母国として「日本」という国は大好きなのだけれど、昨今、国内で強まっている風潮の中には、うんざりさせられる物が少なく無い。「異論を一切許さず、徹底的に排除しよ様とする。」、「自分の頭で考える事を停止し、無根拠なデマを盲信する。」、「強者の横暴さには媚び諂う一方、弱者に対しては“似非正義”を掲げる事で、自身のストレスを発散したいが為“だけ”に、執拗なバッシングを続ける。」等々がそうだ。
そういう風潮に面白おかしく乗っかっている人間が増加している一方、自分の様にうんざりしている人も少なからず居ると思う。だからこそ、ほろっと来る様なニュースには、大きく心を揺り動かされるのだろう。昨日、そんなニュースを目にした。
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「バスで泣き始めた赤ちゃん 運転手の言葉、ネットで拡散」(9月4日、朝日新聞)
バスの車内で泣き始めた乳児をあやせず困った母親に、運転手が車内アナウンスで語り掛けた言葉が、ネット上で話題になっている。
8月31日午後、15人程が乗った横浜市営の路線バスで、母親の腕に抱かれた赤ちゃんが愚図り始めた。母親と友人の女性が2人であやしていたが、赤ちゃんは手足をばたつかせ、泣き声は大きくなる許り。友人は途中で下車し、母親は立ち上がり、彼の手此の手であやすも、泣き止む気配は無かった。
10分程経った時、車内アナウンスが流れた。
「御母さん、大丈夫ですよ。赤ちゃんですから、気になさらないで下さい。屹度眠いか、御腹が空いているか、御襁褓が気持ち悪いか、暑いかといった所でしょうか。」。
明るい口調でミラー越しに語り掛けたのは、鈴木健児さん(46歳)。乗車歴20年のヴェテラン運転手だ。
「『迷惑を掛けない様、何とかしたい。』という御母さんの焦りを緊々と感じた。今後、バスや電車を使うのを躊躇うんじゃないかと心配になって。」と振り返る。此の遣り取りがネットに投稿されると、ツイッター等で拡散され、「感動。正にプロ。」、「運転手さん素晴らしい。」等の投稿が相次いだ。
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バスや電車内で赤ちゃんや子供が泣いたり騒いだりしていると、五月蠅く感じる事は正直在る。疲れている時等は尚更だ。でも、騒いでいる子供を親が放置状態にしていたりというのなら別だが、周りに迷惑掛けない様にと親が必死で宥めている場合は「気の毒だなあ。」と親に対して思うし、況してや“泣くのも仕事”と言って良い赤ん坊の場合は、どうこう言う気にもならない。
必死で何とかし様としている母親を目にして、車内アナウンスした運転手さん。言い方を誤ると母親をより追い詰めてしまったり、車内の雰囲気をギスギスさせてしまうだろうが、和ませる様な口調でアナウンスした鈴木さんには、自分も「正にプロ!」という思いがした。