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閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。残された人々は真相を知る為、「検証会」に集う。其処に現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎(かが きょういちろう)。私達を待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。
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1985年、ミステリー「放課後」で文壇デビューを果たした東野圭吾氏。此の作品を読んで其の作風にすっかり魅了されてしまい、東野作品のファン歴は39年になる。上梓された作品は全て購入し、“宝物”として保管している。
文壇デビューし、2作目の東野作品として上梓されたのは「卒業-雪月花殺人ゲーム」で、此の作品で加賀恭一郎は初登場。彼が刑事になる前、未だ 大学の学生だった頃の話で、以降、「加賀恭一郎シリーズ」は冒頭に梗概を記した「あなたが誰かを殺した」で12作品目となる。
“無差別連続殺人事件”と思われた物が、“捜査”が進むに連れて、“別の様相”を見せる事になる。“捜査”と書いたが、「警察による捜査」というのでは無く、「事件の遺族(一部は関係者)によって作られた『検証会』に“同行者”として参加し、会の“司会”を務める事になった加賀が、参加者から話を聞き、推理を進めて行った結果。」というのが正確だ。
「冷静且つ論理的に“矛盾”を炙り出し、真相を究明して行く。」という加賀のスタイルは相変わらずで、又、非常に見事。彼ならば、どんな人間に関する事で在っても忖度する事無く、真相を明らかにするだろう。
“或る人物”の正体に関しては、「唐突に、そして然りげ無く表された記述により、『ん?此れは恐らく、深い意味合いが隠されているな。』と思い、推理して何となく予想が付いた。」が、犯人に付いては完全に外してしまった。
そして、犯人が明らかになった事で、「此れで終わり。」と思いきや、どんでん返しが仕掛けられている。其れは、犯人に付いて。ネタバレになってしまうので書かないけれど、此れ又意外な人物。
東野氏の力量を高く買っているからこそ、“前の作品”よりは高いレヴェルの物を求めてしまう。後味が良く無い点は別にして、「彼ならば、もっともっと驚かせてくれる作品を生み出せるだろう。」という思いが在り、総合評価は星3つとする。