ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「野村ノート」

2006年04月24日 | スポーツ関連
3月6日の記事「ば○こう○ち」で、ブログ運営して行く上での差し当たっての目標を、「ノムさんの通算本塁打数657本を超える、通算記事数658件達成。」とした。そして、今回の記事がその658件目となる。次なる目標を、「敬愛する王さんの868本超え。」と改めて宣言したい。

そんな訳で今日の記事は、名選手にして名監督のノムさんに敬意を表し、彼が著した本「野村ノート」を取り上げる事とした。

この本は、ノムさんがタイガースの監督時代に著した「ノムラの考へ」をベースに、50年以上の野球人生で経験&体得して来た、監督としての在り方や原則を纏め直したものとなっている。

前半は主に、技術論に頁が割かれている。テスト生という形でホークス入りするも2年目迄は全く活躍出来ず、一旦は戦力外通告を受ける。しかし、データ分析&観察眼に磨きをかけた事により、超一流打者に変貌した男。そんなノムさんが、打撃や配球に関して具体的に記しているのだから、これはかなり読み応えが在った。

そして後半は、指導者としての人材育成に付いて触れられている。「指導者に求められるのは実践力。」とか「3年で獲れなければ、幸運がない限りタイトルは獲れない。」、「組織はリーダーの力量以上には伸びない。」等の参考になる言葉が多く見られる。

しかし、「先入観は罪。固定観念は悪。(「茶髪や髭を伸ばすのは、人生に於いて自信の無い人間が、世間に自分の存在感や価値観を認識して貰おうとして行う”現実逃避的”な自己顕示欲。だから、プロ野球選手の茶髪&髭は禁止。」というのは先入観や固定観念ではないのだろうか?)」や「好き嫌いで選手起用をしてはいけない。(じゃあ今岡誠選手は何故干され続けていたのか?又、現在のチーム状況では一番勝ち星を拾える一場投手の”専属”捕手に、息子のカツノリ選手を「一場が望んでいるから。」(一場投手本人はそれを否定。)として据え続けているのは何故か?戦力的見地からすると、申し訳無いがカツノリ選手は一軍に置く存在では無いと思う。)」、「自己中心的な選手が監督になった場合、選手に自分がして来なかった事を押し付けられなくなるし、たとえ押し付けても選手は言う事を聞かない。(一流選手は多かれ少なかれ、自己中心的な人物が多いのでは?)」等、「御説はごもっとも、でも御自身はどうだったのか?」という思いが湧いてしまい、今一つ説得力が無かった。まあ、自戒を込めての話なら判るが。

組織改革を企図し、上手く行かなかったタイガース監督時代。ノムさん曰く、「星野仙一氏と同様の改革プランを久万オーナーに訴えていたものの、フロントが自分の時は動いてくれなかった。」と不満を感じていた。しかし、星野監督の下でタイガースが優勝を果たした際に、別件で久万オーナーと面会して野村君と星野君には決定的な違いが在る。野村君は詰めが甘いよ。と指摘され、なるほどと思ったという。

「4番を獲ってくれ。」、「エースを獲ってくれ。」と言うだけで、実際に誰を獲って欲しいのかも言わなければ、FA交渉に積極的に乗り出して選手を口説いたり出来なかったし、「今の制度下でチームを強化するには御金が要る。」と言いながら、具体的に「幾ら出して欲しい。」、「その為には何億円要る。」等言った事が無かったが、星野氏はそれが出来たと言うのだ。これは確かに頷ける話だった。

それと、社会人野球とプロ野球の在るべき姿をノムさんは提言しているのだが、これは一考の価値が在る様に思った。

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社会人の監督になって感じるのは、高校生を獲得してプロの二軍で育てるより、社会人の方が遥かに育つという事で在る。*1プロは二軍のシステムも一軍と同じ長い公式戦で、勝率で争っている。一方、社会人はトーナメントで在る。だから負けられない。1試合1試合の真剣味がまるで違う。

(社会人は)負けたら御終いのプレッシャーの中で闘っている。殆ど仕事らしい仕事をする事無く、野球に専念させてくれる企業では、都市対抗や日本選手権に出られない事程惨めで悔しい事は無い。(中略)負けられないプレッシャー、当然其処でエースやクリーン・アップとしての自覚も生まれる。

社会人野球では、給料は一般サラリーマンと比べても低く、決して充分とは言えない。(中略)それに対してプロの二軍選手は、一軍に全く貢献していなくても1,000万円とかの給料を貰い、ジャイアンツやタイガースの人気チームともなれば、ファームの選手にも谷町が居て幾らでも遊びに連れて行ってくれる。18歳や20歳という人間的にも未だ未だ未熟で充分な教育が必要な時期に、次々と誘惑が在れば、貪欲に技術を磨くという気持ちが疎かになってしまうのも無理は無い。結局、技術的にも伸びずに消えて行ってしまう。

プロが大量に高校生を囲う位なら、社会人に供給し育成を任せる。そして社会人が数年掛けてプロで即戦力として通用する様に育て上げ、プロ球団に手渡す。勿論その代償として、プロは社会人に育成費を出すべきで在る。*2
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*1 別項では、「嘗てのカープや(昨年の)マリーンズの様に育成方針がしっかりしており、二軍にも優秀なスタッフが居るチームも在る(在った)。」とも指摘している。

*2 ノムさんが社会人野球の監督を務めていたシダックス。其処の会長で在る志太勤氏は、株主総会の席で「この不景気に利益を生まない社会人野球をどうして続けるんですか?」、「オーナーの趣味ですか?」と毎回突っ突かれるという。その事に対して彼はノムさんに、「例え100万円でも良い。それだけでも利益が在るのなら、胸を張って株主に『いや、ゼロじゃ在りません。ちゃんと収入は在ります。』と言い切れるのだが・・・。」と語ったのだとか。

だからこそ、社会人選手がプロ入りを希望したからといって、プロ側もポンと持って行くだけでは無く、何等かの”対価”を社会人野球チーム(乃至は企業)に支払うべきではないかというのがノムさんの見解。

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2 コメント

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通算658本、おめでとうございます。 (おまさぼう)
2006-04-24 15:41:42
giants-55さま、すばらしいです。私など、今チェックしてみたら、やっと103件。

今後は、「先達」と呼ばせていただきます。^^



スレの内容からは離れますが、今朝の朝日新聞の「TVこのセリフ」というコラムで、ドラマ「弁護士のくず」のトヨエツの言葉として下記のセリフが取り上げられていました。



「見えているところだけが、そいつのすべてじゃないんだよ」



なんか、先日の私たちの会話に通じますよね。このドラマは見てないんですけど、ちょっと今、そそられています。
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Unknown (toshi16)
2006-04-25 20:19:35
「4番を獲ってくれ。」、「エースを獲ってくれ。」と言うだけで、実際に誰を獲って欲しいのかも言わなければ、FA交渉に積極的に乗り出して選手を口説いたり出来なかったし、「今の制度下でチームを強化するには御金が要る。」と言いながら、具体的に「幾ら出して欲しい。」、「その為には何億円要る。」等言った事が無かったが、星野氏はそれが出来たと言うのだ。



野球人は、野球だけやってればいいという時代は今は昔ということでしょうか。

なんだか寂しい気もしますが。言われてみればそうですね。

長嶋も積極的に選手獲得に動いたし、落合監督も、一年目選手獲得に動こうとする球団を制止し、現有戦力で戦うことにしたり、現場とフロントを完全分離するメジャースタイルは、日本では無理なのでしょうかね。
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