小池百合子さんが昨年の東京都知事選で圧勝した直後には「“嘘”で墓穴を掘る事になりそう」という記事を、そして、都知事に就任してから3ヶ月が経った際には、「就任から3ヶ月が過ぎて」という記事を書いた。共に「彼女のパフォーマンスの上手さは評価するも、彼女自身の過去の言動を鑑みると、次々と襤褸が出て、早晩には都民から見放されるだろう。」という内容。
就任から10ヶ月を迎え様としているが、彼女が華々しく掲げていた公約は次々とおじゃんになり、気付いてみれば“元の儘”という状況になっている。目に見える形で残ったのは、「都民ファーストの会」の立ち上げだけといった感じか。
以前より何度も書いている事だけれど、彼女の究極の目標は「女性初の首相になる事」だと思っている。国会議員になったのも、都知事になったのも、「民の為に何かをしたいから。」というのでは無く、「女性初の首相になる為の手段。」に過ぎないとも。まあ政治家なんて、そんな連中許りだから、彼女だけを責める気は無いが。
「自民党都連とは対立しているが、自民党自体と対立している訳では無いから。」というのが、彼女が自民党に籍を置き続けている理由なのだそうだ。「自民党には既に進退伺を出しており、自分をどうするかは自民党に判断して貰うだけ。」とも彼女は主張。
色々言ってはいるが、離党届では無く、進退伺という形なのは、「女性初の首相になるには、自民党に籍を置き続けておいた方が有利。過去、自民党を飛び出した議員は、碌な目に遭っていないし。」というのが、彼女にとって最大にして唯一の理由の様な気がしている。
「国民的な人気を有した私を、自民党が“切る”訳が無い。万が一、離党勧告や除籍処分が打ち出されたとしたら、其れは其れで『自民党という大組織と闘い、排除されてしまった気の毒な政治家。』という事で、判官贔屓な国民からの支持を集め、更に人気アップするだろう。」という狙いも、彼女の過去の小狡い言動を鑑みると、充分に考えられる。
今年初め、小池都知事が安倍晋三首相と会談した際、「来るべき衆院選では、自民党の候補を応援します。」と彼女が言ったと報道された。彼女自身は其の発言を否定はしたけれど、恐らくは事実だったと思う。「自民党都連とは対立してるが、自民党自体に逆らっている訳では在りませんよ。」という安倍首相へのアピールで在り、其の後に立ち上げる事になる新党(=都民ファーストの会)が転けた時の“保険”でも在ったのだろう。
本当に東京都を変え様と考え、旧態依然とした儘の自民党都連&自民党と対峙する気持ちが在るのならば、進退伺なんていう卑怯な形では無く、スパっと離党届を叩き付けるのが“王道”だろう。
彼女の“子分”で在る若狭勝議員が、自民党都連に対し、党籍に付いての進退伺を提出した。「7月に行われる都議選では、都民ファーストの会の候補を応援するので。」というのに加え、「加計学園疑惑に対する政府の対応がおかしいから。」というのが、進退伺を提出した理由なのだとか。
加計学園疑惑に対する“内部調査”を真面に行わず、「此れ以上調査を行う必要は無い。」と言い切る自民党の面々。「此れ以上調査をする必要が無いと言い切る理由を教えて欲しい。」と記者から問われ、「『此れ以上調査をする必要が無い。』というのが理由です。」と言い放った竹下亘国対委員長には呆れる許りだが、「適当に誤魔化し続ければ、“愚民”はどんな疑惑だって忘れるさ。」という驕りが、自民党内に蔓延している証左だろう。
そんな自民党に在って、政府の対応に異議を申し立てた若狭議員の姿勢は評価出来るけれど、昨年の都知事選での彼の言動を鑑み、そして離党届では無く進退伺を出したという点から、どうしても小池都知事同様、“計算尽くの行動”という感じがしてしまうのだ。