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「強姦冤罪事件、女性の『嘘』で服役 裁いた国の責任は」(1月5日、朝日新聞)
強姦事件等で服役中に被害証言が嘘だったと判り、再審で無罪となった男性(75歳)と妻が、国と大阪府に計約1億4千万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が8日、大阪地裁で在る。
男性側は冤罪の責任は捜査機関だけで無く、裁判所にも在ると訴えている。
訴状等によると、「男性は2004年と2008年に、当時10代の女性に自宅で性的暴行を加えた。」として強姦と強制猥褻の罪で起訴された。一貫して無罪を訴えたが、大阪地裁は2009年5月、「女性が被害を捏っち上げる事は考え難い。」として、女性本人や被害を目撃したとする親族の証言等から、懲役12年の判決を言い渡した。最高裁が2011年4月に上告を退け、確定した。
然し、男性が服役中の2014年、女性が「被害は嘘。」と告白。親族も、証言が虚偽と認めた。其の後の大阪地検の調べで、女性が被害届を出した後に受診した医療機関に「性的被害の痕跡は無い。」とするカルテが在った事が判明。男性は2014年11月に釈放され、2015年10月に地裁の再審で無罪判決を受けた。
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「確固たる証拠を以て、罪を裁く。」というのが裁判の在り方なのだけれど、確固たる証拠が無いのに、被疑者の自白や目撃証言“だけ”を頼りに裁かれ、そして有罪となる。被疑者が本当に罪を犯しているならば話は別だが、今回の様に濡れ衣を着せられた場合は、「気の毒。」の一言で片付けられない。「自分が、件の男性の立場になったら。」と考えると、ぞっとする。
件の男性は一貫して無罪を訴えていて、尚且つ「被害を訴えていた女性が、被害届を出した後に受診した医療機関に『性的被害の痕跡は無い。』とするカルテが在った。」というのだから、捜査機関や裁判所がきちんと調べれば、「此れはおかしいな。」という事になった筈。
今回の場合、被害を訴えていた女性、そして其の親族が“嘘”を認めたから良かったものの、認める事が無かったならば、件の男性は濡れ衣を着せられ続けていた事だろう。