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「首相が鞭を入れるインド12億人『トイレ革命』」(週刊新潮[1月29日号])
モディ首相の号令の下、近代化への道を直走る、大国インド。しかし、或る分野では、未だ後進国からの脱却を果たせていない。
インドの最大の弱点、其れがトイレで在る。人口12億人の内約6億人が外で用を足しているとされ、特に地方では其の傾向が顕著。
「ヒンドゥー教には『家の近くで排便するのは不潔で在る。』との教えが在り、野原や山でする人が跡を絶たないのです。」。(現地記者)
「高が“野糞”位、良いじゃないの。」と笑って流す事勿れ。“流れない”からこそ、問題なのだ。事実、不衛生な環境による病気や生産性の低下に悩まされるインドでは、其の対策費に年間540億ドル(約6.3兆円)が掛けられている。
「更に近年、女性のレイプ被害が多発していますが、此れも外での用足しと無関係では無い。業を煮やした政府は、遂に本格的なトイレ整備に乗り出しました。」。
目標は“国家の父”マハトマ・ガンディーの生誕150周年に当たる2019年迄に、国中全ての家庭にトイレを設置する事。総額217億ドル(約2.5兆円)もの予算を投じた、一大プロジェクトで在る。
「又、公衆衛生局は新設のトイレがきちんと使用されているかどうかを確かめる為、携帯端末を使ったリアル・タイムのモニタリング調査を行う様です。2011年のユニセフ統計では、『インドのトイレ普及率は、携帯電話の普及率より低かった。」ものですが、其れを逆手に取った格好ですね。」。
風“ウン”急を告げる、下水道界再編の動き。
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10数年前迄、仕事でタイに長期滞在する事が結構在った。タイは好きな国の1つで在るが、「交通渋滞による大気汚染の酷さ」に加え、「野外のトイレの汚さ」には辟易とさせられた。都市中心部に在る綺麗な公園でも、其のトイレは異常に汚く、中には排泄物で溢れ返っている様なトイレも在ったから。
インドを訪れた事は1度在るが、トランジットの為に数時間程外出出来ただけなので、トイレを使う機会は無かった。彼の地ではトイレが普及していないというのを知ってはいたが、約6億人もが外で用を足しているというのは驚きだ。
国別の人口ランキングでは、世界第2位のインド。1人の人間が1日にする大便の量は150~200gという事だが、仮に150gとしても、約6億人が外で排泄する大便の量は、1日で90,000トンにもなる。此れに小便も加わるのだから、想像を絶する量の排泄物が野外に放出されている訳で、塵も積もれば山となるという事か。
国家プロジェクトとして「2019年迄に、国中全ての家庭にトイレを設置する。」と決めたのも凄いが、新設のトイレがきちんと使用されているかどうかを確かめる為、携帯端末を使ったリアル・タイムのモニタリング調査を公衆衛生局が行う予定。」というのも凄い。日本人の感覚で言えば、「自宅にトイレが設置された。→嬉しくて、自宅のトイレで用を足す。」という流れになると思うのだけれど、インドの場合、そうはならない可能性が在るという事なのか。