ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「花咲舞が黙ってない」

2017年10月21日 | 書籍関連

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其の日、東京第一銀行に激震が走った。頭取から発表されたライヴァル行との合併。生き残りを懸けた交渉が進む中、臨店指導グループの跳ねっ返り花咲舞(はなさき まい)は、ひょんな事から「組織の秘密」というパンドラの箱を開けてしまう。隠蔽工作、行内政治妖怪重役・・・此の儘では我が行は駄目になる!

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池井戸潤氏の小説花咲舞が黙ってない」は、「花咲舞シリーズ」の第2弾。第1弾のタイトルが上梓されたのは13年前の2004年で、其のタイトルは「不祥事」。此の原作を元にしてTVドラマ化されたのが「花咲舞が黙ってない」で、放送は2014年の事。

 

其れオレバブシリーズ」と呼ばれていたのが、2013年に原作を元にTVドラマ化された際、主人公の名前「半沢直樹」をタイトルにして大ヒットし、以降、「半沢直樹シリーズ」と呼ばれる様になった事から、「不祥事」がTVドラマ化された際も同様に、主人公・花咲舞の名前を冠したタイトルに変えられた。そして先月、13年振りに上梓された「不祥事」の続編タイトルが、後追いで「花咲舞が黙ってない」となった次第

 

舞台となっているのは、20世紀末の日本。一般的に「バブル崩壊」は1991年3月~1993年10月の間を指すが、20世紀末と言えば我が国では、大手を含むゼネコン会社更生法適用したり、債務免除で生き延びる等していた時代。金融業界でも北海道拓殖銀行山一證券日本長期信用銀行日本債権信用銀行といった大手が次々と経営破綻し、生き残った銀行も“体力”を付けるべく、再編の道を歩み出した波乱の時代。池井戸氏は1988年から1995年迄銀行に勤務していたので、20世紀末は外部から金融界を見ていた訳だが、元銀行マンとして見聞して来た“現実”を元にしているからこそ、彼の小説は面白い。

 

誰しも人は生きている限り、不条理な出来事に少なからず直面させられる。そういった不条理な出来事に対し、不本意乍ら従わなければならない事も在る。、余程強靭な心を持っている人ではないと、「従わざるをない。」というのが大半だろう。そういった人達は“自身の思い”と“現実”の前に苦しみ、強いフラストレーションを抱え込む。池井戸作品はそんなフラストレーションを吹き飛ばし、カタルシスを得させてくれるから、多くのファンを持つのだろう。

 

今回の「花咲舞が黙ってない」、他の池井戸作品同様に、主役も脇役お悪役も、皆キャラ立ちしている。ハラハラドキドキさせてくれる展開も魅力的だし、100%のカタルシスは得られないけれど、「真面目に生きるって、凄く大事な事。」というのを改めて感じさせてくれる。こういう時代だからこそ、余計にだ。

 

池井戸作品のファンにとって嬉しいのは、作品の垣根を越えて半沢直樹が登場する事。ちょい役なのが、残念では在るのだけれど。

 

総合評価は、星4つとする。


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