脇役として個性的な演技をし、強烈な存在感を表す俳優というのが存在する。特に“怪優”と呼ばれる様な俳優は、強く記憶に刻まれる。19日に69歳で亡くなられていた事が明らかになった斎藤洋介氏も、そんな1人だ。咽頭癌で闘病中だった様だが、一度見たら忘れられないルックスと、個性的な演技がもう見られないのは、本当に残念だ。
斎藤氏を初めて知ったのは、映画「ヒポクラテスたち」だったと思う。40年前の1980年に公開された作品で、モアイ像の様な巨大な顔に、独特な話し方をする彼は、主役を食う存在感が在った。
印象に残っている作品は数多く在るけれど、TVドラマ「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」で演じた教師・宮崎信一役は、特に印象深い。「自身のルックスに強いコンプレックスを持ち、屈折した思いを抱えた男性教師が、教え子を徹底的に虐め抜き、死に追い遣る。」という役で、「教え子が死んだ事で、自身の秘密が守られた。」と、トイレの個室で大笑いする場面は忘れられない。そういう“屈折した思いを抱えた悪役”というのが実に上手い一方、ヴァラエティ番組でコミカルな姿を見せるギャップも魅力だった。
若い人は知らないだろうが、大昔、伊藤雄之助氏という俳優が居た。“怪優”と呼ばれていた事や其のルックスが似ている事から、自分の中では「斎藤氏は、伊藤氏の長男。」という位置付けを勝手にしていた。そして、「斎藤氏が長男なら、次男は嶋田久作氏だ。」とも。
[伊藤雄之助氏]
[斎藤洋介氏]
[嶋田久作氏]
怪優逝く。合掌。