“勝った側”よりも“負けた側”に、強く感情移入してしまう。新選組の様な例外も在るが、歴史上の人物や組織に対しても同様。「敬天愛人」という言葉を座右の銘とした西郷隆盛も、好きな人物の1人。私心を捨て、民の為に生きる。そういう生き方を愚直な迄に貫き、城山に散った彼を思うと、ぐっと胸に来る物が在る。
NHKの大河ドラマ第57作「西郷どん」が、昨夜から放送開始となった。「大河ドラマで女性が主人公の場合、“歴史”を描くというよりも“一家庭”を描く事に重点が置かれ勝ちで、何方かと言えば“内向き”な感じとなってしまって、面白く無い。」という思いが自分の中には在る。実際、昨年の「女城主 直虎」は、そういう意味でも非常に不満足な内容だったし、今年は男性、其れも好きな“西郷どん”が主人公という事で大きな期待はしていたが、同時に「彼は時代劇で良く取り上げられる人物故、新鮮味には欠ける。」という不安も。大河ドラマ第28作(1990年)「翔ぶが如く」【動画】の主人公として取り上げられているし、主人公では無いが、他の作品で何度か登場しているし。
「西郷どん」の配役を見て感じたのは、「大河ドラマとは余り縁が無かった人達が多いなあ。」という事。主役の西郷隆盛(青年期以降)を演じる鈴木亮平氏は、大河ドラマ初出演。西郷どんと言えば、「翔ぶが如く」で彼を演じた西田敏行氏がイメージ的に余りにもピッタリだったので、鈴木氏が主役に抜擢された際には「何か違うよなあ・・・。」と思ったけれど、どうなる事か。
隆盛の祖母・西郷きみを演じる水野久美さんは、第8作(1970年)「樅ノ木は残った」【動画】以来48年振り、お由良の方を演じる小柳ルミ子さんは、第31作(1993年)「琉球の風」【動画】以来25年振りの大河出演。そして、隆盛の祖父・西郷龍右衛門を演じる大村崑氏に到っては、彼だけの大ヴェテランで在り乍ら、“大河初出演”というのは驚きだ。ドラマ「どてらい男」【歌】で、人情味溢れる岡田支配人役を演じていた“崑ちゃん”。彼の演技が大河で見られるのは、とても嬉しい。そんな感じで、全体的な配役としては新鮮味が在り、悪く無いと思う。
今後どうなって行くかは判らないけれど、1話を見る限りでは、ストーリー展開的にオーソドックスな作り。「主人公の幼少期から描き始め、登場人物達の紹介に時間を割く。」というのは、昔乍らの“大河手法”と言って良いからだ。安定感は在るけれど、別の見方をすれば「可も無く不可も無し。」とも言える。
最終回を見終えて、「昨年の『女城主 直虎』よりは面白かったな。」と思えるかどうか。今後を期待している。