「このミステリーがすごい!」大賞が創設されたのは、今から7年前の2002年。その第1回金賞を受賞したのは、浅倉卓弥氏の「四日間の奇蹟」だった。累計販売数が127万部を突破し、2005年には映画化もされている様なので、実際に読まれた方も多いと思う。「描写力抜群、正統派の魅力。」、「新人離れした巧さが光る!」、「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する。」、「ここ10年の新人賞ベスト1。」等、「これでもか!」と言わんばかりの絶賛の言葉が並ぶこの作品を、遅蒔き乍ら読破。
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ピアニストとしての将来を嘱望されていた如月敬輔。だが8年前、その運命は一変する。留学先のオーストリアで、強盗事件に巻き込まれた少女を庇った際に銃撃され、左手薬指の第一関節から先を失ってしまったのだ。強盗事件で両親を失い、天涯孤独の身になってしまった少女・楠本千織を、敬輔の両親は引き取る事に。知的障害を有する千織だったが、ピアノを弾く能力に長けていた。彼女は「特定の分野に限って、並外れた能力を発揮する。」というサヴァン症候群罹患者だったのだ。ピアノを弾けなくなった敬輔は、そんな彼女の演奏を聞いて貰うべく、各地を廻り始める。
或る日、招待された療養センターで敬輔達は、敬輔の高校時代の後輩だった岩村真理子と出遭う。陽気で話好きな真理子だったが、彼女には嘗て農家の息子に嫁入りしたものの、子供が出来ない為に一方的に離婚を言い渡されたという辛い過去が在った。
真理子と親しくなって行く敬輔と千織だったが、落雷による事故に巻き込まれて真理子は意識不明の重傷を負い、その真理子の心が千織の体に宿る。そして・・・。
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読み進めるに従って感じたのは、「東野圭吾氏の作品『秘密』に雰囲気が似ているなあ。」という事。交通事故によって妻の“心”が娘に宿ってしまうというストーリーの「秘密」に、何となく似た雰囲気が在るのだ。そう思ってネットで検索した所、案の定同じ思いを持っている方が少なくない様だった。「秘密」が刊行されたのは1998年なので、2003年に刊行された「四日間の奇蹟」の方が後の作品という事になる。似た雰囲気は在るものの、ストーリー自体は全く異なるので、盗作云々というのは全く当て嵌まらいと思っているが、何処かしっくり来ないのも事実だ。
絶賛の言葉の中に在った「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する。」というのには、個人的に「うーん・・・。」と感じてしまう。確かに伏線は幾つか張られているが、意外性を感じさせる物では無い。又、“感動のアクセント”として起用されたのだろうが、真理子の元夫達の登場は唐突に過ぎ、又、中途半端な登場だったと思う。
感動しなかった訳では無いが、其処迄絶賛される内容にも思えなかった。総合評価は星3つ。
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ピアニストとしての将来を嘱望されていた如月敬輔。だが8年前、その運命は一変する。留学先のオーストリアで、強盗事件に巻き込まれた少女を庇った際に銃撃され、左手薬指の第一関節から先を失ってしまったのだ。強盗事件で両親を失い、天涯孤独の身になってしまった少女・楠本千織を、敬輔の両親は引き取る事に。知的障害を有する千織だったが、ピアノを弾く能力に長けていた。彼女は「特定の分野に限って、並外れた能力を発揮する。」というサヴァン症候群罹患者だったのだ。ピアノを弾けなくなった敬輔は、そんな彼女の演奏を聞いて貰うべく、各地を廻り始める。
或る日、招待された療養センターで敬輔達は、敬輔の高校時代の後輩だった岩村真理子と出遭う。陽気で話好きな真理子だったが、彼女には嘗て農家の息子に嫁入りしたものの、子供が出来ない為に一方的に離婚を言い渡されたという辛い過去が在った。
真理子と親しくなって行く敬輔と千織だったが、落雷による事故に巻き込まれて真理子は意識不明の重傷を負い、その真理子の心が千織の体に宿る。そして・・・。
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読み進めるに従って感じたのは、「東野圭吾氏の作品『秘密』に雰囲気が似ているなあ。」という事。交通事故によって妻の“心”が娘に宿ってしまうというストーリーの「秘密」に、何となく似た雰囲気が在るのだ。そう思ってネットで検索した所、案の定同じ思いを持っている方が少なくない様だった。「秘密」が刊行されたのは1998年なので、2003年に刊行された「四日間の奇蹟」の方が後の作品という事になる。似た雰囲気は在るものの、ストーリー自体は全く異なるので、盗作云々というのは全く当て嵌まらいと思っているが、何処かしっくり来ないのも事実だ。

絶賛の言葉の中に在った「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する。」というのには、個人的に「うーん・・・。」と感じてしまう。確かに伏線は幾つか張られているが、意外性を感じさせる物では無い。又、“感動のアクセント”として起用されたのだろうが、真理子の元夫達の登場は唐突に過ぎ、又、中途半端な登場だったと思う。
感動しなかった訳では無いが、其処迄絶賛される内容にも思えなかった。総合評価は星3つ。

また古巣のFC2でブログを続けていくことになりました。
これからも何卒、よろしくお願いします。
誠に遅くなりすみません。
小説でも類似した内容のものがあるんですね。音楽となると、パクリと呼ばれたりもされますが、人間の想像の領域にも限界があるのかもしれませんね。それではおやすみなさいませ
読めてしまうのは最悪ですが、そうさせないテクニックがある作家だと褒めたくもなります。 でないとガッカリで終わりますね。 それから、年齢のせいか、似たような作品を混同してしまい、誤った筋やタイトルで他人に薦めたりしてしまうことが多くなりました。 一度見たDVDを借りてしばらく見てからおかしいと気づく時と同じような感覚を覚えます。 たくさん読んだ作品のストーリーや登場人物が記憶の中で混乱してしまってるのですね。 単行本で読んだ作品を気づかずに文庫本で買ってしまうトホホな老化です。
昨年、「『夢は時間を裏切らない 時間も夢を決して裏切らない♪』という歌詞が、自身の漫画の中の台詞『時間は夢を裏切らない。』の盗作で在る。」として、松本零士氏と槇原敬之氏の間で訴訟沙汰になりましたね。個人的には「この様なフレーズなら、意図的にでは無くても使ってしまいそう。」と思ってしまう訳ですが、人間の考える能力は凄い反面、どうしても似通ってしまう面が在るのも確かかと。全くその存在を知らなくても、偶然に似通ってしまう事も在れば、昔その存在に大きな影響を受け、無意識の内に似た雰囲気の“作品”を作り上げてしまう可能性も否定出来ない。そもそも芸術とは、偉大な先人達の作品の模倣から始まる訳ですし。全くのパクリでは問題でしょうが、過去の作品からインスパイアされての新作というのは在りかと。
唯、この作品にはパクリ云々は別にして、それ程心動かされる物が自分には在りませんでした。
読んだ事の在る作品なのに、それをすっかり失念して、再び購入してしまうというのは、自分も何度か在ります。凄く損した感じがしますね。