今から約50億年前*1、広大な宇宙で或る出来事が発生した。太陽系の惑星として生まれた地球に、巨大な隕石が衝突したのだ(動画)。衝突により地球の地軸は約23.4度も傾いてしまうのだが(動画)、この傾きこそが地球に“奇跡”を生み出す事となる。この傾きが在ったからこそ地球には四季の移ろいや寒暖の差が生まれ、そして多くの生命が生み出される事になったとされているからだ。奇跡の星・地球を北極から南下、赤道を通過して南極に到る迄、製作日数延べ2,000日、撮影地全世界200ヶ所以上というスケールで自然や生物達の姿を記録した映画「earth(アース)」。
記事「北極のナヌー」でも触れた様に、昔から記録映画が大好き。「砂漠は生きている」に始まり、これ迄にも多くの記録映画を見て来た。その一つ「ディープ・ブルー」の製作スタッフが再集結し、作り上げたのがこの「earth(アース)」なのだが、スクリーンからは自然の美しさと共に生物達の息遣いが生々しく伝わって来る。地球の樹木の3分の1を占めるというタイガ。定点撮影された四季が移ろう様。極彩色の鳥達が見せる、奇妙な求愛ダンス。愛らしい動物達の姿。そして過酷な生存競争。見せ場を挙げれば枚挙に遑が無い。
自然界の摂理とはいえ、この作品の中には「弱肉強食」の現実が幾つも登場。この手の作品だと得てして、被捕食動物たる小動物が捕食動物に追い掛けられるも、既の所で逃げ切り、観ている側に「助かって良かったなあ。」と思わせる物が少なくないが、「earth(アース)」の場合は残酷さを極力排除した上で厳しい現実が映し出されている。中でも「スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』(動画)を彷彿とさせるホオジロザメ。」と「巨大な1匹の象を、群れで襲撃するライオン。」のシーンは大迫力で、これ等を観るだけでもこの作品は充分価値が在ると思う。
多くの人達に是非観て貰いたい作品で、総合評価は星4つ。
*1 巨大隕石が地球に衝突した年代を、当初「約50万年前」と記した。映画のナレーションにて「50」という数字は頭に残っていたものの、その後の“単位”が怪しかった為、日本語版の公式サイトの「映画について」で確認した所、「50万年前」と記してあったからだ。(他のサイトでも同様の記述。)ところが佐藤秀様より「英語版の公式サイトの『ABOUT』では『Five billion years ago(50億年前)』となっており、『50万年前』は誤り。」との御指摘を頂戴した。(Kei様からも、その根拠を頂戴した。)確かに「50万年前」となると理屈に合わなくなる事が判明した為、「約50億年前」と記述を変更。佐藤秀様及びKei様、御指摘有難う御座いました。
イギリスのサイト
http://www.loveearth.com/uk/film
の「ABOUT」にはしっかり
Five billion years ago an asteroid crashed into the Earth.
と書いてありますし、渡辺謙さんもナレーションでしっかり「50億年前」と言っておられましたよ。
実はこの記事を書く上で一番迷ったのが、「地球に隕石が衝突した時代」に付いてでした。渡辺謙氏のナレーションで「50という数字」は頭に残っていたのですが、その後が「億年」だったか「万年」だったか正確に覚えていなかったものですから。こういった分野の知識が乏しいので、間違った情報を書いてはまずいと調べたのですが、地球に関するWikipediaの情報では「地球が誕生してから約46億年経過していると推定される。」と在り、「そうなると隕石が衝突したのはそれ以降なのかな?」と。そして公式サイト(http://www.loveearth.com/jp/film/)の「映画について」を確認するとやはり「50万年前」と在り、又、この作品に関して触れたgoo等のサイトにも「50万年前」と記されていましたので、「じゃあ50万年前で間違いないのだろう。」と確信し書いた次第です。
でも、リンク先を拝見すると「Five billion years ago」と確かに記されていますね。共に公式サイトの筈なのに、英語版と日本語版で違った記述とは・・・。どちらにしても、想像を絶する昔なのは確かなのですけれども。
情報有難う御座いました。
公式サイト、とんでもない間違いですね。多分「億」と「万」の誤植でしょう。
50万年前だと、既に北京原人が登場してます。こんな頃に隕石が衝突したら、恐竜と同じく人類は絶滅してたでしょうね。
(よく言われる、隕石の衝突が原因とされる恐竜が絶滅したのは6,500万年前の話ですから)
ただ、50億年説もかなりアバウトで、学説では巨大な天体が衝突し、地軸が傾いたのは46億年前に地球が形成されてからまもなくとされてます(この時、飛び散った破片の一部が月になった)。
→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E8%AA%AC
まあ、四捨五入すれば50という事なんでしょうか(笑)。
日本史でも近現代史が好きな位ですので、世界史のそれも古代史になるとかなりあやふやな知識しかない自分。今回、埃が被っていた「世界の歴史① 『歴史の始まり』と古代文明」(創元社)を開いてみました。
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【ヒトの進化】
人間は生物学上、チンパンジーやゴリラ、オランウータン、テナガザルと共にヒト上科に分類され、更にその中でチンパンジーやゴリラと同じヒト科に属している。ヒト上科の進化は約2,400万年前の中新世初期に始まった。それがヒト科に分かれ、その中で更にチンパンジーやゴリラと分かれた「ヒト亜科」が生まれた。
最初の「ヒト亜科」の生き物は、400万年前に出現したアウストラロピテクス属(猿人)で在るとされる。ヒト亜科の中にヒト属(ホモ属)が誕生したのは約200万年前と推定されており、この時現れた種はホモ・ハビリス(器用な人)と名付けられた。
ホモ・サピエンスとは、このヒト属(ホモ属)の中のサピエンス(知性を持った)種という意味で、約50~25万年前に出現したとされる。
ホモ・サピエンスの内、初期のネアンデルタール人(旧人)等は現代人(新人)とは異なる特徴を持っていたが、3万年前にフランスの洞窟で暮らしていたクロマニヨン人の骨格は現代人と殆ど見分けが付かず、新人に分類されている。
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ヒト上科”だけ”みても約2,400万年前には存在していたという事ですから、そうなると「隕石の衝突で地軸が傾いた。→多くの生命が生み出された。」ので在れば、隕石の衝突は約50万年前では在り得なくなりますね。知識不足とはいえ、恥ずかしい限りです。
Kei様及び佐藤秀様の情報呈示、改めて感謝申し上げます。
以前にも書いた事なのですが、「環境問題」というのは近年、得てして政治的に利用されてしまう面が多いもの。中には“過度に”不安を煽り過ぎる物も在るやに感じますが、唯、自分も“肌感覚”で「地球はおかしくなって来ている。」と感じますし、過ちを繰り返し易い人類にとって環境問題を“或る程度”危機感を煽る様な主張も必要な気がしますね。
私はもともとこの手のはテレビでも観ない方なので、さすがに飽きてきちゃいましたね~。
弱肉強食を強調した感じは昔やっていた「野性の王国」を思い出しました。
TBありがとうございました。
私もお返しさせていただきました。
>この傾きこそが地球に“奇跡”を生み出す事となる。この傾きが在ったからこそ地球には四季の移ろいや寒暖の差が生まれ、そして多くの生命が生み出される事になったとされているからだ。
コレってすごいロマンですよね。
それがなければ今の私達はおろか?というところではないでしょうか?
だからこそ今、母なる地球にお返ししなくてはいけないのですよね?