*****************************
「部下に昼飯集った上司等停職 寿司、焼肉等100万円以上」(12月28日、J-CASTニュース)
2012年4月に政令指定都市となる熊本市で、出先機関で働く49歳の男性係長と47歳の技術参与に、停職6ヶ月の懲戒処分が下された。理由は、新人職員に対する悪質なパワー・ハラスメントだ。
入職以来2年半に亘り、略毎日30分から1時間の正座をさせ、「御前の仕事の尻拭いをして遣った。」等と言い掛かりを付けて、寿司や焼肉、鰻等計100万円以上の昼食代を奢らせていた。
今年に入ってからは夜の宴会代も支払わせており、新人職員は11月からメンタルヘルス不全で休職している。上司で在る係長に書類の決裁をして貰えないといった、仕事上の嫌がらせも在った様だ。
2人は市の調査に対し、当初は「自分達もそう指導されて来た。」と言い訳をしていたが、其の後「遣り過ぎた。」と認めたと言う。此のニュースには、若いネット・ユーザーを中心に強い批判の声が上がった。
「パワハラ?恐喝の間違いだろ。」。「停職じゃなくて、首だよな。」。
特に、全ての職員が正座を目撃している点や、正座をしている間は「他の職員に怪しまれない様、笑顔で居る事を強要した」点、市の調べに対して上司で在る所長が「指導熱心だと思った。」とコメントした点には、怒りが噴出している。
「此の2人以外も全員共犯で、懲戒レヴェル。」。「部下を怖がり注意も出来ずに、所長とは情けなさ過ぎる。」。
6ヶ月で職場復帰が出来るなら甘い物かと思うが、或る市の職員によると地方公務員にとって相当に重い処分で在り、「事実上の退職勧奨」ではないかと言う。退職金が支払われるかどうかは不明だ。
懲戒免職には、多額の横領でもしない限りならない様だが、将来在る市の人材を長期間に亘って虐め倒し、休職に追い込んだ事は、或る意味で「貴重な市の財産」を損なったという見方も出来る。「ヨーロッパなら1回で首。」、「損害賠償は億だな。」と言う人も居た。
殆どの組織でパワハラは内部で処理される為、外部に知られる事は少なく、今回の様に市が謝罪会見をして処分を明らかにする事は珍しい。
労働問題に詳しいみらい総合法律事務所の辻角智之弁護士によると、パワハラの内容が恐喝の要件を満たしている可能性は在るが、其れだけでは刑事事件になり難く、民事裁判で慰謝料請求を選ぶケースが圧倒的に多いと言う。「恐喝は親告罪では在りませんが、警察が捜査を行う前に被害届が出されるのが一般的です。しかし恐喝が認められても加害者に刑罰を科されるだけで、被害者に直接的なメリットは無く、恐喝目的を立証する為に被害者も様々な取調べを受けなければなりません。心理的な負担も大きくなるので、其処迄して被害届を出すかという判断になるでしょう。」。
尚、新人職員は「職場でのハラスメント」に関するヒアリングを3回受けていたが、被害の報告をしていなかったというから、今回も「被害届」は出されないかもしれない。恐怖心で声が出せなかったのか、地方都市の出先機関の「逃げ場の無い空気」が諦めを誘ったのだろうか。
*****************************
近年、「仮想敵を作り上げ、皆で其の仮想敵を叩き潰せば良い。」という風潮が在る。時には「本当に叩き潰さなければいけない仮想敵」も在ろうが、其の多くは「目先を逸らす意味合いで、無理無理に作り上げられた仮想敵。」というケースで、結局「問題の本質」が見えなくされてしまっている様に感じる。
「公務員」も、仮想敵にされる事が多い存在だ。確かに「問題は多い。」と思われる存在だけれど、でも「何から何迄、公務員を叩きさえすれば良い。」となると、其れは明らかに間違い。例えば「民間企業の会社員は長時間サービス残業をしているというのに、公務員は定時にさっさと退社しているのはおかしい!」という批判も、「定時にさっさと退社している公務員。」というのが正常な姿で在り、「長時間、其れもサービス残業という形で働かなければいけない民間企業の会社員。」というのが異常なのを認識しなければいけないだろう。(嘗ての自分も、「定時にさっさと退社している公務員はおかしい。」と愚痴っていた口なので、偉そうな事は言えないけれど。)
で、話を本題に戻すが、今回のニュースに関して言えば、“直接的に”パワハラしていた上司2人は、「糞」としか言い様が無い。恐喝としか思えない遣り口で100万円以上も金銭を支払わせ、仕事上でも書類の決裁を不当に行わない等、ちんぴらか将又ガキの所業としか思えない。悪事が露見したら「自分達もそう指導されて来た。」と訳の判らない言い訳を口にし、其れが通らないと思えば「遣り過ぎた。」と言い放つ。「遣り過ぎた。」では無く、「馬鹿な事をしてしまった。被害者に謝罪したい。」と言うのが、“真面な大人”だろうに。
「此の2人だけが問題。」とは思わない。“普通に考えて”「虐め」としか思えない所業が長期間行われているのに、「(加害者の2人は)指導熱心だと思った。」と子供でも言わない様な言い訳をした所長も問題なら、虐めを黙認し続けていた他の職員達というのも問題。「学校での虐め」と全く同じ構図だ。
必死で頑張っている公務員は、妥当な範囲での高給を得て構わない。しかし逆に、“問題な職員”は、どんどん解雇出来る様にしないと駄目。法改正等を行い、問題な職員を徹底的に解雇。そして、在野から優秀な人材を入れる。そういう当たり前の事がされない限り、国は傾く方向に進み続けるだろう。