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関東随一の犯罪都市・烏賊川市では、連日、奇妙な事件が巻き起こる。でも、大丈夫。此の街では事件も沢山起こるが、探偵も沢山居る。ひょっとしたら、探偵が居なければ事件も起こらないのかも・・・。
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「謎解きはディナーのあとでシリーズ」で有名となった作家・ 東川篤哉氏は、嘗ての赤川次郎氏を髣髴させる、ユーモア・ミステリーの旗手で在る。今回読了した「探偵さえいなければ」は、同氏の「烏賊川市シリーズ」の第8弾。烏賊川市で探偵事務所を営む冴えない風貌の中年探偵・鵜飼杜夫(うかい もりお)が、間抜けな言動を繰り返し乍らも、最後は事件を解決する。
「探偵さえいなければ」は5つの短編小説で構成されており、其の内の2作品には鵜飼は登場しないが、代わりに“探偵役”の人物が登場。「探偵(乃至は探偵役)が居なければ、自分が犯した罪はばれなかったのに・・・。」という“犯人達”の歯噛みが聞えて来そうな作品で在る。
何れも「下らねー。」と思ってしまう記述に溢れているが、一番笑ってしまったのは沢山のゆるキャラが登場する「ゆるキャラはなぜ殺される」。「良くもまあ、こんな下らないストーリーを考えたなあ。」と感心してしまった。
そして、“意外な落ち”という意味では、「被害者によく似た男」が良かった。“大どんでん返し”と迄は言わないが、どんでん返しに次ぐどんでん返しには、“遣られた感”が在った。
総合評価は、星3つとする。