現在開催中の「第91回選抜高等学校野球大会」で、サイン盗み疑惑が相次いでいる。“サイン盗み”といっても、「色紙に書かれた選手等のサインが盗まれる。」というのでは無く、「野球のプレーを行う上で、選手達やベンチ間で交わされる合図。」の事だ。「塁上の選手が、相手投手の球の握り方を見て、球種を味方の打者に伝える。」等がサイン盗みとなるが、現在の所、2校に疑惑の目が向けられている。疑惑段階なので具体的な校名を記すのは避けるけれど、事実だとしたら野球ファンとして非常に残念な話だ。
こういう事が起きてしまう最たる理由に、“勝利至上主義”が挙げられると思う。“一番至上主義”と言い換えても良いだろうが、「勝利する(又は、一番になる)という目的達成の為には、何をしても許される。」という“思い違い”が、サイン盗みの背景に在るのではなかろうか。
過去に何度か書いているけれど、「“日本の素晴らしさ”を次々と並べ立て、『日本って、こんなに凄い国なんだぞ!』と、“自己陶酔”している様なTV番組や本等が目立つ様になって久しい。」が、個人的には「何だかなあ・・・。」という思いが在る。
こう書くとアレな人達からは「自国を誇らないなんて、売国奴か!」と非難されそうだが、自分だって日本は愛しているし、誇らしく思う事も在る。でも、「何でも彼んでも日本は素晴らしい!」と“過度に”主張する、其れも外国人を呼んで賛美させる様な“演出”は、とても「美しい。」とは思えないのだ。
「コンプレックスを抱えているが故に、過度な日本賛美を好むのではないか?」と外国人は考えるだろうし、自分もそう思う。過度な日本賛美を好む背景にも、“一番至上主義”が見え隠れしている気も。「日本は全ての面で、一番なんだぞ!」という思いが強過ぎるのではないだろうか。
くどい様だが、日本を誇る事は決して悪い事では無い。でも、「過度に賛美する。=一番至上主義を振り翳す。」というのは、“美しい国の在り様”として適切だとは思わない。
サイン盗みの件はすでにマスコミで実名報道されているので、あえて伏せる必要はないのかも(苦笑)。
一番至上主義というフレーズで思い出すのは、民主党政権での事業仕分けで、蓮舫氏の発した「2番じゃダメなんですか」が猛烈に叩かれ、今でいう「炎上」状態になったこと。
あのころから日本人には一番至上主義が根付いていたんでしょう。
自国賛美のバラエティ番組が盛り上がるのは、おっしゃる通りコンプレックスの裏返しでしょう。
外国から掛け値なしに褒められれば悪い気はしないけれど、それを自分から求めてしまうのはリップサービスを求めているようで情けない気がします。
普通に暮らしていれば自然に郷土愛ははぐくまれるものだし、日常の中で当たり前すぎて気が付かなかったことが外国から称賛されれば、おのずと愛国心が高揚するもの。
それを「愛国心の押し売り」をされると、却って、その程度の国なのかと情けなくなってしまいます。
「愛国」を声高に叫ぶ人たちには、それを叫ばずにはいられない自信のなさがあるのでしょうかね。
蓮舫議員の彼の発言、実は今回の記事でも触れ様かと思ったものの、「旧民主党への肩入れが過ぎる。」といった不本意な邪推をされるのも嫌なので(笑)、書きませんでした。
彼の発言が問題視された際、当ブログでも書いた事なのですが、言い方が不適切で在ったかもしれないけれど、“主張の本質”は間違っていなかったと思っています。一番を目指す事が必ずしも間違っているとは思わないけれど、血税を投入して行っている事業で在る以上、“コスト・パフォーマンス”を重要視せねばならず、「一番になる為だったら、幾ら金を突っ込んでも構わない。」というのはおかしいからです。訳の判らない箱物、又、政治家や官僚の天下り先作り等、血税が無駄金となるのは絶対に許されない。
「日本が全ての分野で一番になる事=愛国心の充足」というのは、どう考えても変。異常な迄の蓮舫叩きが、妙な愛国主義の始まりだった様に感じています。