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エース:秘密組織「ゼロ」の研修を受けた後に、「作業班」に所属し、独自の作業を遂行出来る一握りの公安マンに与えられる呼称。
遂に、作業班への配属を任命された倉島達夫(くらしま たつお)。そんな折、ロシアの美人ホステス轢死事件が発生。警察は事故と自殺の両面で捜査を開始するが、事件はロシア人の殺し屋・オレグによる暗殺だという証言者が現れた。国益とプライドを賭けた防諜戦争の行方は・・・。そして倉島は、真のエースになれるのか!?
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今野敏氏の小説「防諜捜査」は、「倉島警部補シリーズ」の第5弾に当たる。場数を踏み、遂に「作業班」への配属というステップ・アップを果たした倉島。「エリート・コースを歩んでいるのに、自分の能力に不安を感じている主人公。」というのは今野作品の特徴だが、倉島もそんな1人だ。上司や同僚、部下のみならず、情報提供者等、他人が自分をどう見ているかを気にしている所なんぞは、人間臭さを感じてしまう。
ロシアの美人ホステスの轢死事件が発生し、警察は「事件性無し。」という方向で捜査を行うが、倉島は「彼女は暗殺された。」という証言を得、独自捜査を遂行。生きて行く上で「言葉の裏の意味を読む。」というのは大事な事だけれど、情報提供者が発した言葉に隠された意味が、後になって「そういう意味だったのか。」と頷かされる。
暗殺者が最後に狙うターゲットが意外では在ったけれど、競技者が常に高みを目指す気持ちを考えれば、「成る程。」と腑に落ちなくは無い。
面白い作品では在るが、「何年か経って、内容を思い出すか?」と言われると、「うーん・・・。」という感じ。総合評価は星3つ。