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国分寺の西に在る「鯉ヶ窪学園高等部」は、ユニークな教師とユーモア溢れる生徒、そして憂鬱な犯罪(と言っても、「人が死なない程度の犯罪」だが。)が頻発する事で、ぐっと知名度を上げた私立高校。同校には「探偵部」という素人探偵達の集団が在り、「エアコンの様な苗字と、男性の様な名前を持つ女性。」の霧ヶ峰涼(きりがみね りょう)が、其処の副部長を務めている。
同校の秋から冬、其の周辺に起きた7つの謎を、涼達は解き明かせるのか!?
「霧ヶ峰涼と渡り廊下の怪人」
体育祭を2日後に控えた学園。陸上部の練習終了後、主将の足立駿介(あだち しゅんすけ)が倒れていた場所は、渡り廊下の中央という奇妙な場所だった。
「霧ヶ峰涼と瓢箪池の怪事件」
秋の学園祭。探偵部一同は御好み焼き屋を出店。其の夕刻、モテ男の生徒が謎の女性に襲われ、瓢箪池に転落してしまった。
「霧ヶ峰涼への挑戦」
ミス鯉高祭を見に行こうとする涼の前に、大金うるる(おおがね うるる)が現れる。エアコンを思わせる名前からして霧ヶ峰涼のライヴァルの美少女は、「架空密室事件」の挑戦状を探偵部に叩き付けた。
「霧ヶ峰涼と十二月のUFO」
冬期補習の帰り、クール・ビューティーの池上冬子(いけがみ ふゆこ)先生と会った涼は、2人で恋ヶ窪教会の前を通ったが、其の庭で川田(かわだ)神父が・・・。
「霧ヶ峰涼と映画部の密室」
ひょんな事から、映画部の映画に出演する事になってしまった涼。だが、其の部室から、40インチのテレヴィが消失した。
「霧ヶ峰涼への二度目の挑戦」
又も現れた大金うるる。今度仕掛けた架空事件は「空き家の刺殺死体」。雪の中、第三者の出入りは不可能で、涼に“犯人”の疑いが?
「霧ヶ峰涼とお礼参りの謎」
霧ヶ峰涼、2年最後の3月。学園には、3年生による先生への「御礼参り」という習慣(?)が在ると言う。池の畔に立つ体育教師に早速・・・。
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「『謎解きはディナーのあとで』シリーズ」で有名になった作家・東川篤哉氏。記事「謎解きはディナーのあとで」で記した様に、昔読み漁っていた赤川次郎氏の作品を思わせるユーモラスな作風が特徴。
今回読了した「探偵部への挑戦状 ~放課後はミステリーとともに2~」は、同氏の別シリーズで在る「鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ」の第4弾。同シリーズでは第3弾の「放課後はミステリーとともに」に続く、2冊目の作品だ。
広島県出身の東川氏は大のカープ・ファンの様で、「カープ・ネタ」が時折挟み込まれている。ジャイアンツの次にカープが好きな自分なので、「マニアックなネタだなあ。」と、其の都度ニヤッとしてしまった。
「『謎解きはディナーのあとで』シリーズ」と同様、ユーモラスな作風なのだが、其れだけという感じがしなくも無い。面白い事は面白いのだけれど、ずっと心に残るという作品では無いからだ。トリックに、斬新さを感じなかったし。
気分転換に読むには悪く無い作品だが、総合評価としては星2.5個という感じか。