「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の1次ラウンドA組最終日の昨夜、“侍ジャパン”はキューバ代表チームに「6対3」で敗れた。「2勝1敗」という成績で1次ラウンドを終えた侍ジャパンは同組の2位となり、明日開幕の2次ラウンドでは、B組1位の台湾代表チームと闘う事に。
「強敵」とは判っていたけれど、キューバ代表チームの強さは思っていた以上だった。侍ジャパンに関しては、投手陣の出来が今一つだったし、何よりも開幕から打撃陣の不振は心配だけれど、思い返せば第1回大会も第2回大会も、侍ジャパンは苦しい試合続きだったではないか。
「最後の最後迄、世界一を争う好敵手。」と見做していた韓国代表チームが、まさかの1次ラウンドでの敗退。「何が起こるか判らない、波乱の第3回大会。」になりそうな予感が。
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「『糸井美幸』って、知っとる?」。此の町の何処か、夜毎語られるは、彼女に纏わる黒い噂。
「町で評判の、一寸艶っぽい良い女。」、「雀荘のバイトで親父を転がし、“年の差婚”をしたかと思えば、料理教室で姐御肌。旦那の保険金を手に入れたら、あっと言う間に高級クラブの売れっ子ママに。」等々、きな臭い話は数知れず、泣いた男も星の数。糸井美幸って、一体何者?
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奥田英朗氏の作品「噂の女」は、10の短編小説から構成されている。最初の「中古車販売店の女」を読み終えた時点では“1話完結型”と思っていたので、「何か、良く判らない終わり方だなあ。」というのが感想だった。表現は良くないけれど、「読み捨てるだけの小説」という内容に思えたので。
しかし、次の「麻雀荘の女」で「糸井美幸」なる女性が再び登場する事を知り、「全てが、リンクして行くのか?」と興味をそそられた。
決して美人では無いのだけれど、男好きのする雰囲気の糸井美幸。ネタバレになってしまうのだが、ストーリーが進んで行く過程で、彼女の周りに不審な死が続出していて、其れ等の死を切っ掛けに、彼女はどんどん金持ちになって行く。4年前に発覚した「結婚詐欺・連続不審死事件」を思わせる話だ。
「糸井美幸という女性をどう思うか?」に付いて、多くは「とんでもない奴だ!」という思いを持つだろう。でも「結婚詐欺・連続不審死事件」で逮捕された女性に対し、「凄い生き方だ。」等と“憧憬の念”を持ち、“追っ掛け”の様な事をしている同性も結構居たという事なので、中には糸井美幸の生き方にカタルシスを感じる人が、少なからず居るやもしれない。実際問題、此の小説に登場する女性の中にも、そんな人が居るし。
“噂の女”こと糸井美幸は、とんでもない人物だ。しかし、彼女の周りに居る人間、此れは男女を問わずだが、程度の差は在れ、碌でも無かったりする。其の辺が面白くも在り、不快に感じたりもするのだけれど。
数年後に思い出す作品では無い。でも、次の展開が気になる作品では在った。
総合評価は、星2つ。
北京オリンピックの惨敗の後、敗因を分析する論評の一つに、「全体的なレベルとしては韓国よりも日本の方が上だが、韓国にも各チームに何人かは日本の選手と遜色ない選手がいる。韓国と日本の成績の落差は、そういう選手を招集して計画的に鍛えたチームと、レベルが上であることに胡坐をかいて準備不足だったチームの違い」という論評がありましたが、今回の一次敗退について、韓国国内でも「レベルが上であることに胡坐をかいて準備不足だった」とする論評があるようです。
彼らがいないのは拍子抜けするなあと思いつつも、正直ほっとしていたりします。日韓両国が勝ち上がり対戦するたびに、両国の自称・愛国者が口汚いやりとりをするのはうんざりなので。
「結婚詐欺・連続不審死事件」で逮捕された女性というのは、“デブス”というのが第一印象でした。容姿も学歴も気立ても家柄も財力もあまり良くはない部類に属するにもかかわらず、ハイスペックな男性を絡め取る“魔性の女”というのはいるのでしょうね。そういう女性にカタルシスを覚える女性もいるかもしれません。しかしながら、天性の「魔性」に加えて、ターゲットや社会保障制度等に対するリサーチ、魔性の滲ませ方のさじ加減なども必要でしょう。「悪女は一日にしてならず」だと思います。
アンフェアなプレーが在った場合には、其の点を批判するというのなら判るのですが、相手が「日本」だからとか「韓国」だからという事“だけ”で、異常な迄の批判をする連中というのは、本当にウンザリしますよね。結局は双方共「批判の為の批判」で在り、其れこそ「四六時中、罵る材料を捜し捲っている。」という感じがして、「不毛だなあ。」と感じてしまう。
「結婚詐欺・連続不審死事件」の場合、「逮捕された女性の『実像』と『虚像』のギャップの大きさ。」というのが、世間の注目を必要以上に集めさせた要因でしょうね。
「あの女、絶対やっとるぞ。」、「うんうん、絶対やっとる。」等々、男ってこういう話題が大好きな生き物ですよね。「下品で、全く仕方無いなあ。」と思うものの、気付けば自分自身も飲み会の席等で、そんな話を結構したりしているし。
「実在の事件」を題材にして、「フィクションのストーリー」を紡ぎ上げるというのは、小説の世界では良く見られる事。横溝正史氏の作品の中で一番好きな「八つ墓村」も、其の類いですし。
母親と娘2人が行方不明となり、其の後にしたいとなって見付かった事件が何年か前に在りましたが、当時は身内の“或る人物”に疑惑の目が向けられていました。自分自身も「彼が犯人なんじゃないのかなあ?」と雰囲気だけ&無根拠に思ったりしていたのですが、結局犯人は別の身内だった。此の事件を題材にしたと思われる、「思い込みの恐ろしさ」をテーマにした小説が在りましたけれど、自戒の念を持ちつつ読んだものです。