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貧乏大学生・鳳水月(おおとり すいげつ)の前に現れた、顔も骨格も分身かの様に瓜二つな男・古城深夜(こじょう しんや)。鳳の同級生で在る彼は、OOPARTS(オーパーツ)-当時の技術や知識では制作不可能な筈の古代の工芸品-の、世界を股に掛ける鑑定士だと高らかに自称した。
水晶の髑髏に囲まれた考古学者の遺体、夫婦の死体と密室から消えた黄金のシャトル・・・謎だらけの遺産に引き寄せられる様に起こる、数多の不可解な殺人事件。難攻不落のトリックに、変人鑑定士・古城と巻き込まれた鳳の“分身コンビ"の運命は?
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第16回(2017年)「『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞を受賞した小説「オーパーツ 死を招く至宝」(著者:蒼井碧氏)。25歳の彼は、同大賞では最年少の受賞者とか。又、此の手の文学賞は「1つの長編小説」で応募して来るのが一般的の様に思うが、此の作品は「連載した4つの短編小説を纏めた。」という感じ。詰まり、キャラクター設定やストーリーの展開がプロっぽいのだ。
とは言え、「大賞に相応しい出来か?」と問われると、「うーん・・・。」という感じがする。第1章の「十三髑髏の謎」こそトリック的に「面白いな。」とは思ったけれど、残りの3作に関しては凡庸で、どういうトリックなのかが凡想像が付いたから。最終章の「ストーンヘンジの双子」なんぞは、「壮大なトリックを思い付いたものの、壮大過ぎて収拾が付かなくなった。」という感すら在る。
「25歳が書いたにしてはレヴェルが高いけれど、“このミス”の大賞を受賞する程のレヴェルでは無い。」というのが、正直な感想。総合評価は、星3つとさせて貰う。