子供の頃、「スチュワーデス」、「保母」、「看護婦」と呼ばれていた職業が、今は其れ其れ「フライト・アテンダント」、「保育士」、「看護師」と呼ばれている。「女性だけの職業では無いのに、女性だけを意味する様な呼称は、差別的で問題だ。」という事で、性別に捉われない呼称となったのだ。時代によって呼称が変わって行くのは決して悪い事では無いけれど、「身体の作りに厳然たる違いが在るのだから、『何でも彼んでも、ジェンダーレスにすべきだ!』というのも違う気がする。」のだけれど・・・。
昨夜放送された「池上彰のニュースそうだったのか!!」で、興味深い事実が紹介されていた。「国語辞書での説明が、従来と変わった言葉。」を取り上げており、例として挙がっていたのが「デート」と「ぽっちゃり」。ジェンダーレス等の観点から、「新明解国語辞典」の第7版と第8版とで、説明が変わったそうだ。
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・デート:「(愛し合う男女が)日時を決めて、各自の家以外の場所で会う事。」(第7版)→「交際している相手と日時を決めて、(各自の家以外の場所で)会う事。」(第8版)
・ぽっちゃり:「若い女性が小太りで、体全体に丸みが在り、可愛らしく見える様子。」(第7版)→「小太りで、体全体に丸みが在り、可愛らしく見える様子。」(第8版)
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「デート」に関しては「愛し合う(交際している)相手というのは、異性同士だけでは無い。」、又、「ぽっちゃり」に関しては「ぽっちゃりなのは、女性だけに言える事では無い。」という理由から、説明が変わった。
色々調べてみると、此方に“説明が変わった他の言葉”が紹介されていた。幾つかピックアップしてみる。
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・おしっこ:「『しっこ』の『しっ』は、母親が子供に小便を促す時の擬音語、『こ』は名詞を形作る接辞。『しいしい』とも言う。『小便』の稍俗語的表現。」(第7版)→「『しっこ』の『しっ』は、子供に小便を促す時の擬音語、『こ』は名詞を形作る接辞。『しいしい』とも言う。『小便』の稍俗語的表現。」第8版)
*子供に小便を促すのは、母親に限った事では無い。」という理由からの変更。
・愛する:「(異性に対して)愛情を抱く。」(第7版)→「(特定の相手に対して)愛情を抱く。」(第8版)
*「愛情を抱く相手は、異性同士とは限らない。」という理由からの変更。
・秋の空:「秋の頃の、変わり易い天気。異性、特に女性の変わり易い心の意にも用いられる。」(第7版)→「秋の頃の、変わり易い天気。変わり易い心の意にも用いられる。」(第8版)
*「変わり易い心は、異性や女性に限った事では無い。」という理由からの変更。
・アイライン:「(女性が)目を大きく見せる為に、目の周りを縁取った線。」(第7版)→「(化粧で)目を大きく見せる為に、目の周りを縁取った線。」(第8版)
*「アイラインをするのは、女性に限らない。」という理由からの変更。
・石部金吉:「『融通が利かず、女性等に迷ったりしない男。』の擬人名的表現。」(第7版)→「『酷く生真面目で、融通が利かない堅物。』の擬人名的表現。」(第8版)
*「『酷く生真面目で、融通が利かない堅物。』は、男性に限った事では無い。」という理由からの変更。
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自分も、全く同じ違和感が在りました。「石部金吉」というのはどう考えても男性名で在り、「『酷く生真面目で、融通が利かない堅物。』は、男性に限った事では無い。」というので在れば、例えば“女性用に”「石部金子」という言葉を“併用”すれば良いだけの話。「酷く生真面目で、融通が利かない堅物。」という考え自体が差別と言うのでしたら、話は別ですが。
ジェンダーレスの概念が行き過ぎてしまうと、自分が嫌いな“言葉狩り”と同じになってしまう。其の事を憂います。
最後の例には思わず苦笑い。
だって、いくらジェンダーレスとはいえ、女性に「金吉」とは付けないだろうに。
ちょっと無理筋な気がするのですが。
しかし、花街では芸者の源氏名に「〇吉」と付ける風習があるので、あの業界は江戸の昔からジェンダーレスの先駆けだったのか???