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真夏の札幌で、爆薬材料の窃盗事件。爆弾製造?誰が、何を爆破する?タイム・リミット迫る、命懸けの任務!チーム佐伯(さえき)が、警官の覚悟を見せる!
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北海道夕張市生まれの作家・佐々木譲氏は、故郷を舞台にした作品を多く生み出している。今回読了した「真夏の雷管」はそんな1つで、「道警シリーズ」の第8弾に当たる。此のシリーズは、「北海道警裏金事件後の北海道警察の警察官達を描いた作品。」だ。
札幌で、2つの事件が発生する。1つは、小学生の少年による万引。一度は捕まったものの逃走。そして、更なる万引を。共に盗んだ物は、小学生が必要とする様な物とは思えなかった。そして、もう1つは、園芸店からの盗難事件。盗まれたのは大量の硝酸アンモニウムで、此れは爆弾の材料になり得る物だ。全く無関係と思われた2つの事件が、軈てリンクしている事が明らかになる。
タイトルに使われている「雷管」とは、「僅かな熱や衝撃でも発火する火薬を筒に込めた火工品で、爆弾等の点火に使われている。」のだとか。自分は初めて知った用語だが、知っている人ならば、タイトルだけで内容が或る程度想像出来るだろう。
「道警シリーズ」と言えば、佐伯宏一(さえき こういち)をリーダーとした、津久井卓(つくい すぐる)、小島百合(こじま ゆり)、そして新宮昌樹(しんぐう まさき)という4名の“チーム佐伯”が、連携プレーで事件を解決するのが魅力。今回もそういう展開では在ったが、他の作品と比べると、連携プレーの“濃密さ”に欠ける気がする。
又、犯行動機と犯行の繋がりが、理解出来る様で理解出来ないし、ストーリー自体も凡庸。正直、魅力に乏しい作品だった。
総合評価は、星2.5個とする。