*********************************
「<警察庁>検視官の現場臨場 過去最高72%」(2月12日、毎日新聞)
警察庁は12日、全国の警察が昨年1年間に取り扱った死体総数16万6,353体(交通事故・東日本大震災関連を除く)の内、事件性の有無を判断する為に検視官が現場に立ち会った「臨場率」が、前年比9.6ポイント増の72.3%で、過去最高だったと発表した。10年前(2005年)は11.8%で、警察幹部は「増員等の効果が出ている。」と見ている。犯罪捜査の為、司法解剖の対象となったのは8,684体だった。
死因究明上のポイントとされる検視官を巡っては2007年、大相撲時津風部屋で当時17歳の力士が暴行され死亡した事件が、当初は病死と判断されていた事を切っ掛けに増員されて来た。
一方、警察が取り扱った死体の内、犯罪性が明確で無くても、検査や解剖が出来るとした「死因・身元調査法」(2013年4月施行)に基づく薬毒物検査は6万97,36体で行われ、此の内1万638体は警視庁だった。同法に基づく解剖は、1,921体だった。
他に、監察医等による解剖も8,787体で行われた為、昨年の死体解剖の総数は1万9,392体(前年比356体増)。全体の解剖率は、11.7%(同0.4ポイント増)だった。
*********************************
9年前、「変死体の解剖」という記事を書いた。「2004年に全国の警察に届け出の在った変死体は13万6,092体で、其の内、司法解剖されたのは僅か4,969体で、全体の約3.7%に過ぎなかった。」という現実を紹介したのだが、予算等の関係で未だ未だ少ないとはいえ、10年で司法解剖率が約8%もアップしたのは、闇に葬られてしまう犯罪を少しでも減らす効果は在るだろう。又、検視官の現場臨場率が大幅にアップしたというのも、非常に良い事だと思う。
「時津風部屋力士暴行死事件」での初動捜査ミスの反省から、検視官の増員が図られたと言う。弟子に暴行を指示したとされた当時の時津風親方(双津竜順一)、そして此の悪質な暴行事件に付いて“非常識な擁護”をしていた龍虎勢朋氏は、共に昨年亡くなった。もう随分前の事件という感じもするが、暴行で亡くなった被害者及び御遺族にとって、事件により闇に葬られてしまう犯罪が少しでも減らす方向に向かっている事が、せめてもの救いだろう。