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私を阻む物は、私自身に他ならない。ラグビー、筋トレ、恋とセックス。2人の女を行き来する、歪なキャンパス・ライフ。
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第163回(2020年上半期)芥川賞を受賞した小説「破局」(著者:遠野遥氏)。1991年生まれの遠野氏は、今年で29歳という若手。若い感性を知りたく、作品を手に取った。
何時の頃からだろうか、「セックスを描く事は、人の深い部分を描く事だ。」みたいな風潮が強くなった。自分が好きな小説家の1人・石田衣良氏も、作品によってはそういう傾向が非常に色濃かったりする。セックスを描く事自体は決して悪く無いけれど、描写が余りにも過度&執拗だったりすると、正直辟易としてしまう。「辟易」もそういう傾向が在り、自分としては気になった。
非常に読み辛い作品だ。「何で読み辛いんだろう?」と考えた時、「リズム感が無いからだ。」と思い至った。「~と決めた。」、「~ではなかった。」、「~を突破した。」、「~が追ってきた。」等々、文章の最後が「~した」という感じが非常に多く、全体として単調な感じがしてしまうのだ。
読み終えた後、「結局、作品を通して何が言いたかったのだろうか?」という疑問が。「破局」の中で遠野氏が多用している用語を使うならば、「内容=作者の独り善がりな“自慰”」といった感じがする。内容に付いて行けず、置いてけぼりにされてしまった読者が多く無ければ良いのだが・・・。
総合評価は、星2.5個とする。
珍しく書籍関連にコメントします(笑)。
10代の中ごろには人並みに関心もあり、川上宗薫のポルノ小説などをドキドキしながら読んだことも(笑)。
しかし、初めからポルノ小説と割り切っているならともかく、「性愛を描かねば小説として半端」みたいな風潮には拒否感があって、そういう小説は敬遠気味でした。
最近は図書館で時代小説(歴史ものではなく)をよく借りて読んでいます。
この間借りた「秘剣雪割り(佐伯泰英著)」は、架空の剣豪物でしたが、たびたび出てくる主人公の秘事の場面に、日本人としてはあり得ないような巨大な男根や、とんでもない絶倫の描写が続き、辟易して途中で投げ出してしまいました。
確かにある意味男性の憧れともいえるのでしょうが、そこまで露骨に描かれると、馬鹿々々しくなる一方、肝心の剣豪小説の面白みが薄れる印象でした。
もちろん、好みの問題でもあるのでしょうが。
自分も思春期の頃は、川上宗薫氏や宇能鴻一郎氏等の官能小説を、こっそり読み漁っていました。父親が購入していたエロ雑誌に載っていた訳ですが、宇野氏の「あたし~なんです。」という独特な文体は、今も忘れられないです。
映画、特に邦画に言えるのですが、昔は意味も無く唐突に“女優の濡れ場”を挟み込む物が多かったですね。濡れ場を挟み込む事で、マスメディアに大きく取り上げて貰い、結果として助兵衛な男性を動員するという目論見が在ったのでしょうが、若かりし頃はそういう目論見にまんまと引っ掛かってしまい、松坂慶子さんや杉田かおるさんの裸が見たくて「青春の門」を見に行った口です。
でも、一定年齢以上になると、そういう目論見が実にあざとく感じられる様になった。そんな感じの人が結構出て来たからなのか、近年では露骨な形の物は少なくなりましたね。
中華料理は美味しくて好きだけれど、毎日食べると脂っこさで辟易としてしまう。性描写も同様で、さらりと触れるなら良いのだけれど、過度&執拗だと「もう結構!」という感じになってしまう。若かりし頃だったら、又違うのかも知れませんが。