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「【国語に関する世論調査】 『存亡の危機』が定着 本来の『存亡の機』を使う人は6.6%に留まる」(9月21日、産経新聞)
「存亡の危機」が、「存続するか滅亡するかの重大な局面」の言い方として定着している事が、文化庁が21日発表した平成28年度「国語に関する世論調査」で判った。本来の慣用句の「存亡の機」と何方を使うかの問いに正しく答えた人は6.6%。「存亡の危機」は83.0%に上り、文化庁では「誤用と言える段階では無い。」とする。
調査は平成29年2~3月、16歳以上の男女3,566人に個別面接で行われ、有効回収率56.5%。慣用句の言い方や意味は毎年尋ねるが、「存亡の機」は初めて。
「卑劣な遣り方で、失敗させられる事。」は、本来の「足を掬われる」が平成19年度比9.6ポイントの改善。「はっきりと言わない、曖昧な言い方。」も、本来の「言葉を濁す」が平成17年度比7.4ポイント改善し、調査結果のアナウンス効果が見られた。
「知恵熱」の意味を尋ねた所、本来の「乳幼児期に突然起こる事の在る発熱。」を選んだ人は45.6%。本来と違う「深く考えたり、頭を使ったりした後の発熱。」の40.2%を僅かに上回った。「ぞっとしない」で本来の「面白く無い。」を選べたのは22.8%で、56.1%が「恐ろしく無い。」と答えた。
1980年代(昭和55年~平成元年)に登場した表現の使用状況も調べた。漫画表現に由来する「目が点になる」を使う人は約半数で、40、50代が約7割と高い。「挫折する」といった意味の「心が折れる」は43.3%で、40代以下の世代が使う傾向が見られた。
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毎年、此の時期には「国語に関する世論調査」の結果が大きく報じられる。元記事で取り上げられた範囲で言えば、「存亡の機」という表現は初めて知り、「存亡の危機」という表現を普通に使っていた。他の慣用句に付いては、本来の言い方や意味合いを知っていたが、「目が点になる。」及び「心が折れる」という表現は共に理解しているものの、「心が折れる」を日常生活で使う事は無い。
「言葉」は時代によって変わって行く物で在り、例えば「あした」なんていうのは鎌倉時代辺りだと「朝」とか「翌朝」とかと、「朝」に関係する意味合いだけれど、今では「今日の次の日。」というのが普通の使われ方だろう。だから、極端におかしな言い方や意味合いで無い限り、そんなに目くじらを立てる様な事では無いと思っている。でも・・・。
先日、久し振りに動物園に行って来た。様々な動物達を見る事が出来て、癒された気分になったのだが、次の動物の名前を御存知だろうか?
気になって暫く此の動物の檻の前に居たのだが、“動物名”を口にした20人の内で、「オラ“ン”ウータン」という正しい呼び方をしたのは2人だけで、後は皆「オラウータン」と呼んでいた。「オランウータン」という大きな表示が在るにも拘らず、老若男女関係無しに誤った呼び方をしていたのだ。慣用句は未だしも、“固有名詞の変化”は流石に駄目だろう。
日本語独特の表現は難しいといいますか、英語に訳し易い言葉ほど、親しみがあると思います。英語で話せと言われて、最も困るのは、難しい言葉を脳内で瞬時に訳す事でしょう。使える単語や語彙が限られて居れば、会話は試行錯誤によって、改善されると思うのです。それは、翻せば、高い日本語能力があれば、早期に習う事によって英語も出来る、という事です。
「話し言葉として、定着している物は、使い易いと思います。」、其れは在るでしょうね。以前、記事で書いた事ですが、「ざっくり言うと」なんていう表現も、池上彰氏が屡々口にしていた事で、一般的に定着した感が在ります。其れ迄は「ざっくり」と言えば、「ナイフの様な切れ味鋭い物で、一気に切る。」という使われ方が普通だったのに・・・。
「英語に訳し易い言葉程、親しみが在ると思います。」、此れも在るでしょうね。でも、最近は逆のケースで、「無闇矢鱈と、英単語を会話や文章に用いる。」傾向が強く、其の英単語の持つコンセプトが今一判り難い事から、見聞していて頭がパニック状態になる事も。