テニスの4大大会の1つ「全米オープン」。同大会に於て、日本人選手としては96年振りに準決勝に進出した錦織圭選手が、日本時間の今日未明に行われた準決勝で、相手のノヴァク・ジョコヴィッチ選手を下し、男女通じて日本テニス史上初の4大大会シングルス決勝進出を果たした。
テニスに関してはそう詳しく無い自分だが、「世界ランキングで11位の錦織選手と同1位のジョコヴィッチ選手の対戦」という事で、「錦織選手に勝って貰いたいけれど、九分九厘難しいだろうなあ。せめて、相手を充分苦しめる試合をしてくれれば。」と思っていた。其れが決勝進出というのだから、本当に凄い。こうなったら、何としてでも錦織選手には優勝して貰いたい。(彼が政治利用されそうなのは心配だが。)頑張れ、錦織選手!!!
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脱法ドラッグ、仮想通貨、ヘイト・スピーチ。起こるトラブルは変わっても、マコト達は変わらない。
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石田衣良氏の人気作品「池袋ウエストゲートパーク・シリーズ」。第1弾が刊行されたのは1998年だから、もう16年前の事になる。記事「4TEEN」で記した様に、自分の場合は小説よりも先にドラマで同シリーズに触れた口。其れも、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」【動画】が最初に放送されてから5年後の2005年に見たのがファースト・アクセスというのだから、可成り遅い。
ドラマが非常に面白かったので、「原作を読んでみよう。」と思い、手に取ったのが「反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークⅤ」。グロい描写が目立つものの、機関銃の如く多用される比喩表現が実に瑞々しく、又、登場人物達が魅力的だった事も在り、すっかり同シリーズに嵌まってしまった。
3年前に「PRIDE-プライド 池袋ウエストゲートパークX」が刊行された際、石田氏は「此の作品を以て、『池袋ウエストゲートパーク・シリーズ』の執筆は暫く休む。」と宣言。ファンとしては寂しい限りだったのだが、3年半の時を経て復活したのが、今回読了した「憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークⅩI」。
4つの短編小説で構成されており、扱われているテーマは「脱法ドラッグ」、「ギャンブル依存症」、「仮想通貨」、「ヘイト・スピーチ」。「ノマド・ワーカー」に触れる等、今の世相を上手く拾っていると思う。
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・おれたちは経済成長の先輩として、もうすこし余裕をもったほうがいい。共産党政府につながるひとにぎりの大金もち以外、中国人のひとりあたりの収入はまだジャマイカより少ない。岩だらけの小島でもめようが、GDPで抜かれようが、そこまでナイーブに傷つくことはないはずだ。二十一世紀はアジアの世紀だよな。世界経済の中心が数百年ぶりに東アジアに回帰するのは、まず間違いない。その果実をいらいらせずに、ゆっくり待つといい。近隣関係で耐えがたきを耐えるとしても、先進ニッポンで心たのしく暮らしたほうが、死ね!死ね!と叫んでデモするより、ずっとまし。なにせ、こちらは政治家の悪口だって言いたい放題の自由と民主の国なんだからな。
・人を憎む。出身国や民族といった、その人間の個性ではなく、属性だけで無条件に憎む。失われた二十年で、おれたちはそこまで追いつめられていたのだ。こいつらが不景気の日本でも、ごく少数派でよかったと、おれは思った。日本のすべての街で、こんなことが起こるようなら、おれたちに「アジアの世紀」はこない。憎しみと敵意の先になにが待つか、七十年ばかりまえには誰もがわかっていた。だが、七十年は全ての傷や悲惨を甘い砂糖でくるむには十分な時間だ。砂糖菓子の名は愛国心。
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長期に亘る人気シリーズの場合、登場人物、特に「主人公の年齢設定をどうするか?」が大事になって来る。記事「遺譜 浅見光彦最後の事件」でも触れた様に、「主人公の年齢をずっと変えない。」というケースが在る一方で、赤川次郎氏の「三姉妹探偵団シリーズ」の様に「主人公達が、着実に年を重ねて行く。」というケースも在る。「池袋ウエストゲートパーク・シリーズ」の場合は後者で、“デビュー”時には20歳前後と思われるマコト(真島 誠)も、今回の作品では「20代後半」と記されている。詰まり、破天荒な活躍を見せていたマコトも、もうアラサーなのだ。
「憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークⅩI」に関するネット上のレヴューを見ていると、「作者の年齢を感じるというか、“若者文化に無理矢理合わせている小父さん”的な痛々しさが文章から滲み出ていて、一寸読んでいて哀しくなりました。」、「昔と比べると、マコトも随分丸くなったなあと感じました。」、「(第1弾の)『池袋ウエストゲートパーク』を初めて読んだ時の衝撃を思うと、最近の作品は面白く無い。」といった、同シリーズの“賞味期限切れ”を指摘する声が結構在る。
シリーズが長期化する事で「書き手の感性の老化」、「読み手の感性の老化」、そして「主役の年齢設定を変えて行く事での、『昔』と『今』とのギャップの広がり。」というのは、どうしても在ると思う。最初の作品が衝撃的で在れば在る程、そういったギャップは読み手にとって耐え難い物となるのは、自分も理解出来る。
嘗てのマコトは、もっと自分自身で行動していた様に感じる。最近の作品でのマコトは、他者の協力に重点を置いている様な所が在り、言葉は悪いが“楽隠居”的なイメージも在る。アラサーという年齢を考えれば、自分がちょこまか動くよりも、“部下”を使い熟す方に重点が移るのは仕方無いのかもしれないが・・・。
ストーリー的にも、良くも悪くもドキドキ感が在った昔に対し、最近の作品は予定調和的な感じが否めない。先達て「キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇」というのが刊行され(自分は未読。)、内容的には過去に遡っての話の様だが、今後はこういう形で、若かりし頃のマコト達を描いて行くという方が、ファンとしては楽しめるのかもしれない。
ファンとしては、新作が刊行されたのは非常に嬉しいのだが、期待度が高かった分、内容面ではがっかりな面が目立った。総合評価は、星3.5個とする。