世界」を描きつつ、メインでは「様々な思惑を抱えた人間達」を描いているので。「世の中の不幸は2つ在る。1つは『金の無い不幸』で、もう1つは『金の在る不幸』。」といった台詞が登場するが、金に翻弄される者達の姿は、決して他人事では無い。綺麗事を並べ立て乍ら、人事部では無く調達部で派遣社員を集め、安く使い捨てて行く大企業。人間の持つエゴを感じさせられた。

エゴの象徴の如き人物「劉一華」も、その経歴を知ると何とも言えない感情を覚えてしまう。玉山氏は、その微妙さ加減を上手く演じている。又、感情を失ってしまったかの様な冷静さを持つ鷲津を演じた大森氏も、なかなかの雰囲気を持った役者だ。今回の記事を書く上で初めて知ったのだが、彼の父親は舞踏家にして怪優の麿赤児氏との事。「蛙の子は蛙」とは上手く言ったものだ。

芝野と鷲津の遣り取りの中で、次の言葉が特に印象に残った。

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芝野: 「これからどうするんだ?」

鷲津: 見て行きますよ、焼け野原を。資本主義のね。
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生き馬の目を抜く経済界を描いたこの作品。余り期待していなかっただけに、満足度は高かった。総合評価は星4つ

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4 コメント

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>マヌケ様 (giants-55)
2009-07-26 20:01:46
書き込み有難う御座いました。

原油市場に投機マネーがどっと流れ込み、その結果、昨年は原油価格の異常な高騰が問題となりました。我々現代人が生活して行く上で、原油は必要不可欠な存在。マネーゲームの一環とはいえ、さもしさを感じてしまう話。そしてサブプライムローンが住宅問題で弾け、世界的な経済危機を迎え、原油市場に流入していたマネーが一旦は止まった。しかし経済危機の底が見え始めると見るや、再び原油市場でのマネーゲームが始まり、原油価格は再び高騰し始めている。こんな不毛な遊びを、一体何時迄続けるつもりなのでしょうかね・・・。
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Unknown (マヌケ)
2009-07-26 14:13:15
昔、「ウォール街」という映画を見て感動し、それから結構最近では「インサイダー」という映画で、これは実話で、感動しました。 アメリカが資本主義の裏側を痛烈に批判する映画を製作したことに、当時は皮肉っぽく評論するコメントも多かったです。 あれから、金融がテクノロジーにまで進化してしまい、ネットによって急速に世界が市場として狭まりました。 その分、あらゆる影響もほぼ同時に世界を巻き込みますね。 ただし、ここでやっていることを南ア以外のサハラ以南のアフリカの人たちや赤道直下の島国の人たちが見ても意味不明なことばかりでしょうね。 先進国だけで好き勝手にやって焼け野原になって、金融の暴走とか経済破綻とか騒いで。 儲かっている間は狂喜乱舞して、危うさを指摘する声に耳を貸さず、我さきに富を得ようと砂糖に群がる蟻のように冷静さを欠いて欲に任せて。 金融工学という分野がアメリカの一流大学の頭脳によって生み出された当初、人々を幸福に導くはずが、必ずしもそうはなりませんでした。 その反省から、リスクの分散化を世界規模で図る動きにでています。 ところがそのようなプロジェクトにもすでに名だたる投資銀行や証券会社が名乗りをあげており、経済学者たちが頭を抱えているのだそうです。 先進国を中心に起こった多くの不幸を身近には目にしていないものの、こういう映画という形で後世に残ることは良いことですね。 ちなみにこの映画は見ておりませんが。 わが社は素人考えで土地に手をだし、多大なる損失を計上しました。 有価証券の損失を合わせて経常黒字を大幅な赤字に至らしめました。 どちらも本業とは全く関係のない金融資産の運用の失敗によるものです。 そのせいで従業員の賞与もマイナス、多くの役員は退任、総会では元役員の奥様が猛烈な剣幕で発言され、役員一同が直立不動でうなだれておりました。 こういうものを目にしますと、ノホホントしていると企業とはいえ、カモにされてしまう恐れは大いにあります。 正直うんざりです。
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映画はまだだけど (悠々遊)
2009-07-26 11:47:27
私も経済音痴ですが、前作のテレビドラマの予告編を見て、人間ドラマの面白さを予感し、ぜひ見たいと思っていたんですが、いろいろ障害が重なって第1回目しか見られず。
評価が高く、その後も何度か再放送されましたが、その都度時間が合わなかったり、録画撮りに失敗したり・・・。よほど縁が無いのかなと思っていました。
ところが一昨年の暮れ、癌の手術で入院中に、連夜のアンコール放送があって、一挙に通しで見ることが出来ました。期待にたがわず、見ごたえがありました。
人と人の縁はもちろん、こういった事柄との縁にも不思議なものを感じてしまいます。
映画の方はDVDになってから、家でじっくり見ようと思ってます。
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すごいセリフですね。 (てくっぺ)
2009-07-26 02:07:19
見て行きますよ、焼け野原を。資本主義のね。」
・・・^±^ノ
気に入っちゃいました、このセリフ。
はやるかもしれませんね。^±^
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