ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「空飛ぶタイヤ」

2013年05月26日 | 書籍関連

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父親の後を継ぎ、運送会社「赤松運送」を経営する赤松徳郎(あかまつ とくろう)は、或る日、自社のトラックがタイヤ脱落事故を起こし、死傷者を出してしまった事を知る。事故原因を一方的に整備不良とされ、「容疑者」と決め付けられた赤松は、警察からの執拗追及を受ける。更には会社も信用を失い、倒産寸前の状態に追い込まれる事に。

 

しかし赤松は、事故原因は整備不良では無く、事故を起こした車両自体に欠陥が在ったのではないかと考える。「自社に過失無し。」と信じる赤松は、家族や社員達のに、トラックの販売元である巨大企業「ホープ自動車」に潜む闇に闘いを挑むが・・・。

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池井戸潤氏の「空飛ぶタイヤ」は、第136回(2006年下半期)の直木賞の候補作になった小説。(此の回は、受賞作品無し。)「『空飛ぶタイヤ』って面白いタイトルだけど、どんな内容なんだろう?」というのが、初めて此の小説を店頭で目にした時の思いだった。

 

今から13年前の2000年に発覚した「三菱リコール隠し」。三菱自動車工業が自社の乗用車部門及びトラック&バス部門で、1970年代から約30年間に亘り、10車種以上、約60万台に上るリコール繋がる不具合情報」を当時の運輸省に報告しなかった許りか、社内で隠蔽して続けていた事実が内部告発により明らかとなり、其の後、一連のリコール隠しによって「横浜母子3人死傷事故」及び「山口トラック運転手死亡事故」が発生する等、大きな社会問題となった。此の件で三菱自動車工業は深刻な経営不振陥る訳だが、「空飛ぶタイヤ」は「三菱リコール隠し」を物語の下敷きにしている。

 

事故で家族を失った遺族、“加害者”として矢面に立たされる事となった赤松と社員達、リコール隠しに走る自動車会社の面々、グループ会社を守ろうとする面々、「大企業が、おかしな事をするが無い。」という固定観念で捜査に当たる警察関係者等々、様々な思惑が複雑に絡み合う何の組織も決して一枚岩では無く、“主流”の意向に対して反発する“反主流”が存在し、其処から事態が微妙に“変化”を見せて行くのが興味深い。

 

窮地に追い込まれた時に、其の人間の本性が明らかになる。と良く言われる。政権の座から滑り落ち、野党となった民主党から、次々に離党して他党へ移るさもしい連中を見ていると、「本当にそうだよなあ。」と改めて思ったりする訳だが赤松運送も例外では無い。平時では「高く評価していた人間」があっさりと裏切り、「高くは評価していなかった人間」に気骨や誠実さを見出だせたりするのだから。

 

大きな組織に身を置いているという事だけで、人を人とも思わない態度で接する勘違い野郎一昔前の役所や銀行には此の手の人間が結構見受けられたが、“顧客”の目が厳しくなった最近では、流石に余り見掛けなくなった。でも、グループ会社を幾つも抱える様な大企業では、未だにそういった勘違い野郎はたりする。だからこそ中小企業の社長として、大きな組織に真っ向から立ち向かい、何度も叩き潰されそうになる赤松に対して、心の中で声援を送ってしまう自分が居た。

 

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・ いま、世の中の会社のあり方は確実に変わってきている。自社に都合の悪いことは、隠蔽するのではなく、むしろ明らかにしていくことでしか顧客の信頼をつなぎとめることはできないのだ。それは、自動車産業だけではなく全ての産業について共通した認識になっている。不正やミス、欠陥は、“指摘されたら負け”だ。そうなる前に自ら公表し、謝罪しなければこっぴどいしっぺ返しが来る。

 

・ 会社が成り立っているのは、お客さんがあるからよね。あなたが暴こうとしている秘密がどんなものかは知らない。でも、それがお客さんにとってメリットがあることなら、それは明らかにすべきと思う。もし、それで会社が倒産するようなことがあっても、そうするべきよ。それができない会社は、そのときは生き延びても、あとで必ず行き詰まる。一番大切な人に嘘をついちゃだめよ。会社の場合、それは、お客さんでしょう。

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万事休す」と思われる事態を何度も迎え、そして最後には・・・池井戸氏の優れた筆致が、此の「空飛ぶタイヤ」でも堪能出来た。総合評価は、星4つ


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10 コメント

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Unknown (マヌケ)
2013-05-26 14:03:25
サンデル教授の授業ならば、リコールを公表すれば企業が大ダメージを受け、確実に1万人の従業員が解雇され、一方、リコールを隠した場合、事故が起こる確率は1万分の1程度だとするとき、あなたがこの企業の社員ならどのような決断を行いますか?となるでしょう。 純粋な学生ならば、リコールを公表するべきだと確実に答えるでしょうが、従業員の立場になるとそうはならない回答もあるでしょうね。 企業の不祥事の隠ぺい体質は社会正義よりも企業の存続を優先させる理論が働きますから、正しい答えではなくても選択する傾向があります。 決断をせまられている時点で本当は間違った選択をいくつもしてきていて、その企業は終わっている駄目な企業なんですが、それに気づいていないし、本来はそうならないための努力こそが必要なのに、過度のコスト削減や出世と言うあまりにも個人的な欲望から不正が生まれてくるおかしな状況がいつまでも繰り返されます。 ネジ1本の安全規格のごまかしから企業全体が揺らいでしまう、そんな話もありましたね。 空飛ぶタイヤはドラマにもなりましたし、鉄の骨もNHKでありましたね。 池井戸潤さんの企業小説は最後は必ず正義が勝つところが救いです。
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>マヌケ様 (giants-55)
2013-05-26 16:02:00
書き込み有難う御座いました。

自身がリコール隠しをしている企業に在籍していたら、どういう立ち居振る舞いをするかは非常に悩ましい事でしょうね。第三者の立場としてはああだこうだと言えても、実際に我が身に降り掛かって来なければ、人間というのはどう動くか判りせんから。

一部ネタバレになってしまうのですが、ホープ自動車に在籍している或る人物が、“結果として”リコール隠しを暴く“手助け”をする事になる。でも、其の人物は、最初は“正義”だとかいう事では無く、派閥抗争を利する為にリコール隠しを利用しようとしていた訳ですし。彼の妻が「第三者としての気持ち」と「ホープ自動車の社員の妻としての気持ち」という、複雑な思いを彼に対して語るシーンが在りますけれど、読んでいて「判るなあ。」と思いました。

読めば読む程に、其の世界観に嵌って行く。池井戸作品は、麻薬の様な存在かもしれません。実際に、麻薬を使った事は在りませんけれど。
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「消費者」「従業員」――その両方の気持ちを理解すべし……に尽きますね。 (Masaya)
2013-10-08 20:49:48
初めまして。
調べ物をしていて、ここに辿り着きまして。

私は、まだ読んでいないのですが、ここでのコメントにある――。

> サンデル教授の授業ならば、
> リコールを公表すれば企業が大ダメージを受け、
> 確実に1万人の従業員が解雇され、
> 一方、リコールを隠した場合、
> 事故が起こる確率は1万分の1程度だとするとき、
> あなたがこの企業の社員なら
> どのような決断を行いますか?となるでしょう。
> 純粋な学生ならば、リコールを公表するべきだと
> 確実に答えるでしょうが、
> 従業員の立場になると
> そうはならない回答もあるでしょうね。 

――に尽きるんでしょうね。

ただ、社員が「企業に固執する」のは、世間の見る眼の問題も大きいと思う。
「どういう仕事をしているか」と言う“能力”では無く「何処に務めているか」と言う“ブランド力”で見る傾向が有るから――それが、“リコールした場合の大ダメージ”の一端でもあるのですが。

オマケに、終身雇用の悪い面である、「“一つの会社に何年勤めたか”ばかりを問う傾向」が強く、“持っている技能”を赤の他人に評価してもらえず、「転職をしてやり直す」と言う決断をしにくい環境がある事も、大きいと思います。

会社組織の問題で言うなら、「上司の顔色を伺う体質」に尽きますよね。
これは、先にも挙げた「持っているキャリアが、会社以外では活かせない」と言う問いかけにも繋がるのですが、生活面でも心理面でも会社に繋がっている上で、消費者の目線からは理解されにくく、「良い仕事」をしていても自慢がしにくい側面がある為――と、思います。

結局は、消費者も社員も、「社員の側と消費者の側、両方の目線を持つこと」に尽きるんでしょうね。
「大企業なんだから、これくらいは出来るはずだろう」……な物の見方は捨てることだと思います。
その様な見方になりがちな事が、消費者と生産者との意識の断絶を生み、「面子」ばかりに拘る結果を生み、一連の事件に繋がっているんだろう――と、思うのです。

中日ドラゴンズ前監督・落合博満氏の著書・『采配』にて、こう言う一節があります。

「エリート選手出身の監督は、“苦労人選手”の気持ちを理解出来ない傾向がある」
……と言う主旨の発言をした後で、

――「プロに入ってきたんだから、そんなことくらいはできるだろう」
そう言う視点だと、できない選手が「能力がない」「努力をしていない」と見えてしまう。
野球界では「名選手、名監督にあらず」と言われていた時代があったが、その原因はまさにこういうことだったのだと思う。
長嶋(茂雄)さんが監督1年目に球団史上初の最下位になった時、「四番に長嶋がいない」と漏らしたという。これこそ、「何でもできた人」の悩みだったのではないか。

そんなスター監督とは正反対に、選手時代手には高い実績を上げられなかったものの、若くして指導者の道に入り、コツコツと経験を積み重ねて監督に就任する人もいる。

コーチや二軍監督を経験していれば、先に書いた“できない人の気持ち”は手に取るように理解できるから、若い選手を厳しさの中から育てていく手腕に長けている。
人当たりがよく、辛抱強さも備えていることで、チームの風通しもよくなることが多い。

ところが、このタイプの監督は主力選手、すなわち“できる人の思い”をなかなか理解できない。人によっては、スター選手に嫉妬心を抱いて無用な衝突を起こしたりする。
そして、ベテランから若手に切り換えるタイミングを間違えることもある。

――(『采配』P203より)

その上で、こう結んでいます。

ビジネスの世界にも、一流大学から大手企業に進んだエリートもいれば、コツコツと下積みから這い上がった人もいるだろう。さまざまな歩みをしてきた人がさまざまな思いを抱えているだけに、少しでも「できる人の思い」「できない人の気持ち」、両方を理解できるダーになってもらいたい。(『采配』P205より)

――これに尽きるな……と、感じました。
我々消費者も、「物を見る眼」が必要だと言える部分で、当たっている言葉だと感じます。
心懸けていくべきですよね。

長くなりましたが、それでは、またです。
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>Masaya様 (giants-55)
2013-10-09 00:51:29
初めまして。書き込み有難う御座いました。

「ブランド力への固執」や「固定化した評価判断」というのは、確かに在るでしょうね。こういった物は日本に限らず在るとは思うけれど、日本の場合は特に強い気がします。「村意識の強さ」というのが、大きく影響しているのかなあと。

ジャイアンツの歴代監督、長嶋監督以降を考えると、“監督として”成功した人は藤田監督と原監督だと思っています。逆に失敗、又は失敗とは言わないけれど、成功したとは言い難いのは長嶋監督、王監督、そして堀内監督だと。

ONに関しては矢張り、自身が途轍も無いスーパー・スターだっただけに、「何で、こんな簡単な事が出来ないんだ!?」という思いが選手達に在り、其れがチームにマイナス作用していた様に感じます。共に2度目の監督時代では、そういった面が薄れはしましたが、完全に消し去られたという感じはしなかった。

一方、藤田監督は、選手の目線に立っての思考が出来た。と言って、選手に迎合する訳でも無く、「柔軟さ」と「頑固さ」が良い具合にブレンドされた人物だったと思っています。或る部分では柔軟だけれど、絶対に譲るべきでは無い部分では非常に頑固。其の兼ね合いが非常に難しい訳ですが、彼は上手かったですね。

藤田監督を師匠と仰ぐ原監督は、ONに比べると選手目線に立って思考出来る面が。ONと肩を並べるレヴェルの選手では無かったという点に加え、晩年、選手として辛い思いをして来た事が、彼を良い意味で変えたのかもしれません。

今後とも、何卒宜しく御願い致します。
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Unknown (マヌケ)
2013-10-09 12:57:21
日本の株主と欧米の株主のいちばん大きな違いは、近々の決算が黒字で配当が得られるかどうかや、株式そのものの売却価値しか見ていない、企業を育てようとか、研究開発に関心を持つとかの株主がほとんどいないことです。 おそらく自分が所有する企業の主力商品すらよく理解していない株主などざらにいて、株主優待券や総会で配られる粗品を喜ぶだけの株主も多いでしょう。 上場するということは株主から経営を監視され、厳しい目で見られているはずなのに、それでも株主どころか消費者や社会を無視するような不正や粉飾やコンプライアンス違反がいくつも起こりました。 メガバンクが暴力団に資金協力しているのと同じ行為すらあります。 企業の倫理と社会の倫理にはズレがありますね。 年をとるとわかると思いますが、転職でステップアップできるのは早いうちだけに限られます。 それに、社会でも会社でも歯車として居続ける存在は不可欠で、頻繁に転職が起こることが企業にとっては著しい不利益となることもたくさんあるのです。 できる人とかできない人というのは錯覚に近いものがあり、しない人とする人程度なのが現実です。 個人個人の能力において、企業で発揮される部分というのはそれほど大差はありません。 しかも一流大学でもそうでなくても大差ありません。 30年以上働いてきた経験からです。 30年間同じ会社でも異動して様々な部署を経験しますから、転職したのと同じくらい生活から年収から変わります。 池井戸潤最高。
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>マヌケ様 (giants-55)
2013-10-09 15:50:11
書き込み有難う御座いました。

欧米の株主事情に関しては全く知りませんので何とも言えないのですが、少なくとも日本の株主の場合は、仰る様に「株式を単なる儲けの手段としてしか見ておらず、其の企業が先々どうなろうが、自身が株式を所有している間は儲かれば、其れでOK。」という考えの人が少なく無いのは、自分も感じます。

人間には「絶対に捨ててはならないプライド」と「時には捨てても良いプライド」とが在ると思うんです。組織に居れば、意に沿わない事は幾らでも在るし、自身が低く評価されていると感じる事も在る。肉親で大手銀行に勤めていた者が居り、彼は旧帝大の出身でプライドは其れなりに高かった。一般企業もそうだけれど、銀行は官僚組織と同様に、30代位迄には「先の在る立場」と「そうじゃない立場」が見えて来ると言いますけれど、彼の場合は「そうじゃない立場」に入ってしまったそうで、其れが耐えられなくて転職しました。転職後暫くして会いましたが、其れ迄の溌剌さが失せていた。彼にとって、残った方が地獄だったのか?、其れとも、去った方が地獄だったのか?人生を終える段階で、彼自身がどう思うかなんでしょうね。
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ご返事、ありがとうございます。 (Masaya)
2013-10-10 20:36:25
ご返事、ありがとうございます。
実は、私は、中日ファンです……(^-^;

でも、仰せの通りだと思いますね。特に、監督論の部分では。
無論、王さんや長嶋さんらに“地力”が無かった訳では無かったでしょうが、周りに恵まれていた部分は大きかったとは思いますね。
特に、王さんの場合は、監督&球団社長を歴任された根本陸夫さんの尽力も大きかった――と、聞きます。
ホークスの監督に就任するも、やはり、“世界の王”と言うことで、中々うち解けなかったところがあり、その都度根本さんが、
「王は、ラーメン屋の倅だ。決して特別な存在じゃ無いんだから、もっと気楽にやれ」
――と選手らを諭し、王さんも、根本さんのやり方を取り入れていった……その努力が実り、1999年に“福岡移転後”の初優勝を遂げ、それ以後は、“強いチーム”を維持で居るんだと思います。

巨人の監督と言えば、忘れて成らないのが、やはり川上哲治さんでしょう。
文字通り“今の巨人の基礎”を築いた人だし、藤田さんも、川上さんの薫陶を受けて選手時代を過ごされた人ですから。
そんな川上さんの“采配”、ドジャースから影響を受けていたらしいです。

1961年、監督に就任したばかりの川上さんの提案で、当時この地をキャンプ地としていた、大リーグのロサンゼルス・ドジャースと合同でキャンプが行われました。

川上さんは、当時戦力としては大リーグ全体の中で乏しい方だったドジャースが、何故か毎年優勝争いを繰り広げていることに注目し、ドジャースと合同で巨人のキャンプを行うことに決めたのだそうです。

そして、ドジャースの強さの秘密であるサインプレーを吸収し、早速巨人でも実践しました。
当時、日本球界ではサインプレーが徹底しておらず、ほとんどの場合、選手が個々にプレーしていたそうですが、このベロビーチでのドジャースとの合同キャンプがきっかけで、巨人が日本球界でいち早く、サインプレーによって1点を守り勝つ組織野球=通称ドジャース戦法を実践し、これにより、65~73年までの栄光のV9を達成したのだそうです。

川上さんは、それだけ“物を見る眼”があったと言うことですよね。
そんな“川上流”を取り入れたのが、落合さんだった――と、言うことでしょうか。

話は変わり、我がドラゴンズ――谷繁元信捕手が兼任監督を務めることに相成りまして。
無論期待は有るのですが、“不安”も大きいです。

まず、“選手兼任”が勤まるのか――日本では、“成功例”がまだ無いのです。
二つ目に、“正捕手”はどうなるのか――そのポジション争いになろうとは思いますが、誰が谷繁さんの“跡目”を継ぐのか――心底気になります。
ともあれ、“今後”に期待するばかりですね。

長くなりましたが、それでは、またです。

追伸。先日の書き込み、“リーダー”と書くべきところを“ダー”と字が抜け落ちていました。後で気が付きました。
誤字を出して、本当にすみません。
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>Masaya様 (giants-55)
2013-10-10 20:55:35
書き込み有難う御座いました。

Masaya様はドラゴンズ・ファンでしたか。今季は嘸かし悔しい思いをされた事と、御察し申し上げます。

当ブログでは過去に何度か書いているのですが、自分は幼少期を名古屋で過ごしました。ドラゴンズが優勝し、板東英二氏が歌う「燃えよ!ドラゴンズ」が、連日街中で流れる頃で、其れ故にドラゴンズというチームには「故郷」の様な思いも持っています。

選手時代の高木守道氏は、好きな選手の1人でした。寡黙にして、「職人」という雰囲気が好きだったのですが、残念乍ら監督としては不向きでしたね。

ベイスターズが弱くなったのは、谷繁選手が抜けた事が非常に大きかったと思っています。又、逆にドラゴンズが強くなったのは、谷繁選手が移籍した事が大きかったとも。選手としては凄かったし、監督としても才能を感じなくは無いのですが、記事「代打、俺!」(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/57c26826f6ce993f1d4d47347f05e09c)で触れた様な理由から、大きな不安も。選手としてだけでは無く、監督としても超一流の落合博満氏がGMとして支えるという事ですから、不安点は解消されるかもしれませんが。


川上哲治氏の監督時代を語る時、「ONというスーパー・スターが居たのだから、誰が監督を務めてもV9は達成出来た。」といった捉え方をする人も居ますが、Masaya様も書かれています様に、川上氏は監督としても非常に優れた才能を有していたと思っています。

「他チームの主力打者やエース級を掻き集めたけれど、必ずしも優勝出来なかったジャイアンツ。」という過去を顧みると、凄い選手を掻き集めたからといって、チームが強くなる訳では無く、戦力をどう“味付け”するかという監督の采配は非常に大きい。

逸早くドジャース戦法を取り入れた先進性も然る事乍ら、牧野茂氏という優れた参謀を呼び寄せる等、川上氏はリーダーとしても卓越していた。1965年から1973年に掛けて、他の人物がジャイアンツの監督を務めた場合、何度か優勝は出来たとしても、連続9回優勝なんて事は出来なかったと思う。もっと評価されて良い人物でしょうね。

話は谷繁監督に戻りますが、誰を参謀として呼び寄せるかに注目しています。「気心知れいるから。」という理由だけで、年齢の近い“御友達”を起用する愚だけは避けて欲しい。落合GMが居るので大丈夫とは思いますが、出来れば監督乃至はコーチ経験の豊富な年配者を起用して貰いたいです。
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「悔しさ」以上に、「ぶったぎる」殺気が上回っていましたね。 (Masaya)
2013-10-10 23:53:56
有難うございます。
名古屋に在住されたことがあるとは……知りませんでした……。

実を言えば、私が名古屋に住んでいた頃、その高木さんの家の近くだった……と聞かされたことがある上で、落合さんのプロ入り前のお勤め先だった東芝の向上がある府中市にも、住んでいた事が有りまして……。
何とも、「所縁」のある人生か……と、感じる限りです。

それにしても、Bクラスの悔しさよりも、
「これで、ようやくフロント連中をぶった切れるよ!」
……と言う「殺気」の方が、上回りましたね。
前・球団社長ですが、ドラゴンズの社長であるにも関わらず、負けた日にガッツポーズをした――と噂が出回ってて、評判が悪かったのです。

その上で、「落合嫌い」な人も少なからず居たことや、「派閥争い」が有ったこともファンの間で知れ渡りました。
中日新聞は、戦時中、『新愛知』と『名古屋新聞』との二つの新聞が合併して出来た会社で、『新愛知』の大島家とも『名古屋新聞』の小山家とが社主を務める、2オーナー制となっています。

それが、派閥となって残り、中日系の放送局であるCBC・中部日本放送は大島派で、東海テレビは小山派――と言う具合に二分されているそうです。
しかも、経済界までその流れに二分されている――と言う程で、実は、落合さんが「追い出された」のは、その流れがありました。

実は、球団前社長の坂井さんは、その大島派に属する人物で、落合さんを推薦する白井オーナーは小山派――と言う伏線がありました。

それがあった上で、コーチに起用されない選手OBの不満に媚びて“叛旗”を翻した――それが知れ渡り、私もそれを知って以降は、
「こんな腐った球団、応援出来るか!!」
――と、怒りましたね。

事実、観客動員は減るし、更に中日新聞の部数まで減少するに至りました。

そこへ来て、このBクラス転落――と来れば、必然的に球団トップの責任問題となるのは確実であり、事実、今回は人事異動が行われ、球団社長が交代しました。
その上で、落合さんらが戻ってきた事は、“福音”と受け取られるのが必然ですよ。

さて、これからは“課題”が多かろうけど、立ち直ってくれることを、切に願います。

長くなりましたが、それでは、またです。
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>Masaya様 (giants-55)
2013-10-11 00:56:45
書き込み有難う御座いました。

ジャイアンツでも、“派閥抗争”で揺れた時期が在りました。所謂「川上派」と「長嶋派」の抗争で、長嶋氏の第一次政権が崩壊したのも、川上派の意向が大きく影響したという話も在ります。事実の程は当事者のみぞ知るですが、諸々の話を総合すると、全く無かったとは言い難い気がしています。

又、近年で言えば、原監督と清武英利球団元代表との対立も、可成り報道されましたね。タイガースもそうですが、“御家騒動”が起こるのは概してチームが弱い時。実際問題、優勝争いにしばしば絡む様になった時期辺りから、タイガースでは御家騒動というのが報じられなくなりました。

「原監督と清武英利球団元代表との対立」、ジャイアンツは強くは在りましたが、此のケースでは「イニシアチヴの争奪」という色合いが濃かった様に思います。落合元監督が解任されたのも、此のケースに近いかもしれませんね。

ジャイアンツ・ファンとしては、「落合氏が監督として再登板。」というケースが一番怖かった。選手の人心掌握術に長け、尚且つ相手チームへの心理戦も上手い。「落合監督により心理戦に、原監督が何度も歯噛みしている。」のが、手に取る様に判りましたし。

谷繁氏が監督として成功すれば、球界も監督の顔触れが一気に若返る可能性も高そうで、そういう意味でも来季のドラゴンズには注目しています。
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