”活字中毒”を自覚している事も在り、元々濫読主義の自分だったのだが、多くの方々のブログを訪問させて戴く事で、知らずにいた書籍と巡り合う幸甚を感じている。(「初参拝」という記事でも触れた「改訂版 新しい歴史教科書」も、それ迄報じられていた”極右的”な匂いから、読むのを躊躇していた所が在ったのだが、多くの方のブログで「実際に読んでみたが、そんな内容ではなかった。」と記されているをの目にし、実際に読んでみる気になった。読み終えた感想だが、自分もそれ程問題視する内容では無かったと思うし、寧ろ系統だって良く纏まっている感さえした程。)先日読み終えた「バルーン・タウンの殺人」もそんな一冊で、issie様のブログ「桃園結義(トウエンケツギ)」内の記事でその存在を知り、興味が惹かれて手にしたのだった。
濫読主義とは書いたものの、その多くはミステリーで締められている。古今東西に亘ってミステリーと称する作品を読み漁って来た自分だが、恥ずかしながらこの本の著者である松尾由美女史に関しては、全く知らなかった。(著者名を最初にパッと見た時には、昔の女性アイドルの名前を思い浮かべてしまった程(^o^;;;。)故に、本を手にして最初に目を走らせたのは、奥付に記された著者紹介の部分だった。
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[松尾由美] 石川県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒。1989年「異次元カフェテラス」を刊行し、1991年には「バルーン・タウンの殺人」がハヤカワSFコンテストに入選。他の著作に「バルーン・タウンの手品師」、「安楽椅子探偵アーチー」、「おせっかい」、「マックス・マウスと仲間たち」、「銀杏坂」、「スパイク」等が在る。
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近年、ミステリーと称される作品は多様化の一途を辿っている。一昔前の概念で言えば、「これの何処がミステリーなのか?」と思わせる作品も珍しくない。「バルーン・タウンの殺人」もハヤカワ”SF”コンテストに入選作品という事で、そういった類の作品だと思ったのだが・・・。
近未来の東京都第七特別区、通称「バルーン・タウン」がこの作品の舞台となっている。人口子宮の利用が一般化した世界の中で、敢えて”昔ながらの”母体での出産を望む女性達が暮らす、あらゆる犯罪とは無縁の長閑な別天地で在る筈のこの街で、何故か次々と不可解な事件が起こる。その謎を次から次へと解き明かすのが、この街に住む”妊婦探偵”の暮林美央という設定。妊婦探偵という設定自体も面白いが、舞台が近未来で在りながら、ミステリー・ファンには郷愁を感じさせる古典派ミステリーの香りも漂わせている不思議な内容。コナン・ドイル氏のシャーロック・ホームズ・シリーズや、アガサ・クリスティー女史の作品等を下地にした作品名や内容には、ミステリーに対する著者の造詣と愛情の深さを感じてしまう。
作品全体を通して、「亀腹」や「とがり腹」(妊婦の御腹の形状を指すのだそうだ。亀の甲羅を貼り付けた様な形状の「亀腹」だと女の子が、前にグッと飛び出た「とがり腹」だと男の子が生まれるという迷信が在るのだとか。)、「会陰保護」といった、男性の自分には初めて目にする様な言葉や表現が多用されている。その意味でも異色のミステリーと言えるかもしれないが、文体としては読み易いし、登場人物のキャラクター設定も面白い事も在って、スラスラと読み切ってしまった。
腹蔵無い感想を記せば、ミステリーを読み漁っている人間にとっては、トリック面での歯応えの無さを感じると思う。しかし、プロットの面に於いてはやや強引さを感じる部分は在るものの、全体として纏まりの良さは評価出来るし、他の作品(特に「安楽椅子探偵アーチー」。)を読んでみたいと感じさせる力量を持った作家だと思う。
濫読主義とは書いたものの、その多くはミステリーで締められている。古今東西に亘ってミステリーと称する作品を読み漁って来た自分だが、恥ずかしながらこの本の著者である松尾由美女史に関しては、全く知らなかった。(著者名を最初にパッと見た時には、昔の女性アイドルの名前を思い浮かべてしまった程(^o^;;;。)故に、本を手にして最初に目を走らせたのは、奥付に記された著者紹介の部分だった。
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[松尾由美] 石川県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒。1989年「異次元カフェテラス」を刊行し、1991年には「バルーン・タウンの殺人」がハヤカワSFコンテストに入選。他の著作に「バルーン・タウンの手品師」、「安楽椅子探偵アーチー」、「おせっかい」、「マックス・マウスと仲間たち」、「銀杏坂」、「スパイク」等が在る。
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近年、ミステリーと称される作品は多様化の一途を辿っている。一昔前の概念で言えば、「これの何処がミステリーなのか?」と思わせる作品も珍しくない。「バルーン・タウンの殺人」もハヤカワ”SF”コンテストに入選作品という事で、そういった類の作品だと思ったのだが・・・。
近未来の東京都第七特別区、通称「バルーン・タウン」がこの作品の舞台となっている。人口子宮の利用が一般化した世界の中で、敢えて”昔ながらの”母体での出産を望む女性達が暮らす、あらゆる犯罪とは無縁の長閑な別天地で在る筈のこの街で、何故か次々と不可解な事件が起こる。その謎を次から次へと解き明かすのが、この街に住む”妊婦探偵”の暮林美央という設定。妊婦探偵という設定自体も面白いが、舞台が近未来で在りながら、ミステリー・ファンには郷愁を感じさせる古典派ミステリーの香りも漂わせている不思議な内容。コナン・ドイル氏のシャーロック・ホームズ・シリーズや、アガサ・クリスティー女史の作品等を下地にした作品名や内容には、ミステリーに対する著者の造詣と愛情の深さを感じてしまう。
作品全体を通して、「亀腹」や「とがり腹」(妊婦の御腹の形状を指すのだそうだ。亀の甲羅を貼り付けた様な形状の「亀腹」だと女の子が、前にグッと飛び出た「とがり腹」だと男の子が生まれるという迷信が在るのだとか。)、「会陰保護」といった、男性の自分には初めて目にする様な言葉や表現が多用されている。その意味でも異色のミステリーと言えるかもしれないが、文体としては読み易いし、登場人物のキャラクター設定も面白い事も在って、スラスラと読み切ってしまった。
腹蔵無い感想を記せば、ミステリーを読み漁っている人間にとっては、トリック面での歯応えの無さを感じると思う。しかし、プロットの面に於いてはやや強引さを感じる部分は在るものの、全体として纏まりの良さは評価出来るし、他の作品(特に「安楽椅子探偵アーチー」。)を読んでみたいと感じさせる力量を持った作家だと思う。
そうだそうだ・・といいながら読んでます。笑
今日は、活字中毒のば○さんに、恥ずかしながら初カキコです。
バルーンタウンおもしろそうですね~。正統派ミステリー作家の名前も出てきて誘われそうな本です。笑
まあ、「亀腹」「とがり腹」は知っていましたが、ここの文章を読むと不思議な感じがしますね。笑
ところで妊婦のでてくる著作を読み終わったところです。「天使の代理人」寝てたのに無理やり起こされたような、激しく心を揺さぶられる本でした。ミステリーの範疇に入るようです。物語として読ませる!
世の中の不条理に吼える!このフレーズが妙に気になった今日のわたしです。ば○こう○ちさんに・つい紹介したくなってしまいました。・・
とっつきにくいかなと思いましたが、処々にちりばめた風刺や一言が魅力だと思います^^
ただ妊婦への対応や福祉のあり方、男性の生き様・少子化社会などの問題提起とも思えますね。それと絡めて妊婦たちの生き生きした描写が印象的です。。
「バルーン・タウンの殺人」に収められている作品は、ディープなミステリー・ファン、特に古典派ミステリーをこよなく愛する人にとっては堪らないテイストだと思います。タイトルだけ見ても、「亀腹同盟」はシャーロック・ホームズの「赤毛同盟」、「なぜ、助産婦にたのまなかったのか?」は”ミステリーの女王”アガサ・クリスティー女史(個人的に大好きな作家です。)の「なぜ、エヴァンズにたのまなかったのか?」を意識したもので在り、内容面でも彼(彼女)の他の作品を彷彿とさせるシーンが何ヶ所か登場します。著者は、本当にミステリーが好きで仕方ないのだろうなあと思わせる所以です。
「亀腹」や「とがり腹」という言葉は、恥ずかしながら全く知りませんでした。この作品の御陰で妊婦関連の言葉(?)には結構詳しくなったかもしれません(笑)。
で、御紹介戴きました「天使の代理人」に付いて、気になりましたので一寸検索してみました。著者の山田宗樹氏の御名前は、これ又恥ずかしながら全く存じ上げなかったのですが、この方が他に著された「嫌われ松子の一生」というのは知っています。作品を読んだ事はないのですが、ベストセラーになって映画化されるというのを新聞報道で目にしました。
「天使の代理人」の要旨を見ると、結構自分のテイストに合っている感じなので、是非近い内に読んでみたいと思います。興味深い作品を推奨して戴き、有難うございました。
これからも宜しく御願い致します。
>とっつきにくいかなと思いましたが、処々にちりばめた風刺や一言が魅力だと思います^^
issieさん、はじめまして。
この本ていうのは、天使の~でしょうか・・わたしもそういうセリフがいくつかありましたよ。本って、知らない人なのに、同じ本を読んでるってきくとうれしいものですね。ヽ(^。^)ノ
ば○さん、「赤毛同盟」は中学3年生のときに
原文で読んだんですよ。学校の教材として。
懐かしいです。ドキドキしながら訳してました。自分の訳で、あ。。そういうこと。。と、わかってくる瞬間は楽しかったなあ~。「エヴァンズ」のほうは・・NHKのドラマで見たような気がするんですが。確か・・
こちらこそ、時々お邪魔します。
よろしくお願いしますね。
issie様が触れられているのは、「バルーン・タウンの殺人」に付いてだと思われます。でも、「天使の代理人」にも、ああいった魅力在る台詞が散りばめられていると聞くと、余計に読んでみたくなりました。
「赤毛連盟」を中学の時に原書で読まれたんですか!?それ凄いですね。ミステリーって、次の展開が気になって仕方ないので、訳すのも気合が入りますよね。自分はシャーロック・ホームズ物はないのですが、アガサの作品は何冊か原書で読みました。辞書を何度も引きながら悪戦苦闘しましたが、読み終えた時の達成感は最高でした。
「謎は解けました。」コメントありがとうございます。
一生に一度いってみたい言葉「皆さん、謎はとけました。」ミステリっぽい!
よかったらリンクはらせていただいてもよいでしょうか?