ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「オネスティ」

2015年02月09日 | 書籍関連

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丘の上に建つ2軒の家。其れ其れに住む同い年のカイとミノリは、幼馴染みとして育つ。家の聳えるの木の下が、2人にとって大切な場所だった。

 

「御互いに大好きだけど、恋愛も結婚もしない。どんな秘密も作らない。」。幼馴染2人が交わした約束。純粋過ぎる愛の行方は。

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石田衣良氏の小説オネスティ」は、佐久真開(さくま かい)と中塚美野里(なかつか みのり)という2人の半生を描いている。幼稚園の年長組の時に出遭った彼等には、「両親が不仲。」という共通点が在った。其の事から、「どんなに相手が大好きで在っても、恋愛対象になったり結婚したら、良好な関係は崩れてしまう。」という思いを持った2人は、「御互いに大好きだけど、恋愛も結婚もしない。どんな秘密も作らない。」という約束を交わす

 

幼少期、互いに関しては“オネスティ”、即ち誠実さ”を誓い合った2人だったが、其の生き方は大きく変わって行く。“”に付いて一歩も二歩も身を引くカイに対し、様々な男と奔放セックスを繰り広げて行くミノリ。関係を持つ、相手の肉体や性癖事細かくカイに“報告”するミノリだが、其れは「どんな秘密も作らない。」という約束によるもので、互いに大好きだからこそ、2人は肉体関係を持たない、30代の後半を迎える。

 

男女間で在っても、友情関係は存在する。其れは事実として在るのだが、カイとミノリの場合は、非常に珍しいケースの様にも思う。肉体関係こそ持っていないが、其の“前段階”は在るのだから。

 

石田作品で言えば、「池袋ウエストゲートパーク・シリーズ」等は大好きだが、「セックスを軸にして、人の半生を描く。」みたいな、露骨にセックスを強調する作品は好きじゃない。そういう傾向の作品は昔から在ったけれど、近年、石田氏は好んで著す様になった気がする。

 

石田氏は「恋愛に臆病になった若者が増えている。」事に懸念覚え、「2人で愛を育むって、こんなに楽しい事なんだよ。其の“潤滑剤”としてのセックスって、こんなに良い物なんだよ。」という思いから、セックスの描写拘っている様だが、其れも程度加減だと思う。個人的には、引いてしまうし。

 

ミノリみたいな女性、現実社会でも確かに存在する。でも、カイとの関係性や、“結末”に到る過程等は“物語”という感じで、“現実味”を感じられなかった。

 

総合評価は、星2つ


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