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「イタリアで議員定数3分の1削減へ、国民投票始まる」(9月21日、TBS NEWS)
イタリアで20日、国会議員の定数を凡そ3分の1削減する為の国民投票が始まりました。地元メディアは、賛成多数となる見通しを伝えています。
投票が行われている国会議員の定数削減案では、「代議員(下院)の定数を630議席から400議席に、元老院(上院)の選挙で選ばれる315議席を200議席に減らす。」としています。可決されれば、次回の総選挙から上下院合わせて凡そ3分の1に当たる345議席の削減となります。投票は現地21日に締め切り、即日開票され、地元メディアによりますと、賛成多数の公算が大きいという事です。
イタリアでは、「既存政党が腐敗している。」と批判し支持を広げた「五つ星運動」が、前回2018年の総選挙で与党となり、議員定数削減を訴えていました。地元紙は、「今回の削減案で、年間凡そ100億円の経費削減が見込まれる。」と報じています。
投票に先立ち、コンテ首相は「議員削減により、国会の機能が損なわれる事は無い。逆に、国会議員の信頼性を高める為の改革の第一歩になる。」と強調しています。
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「世界の国会議員定数 国別ランキング」というのが在った(定数が間違っている部分は、今回修正した。)ので、上位10ヶ国の人数、そして国会議員1人当たりがカヴァーする国民数(其の国の総人口数÷其の国の国会議員定数)を記してみる。
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「世界の国会議員定数 国別ランキング(上位10ヶ国)」
1位: 中国(2,975人⇒1人当たり約482,572人をカヴァー。)
2位: イギリス(1,445人⇒1人当たり約46,465人をカヴァー。)
3位: イタリア(945人⇒1人当たり約64,156人をカヴァー。)
4位: フランス(925人⇒1人当たり約70,261人をカヴァー。)
5位: インド(783人⇒1人当たり約1,727,512人をカヴァー。)
6位: ドイツ(778人⇒1人当たり約106,843人をカヴァー。)
7位: タイ(750人⇒1人当たり約92、571人をカヴァー。)
8位: 日本(713人⇒1人当たり約178,404人をカヴァー。)
9位: エチオピア(700人⇒1人当たり約156,034人をカヴァー。)
10位:北朝鮮(687人⇒1人当たり約37,191人をカヴァー。)
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上位10ヶ国に関して言えば、国会議員定数が最も多いのは中国だが、国会議員1人当たりがカヴァーする国民数が一番多いのはインドとなる。又、逆に一番少ないのは北朝鮮。上位10ヶ国に入っていないが、ロシアは13位(620人⇒1人当たり約235,055人をカヴァー。)、アメリカは24位(531人⇒1人当たり616,000人をカヴァー。)となっている。
「国会議員定数が多いのは、絶対駄目。」とは言わない。「国会議員定数が多ければ、国会議員1人当たりがカヴァーする国民数は少なくなり、より細かい対応が可能になる。」とも言えるから。でも、中国や北朝鮮を考えると・・・。
何の役にも立たない様な国会議員が多ければ、国会議員定数を大幅に削減すべきで在る。政権交代が果たされた頃、あんなにも「国会議員定数を、大幅に削減すべき!」と主張する国民が多かった我が国。でも、今ではそういう声を余り聞かない。「中身が全く無く、自分にとって不都合な事は絶対に言わない狡いだけの男。」を「次の首相に相応しい人物。」と少なからずが支持し、“史上最悪の首相”が辞任を表明した“だけ”で、低迷していた彼の内閣支持率が十数%も急上昇する様などうしようもない国では、再び「国会議員定数を、大幅に削減すべき!」という声は大きくならないだろう。
議員定数を削減すれば候補者が厳選され経費削減につながり、いいことづくめ・・・とならないところが、この問題の難しいところですね。
特に日本のように寄らば大樹、長い物には巻かれろ、泣く子と地頭には勝てぬ、といった風潮があり、政権交代が起こりにくい国民土壌があると、よほど抜本的な制度改革を同時にやらない限り、一人勝ちがさらに顕著になって、少数派の意見は抹殺されてしまうでしょう。
与野党伯仲・政権交代可能を目指して導入された小選挙区制度も、2度の短期間の政権交代は実現したものの、経験不足からくるつたない政権運営を経て、逆に現在のような自民党圧勝の強権政治を生む結果になってしまいました。
実現はまず不可能で笑われるかもしれませんが、ひとつプランがあります。
政権を与党だけで構成するのでなく、内閣に一定数の野党議員を入閣させ、経験と責任を積ませるということ。いくつかの(さほど主要でない)大臣ポストを割り振るとか、副大臣を充てるとか。
もちろんそうすることで閣議決定はスムーズには運ばないでしょうが、内側から互いに監視することで、言いっぱなしではなく責任を持って行動すること、多様な考えが反映されることが与野党議員共に経験でき、健全な政権交代が可能になるのではないかと。
そうした土壌の上でなら議員削減も意味があると思うのですが、いかが?
でも今の自民党やその支持者のように目先の利益にしか関心が無い人たちにとっては、メリットは感じられないでしょうし、政権交代は「悪夢」としか思えないでしょうね。
「政権を与党だけで構成するので無く、内閣に一定数の野党議員を入閣させ、経験と責任を積ませる。」、面白いアイデアですね。上手く機能すれば、内閣の暴走は抑えられる可能性が在る。でも、此れは「内閣を構成する議員が与野党を問わず、真っ当な人材で在る。」というのが大前提に在りますね。今の様に“糞の役にも立たない様な議員”が少なからず存在する現状では、監視される側だけでは無く、監視する側も不正に同調してしまう事も在り得る。結局、国民がもっと高い自覚を持った上、本当に任に足りる国会議員を選ばないと、どんな素晴らしい制度を作ったとしても、何の意味も無くなってしまうという事なのでしょう。